妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語22

どうしようかな~

あんなに後ろ向きだったのに鷹男に励まされたら元気が出ちゃった。

案外気分がいいものよね。

「瑠璃様、なんだか今日は機嫌がいいですね。何かございましたか?」

「ううん、何もないけど、このままのあたしじゃだめだな~って思って。」

「そうでしたらよいのですが。最近の瑠璃様は大人しかったですものね。」

「大人しいとは何よ、あの梅壺の女御様はあたしの行動をなぜか知っていて

痛いところを突いてくるんですもの。だから意味のない当てこすりならいいけど

芯を突いてくるからこそ憂鬱度も増したんじゃないの・・・?」

「どうなさったのですか?」

「待って、あれっ、何かひかかる・・・」

そうよ、なんで気が付かなかったのよ。

あたしの破天荒な行動を知っているような物言いをいつも梅壺の女御様はしてきたわ。

それはどういうことかというと、藤壺の女房の中に、誰か、

梅壺の女御様に報告している人間がいるということ。

ずばりスパイがいるのよ。

でもおかしいわ、あたし付きの女房は

小萩が厳選してあたしに仕える人間を置いてるはず。

だからあたしを嫌っている女房はいない、信頼のおけるものたちばかり。

いったい誰がスパイをしているというの?

あたしは藤壺にスパイがいると思いながら、その点を後回しにして

まずその前に、他の女御様の女房達から急に嫌がらせがひどくなった原因を

探ろうと思ったの。

「ねえ、小萩。最近あたしの噂って何かある?」

「瑠璃様の噂ですか?そうですね。瑠璃様と梅壺の女御様の仲が悪いというのが

一番多いですわね。

あとはありえないのに瑠璃様が丞香殿の女御様に呪詛をかけているから

女御様は病に倒れられたとか、今上帝の寵愛が移ったのも

瑠璃様の仕業だなどと酷い噂が広まりすぎていますわ。」

「は?あたしが丞香殿の女御様に呪詛?

意味が分からないわ。どうしてそうなるのよ。」

「それは瑠璃様が入内なさったときは寵愛がなかったのに

今ではご寵愛を独り占めなさっている。それは

これといって何かに秀でるものもないのにおかしいのではないかだなんて

噂されてますわよ。

だからこそ、丞香殿の女御様の病が重なったため、変な噂が立っているのですわ。」

「確かにあたしは何も秀でるものはないわ。

だから悪い噂はあっても、いい噂はないわねえ~」

「そうでございます。ですから女房達の間で丞香殿の女御様の病を悪化させたのは

瑠璃様だという噂でもちきりなのですわ。」

「どうしてそんな噂、黙っていたのよ!そうしたらあたしだって手を打ったのに!」

「瑠璃様が知ったら、自分で解決なさると思いました。

ですから瑠璃様が勝手に動くことでさらに

誤解を招く結果になると思い隠してきたのです。」

「だったら今更どうして小萩は教えてくれるの?」

「瑠璃様には本当は教えたくなどありませんわ。

しかし、最近の瑠璃様は瑠璃様らしくなくて藤壺に籠ってばかり。

だんだんお痩せになっていくさまなど見たくなかったのでございます。

やっと元気になられたので今なら瑠璃様にお話ししてもいいと感じましたの。」

「ありがとう小萩。やっぱり自分で行動しないといけないことに気が付いたのよ」

しんみりとした瑠璃姫なんてあたしじゃないわ。だから小萩協力してね。」

「いたし方ありませんね。もちろんでございますわ。」

あたしたちは今後どうするかを話し合った。

そして小萩に藤壺にスパイがいるのではないかと話したの。

小萩は信頼するものしかあたしの傍に置いてないといい怒ってしまったけど

こんなにあたしのことを知っているなんておかしいと話し

そのうち小萩も信じてくれた。

それから、小萩以外の女房についてあたしは詳しく教えてもらったわ。

でも小萩の言う通り梅壺の女御様に繋がるような

出身者はいるわけもなく八方ふさがりだった。

 

だから今度は丞香殿のほうを探ろうと思ったの。

 

物忌みであたしは藤壺から出てくるわけがない状態にして

久々に女房の桂を羽織って身軽な格好で床下に潜ったの。

 

あれっ、おかしいな、この辺が丞香殿の床下の辺りだけどな。

 

耳を澄ますと女房二人の話声が聞こえてきたの。

 

「それにしても藤壺の女御様と梅壺の女御様の戦いは活発になってきましたわね。

さすがは変人で名高い藤壺の女御様だわ。

まだ相変わらずお主上の寵愛は変わらないですものね。何も取り柄がないのに

どうしてお主上は情をかけるのかしら。」

「それは梅壺の女御様が嫌だからじゃないの?

内の女御様はお加減が悪いし、桐壺の女御様はいるかどうかわからないほど

存在感がないし。そうなると、今はお二人のうちどちらかでしょう。

けれどあそこまで性格の悪い梅壺の女御様ではお主上が嫌がられるというもの。」

「ほほほっ、そうでございますわ。内の女御様の病さえ治れば再び

主上の寵愛はお戻りになることでしょう。」

「でも小夜さん、藤壺の女御様への嫌味の応酬、もうお止めになってはいかが?

それに桐壺の女御様付きの女房達も

一緒になって嫌味を言って見えるではありませんか。

どのようにして桐壺の女御様の女房まで扇動して見えるの?」

「それは皆で藤壺の女御様を非難して見えるのに

桐壺の女御様側だけ参加しなかったら次のターゲットが誰になるのか

考えてみては、と少し脅しただけですわ。

それだけで向こうの女房達もこちら側になりました。

当り前ですわね。桐壺の女御様のバックは弱すぎですものねえ~

桐壺の女御様はもともと気弱ですし、

ターゲットになったらすぐに寝込んでしまいますわ。」

「まあ~そうでしょうけどそのために最近ではあの藤壺の女御様でさえ

気分が滅入っている様子ですわ。

あそこまで他の女房達まで扇動しなくてもよろしいのではなくて?」

「駄目なんですわ、知っていて?

私に通ってくださる方がいらっしゃるのを。

その左近の中将様がもっと扇動しろと仰せなのですもの。」

「でも小夜さん、左近の中将様は素敵な方だけどあまりいい噂はないわよ。」

「そんなこと知らないわ。中将様は私だけを愛してくださると

言ってくださっているし、

扇動を止めたらあたしのもとに通ってくださらなくなるもの。

あの方の正室になりたいの。

それに今だから言うけど、左近の中将様は梅壺の女御様の幼馴染なんですって。

だからあたしはやらなくちゃならないの。

それにうちの女御様の一番の敵対している女御様じゃないの。

悪い噂ばかりあるけど、あの方のバックには内大臣様がお付きよ。

あの方が親王様を御産みになったら内の女御様が

中宮様になれなくなるじゃないの。今の内につぶしておくべきよ。」

「それはそうだけど、」

「だからあなたにも協力してもらっているのではなくて?

でもここまで協力してくれているのだもの。手から離れるなんて言わないわよね。

あたしに借りがあるのはあなたなんだから。」

「分かっているわ、でもこれが発覚したら

あたしたちも罪に問われるかもしれないわよ。今上帝の寵愛の女御様を

嘘の噂で貶めているのだから。」

「ええ~その覚悟はあるわよ。でもこれは私たちの将来のためですもの。

藤壺の女御様さえ病に倒れられれば別にいいのですもの。

あと一押し、ばれないようにしないといけないわね。」

「そうね、ほほほ」

「おほほ」

 

 

おほほじゃないわよ!冗談じゃないわ。

こんな女房達にあたしがはめられているなんて。

そしてやっぱり梅壺の女御様が陰で画策しているのね。

あとは証拠をつかまないといけないわ。

 

どうしようかしら・・・

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