妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語23

丞香殿の女房の小夜という女が梅壺の女御様と組んで

あたしを罠に嵌めようとしている。

でも、その証拠はない。

あたしが床下で聞いていたと言っても却って悪い噂が付きまとうだけですものね。

床下に潜る変人女御様!

だなんて噂になったら父さまは当分寝床から出てこれなくなるわね。

それはそれで面白いけど、それでは梅壺の女御様を喜ばせることになってしまうわ。

 

そんなあたしが物思いをしていた矢先、他の女房があたしに話しかけたの。

藤壺の女御様、大皇の宮様がお主上のご機嫌伺いに参内なさったおり

藤壺の女御様のお体までご心配なさり、

今からこちらに伺いたいと申し立てて見えますがいかがなさいますか?」

「えっ?大皇の宮様がおこしになるの?

じゃあ、あたしが大皇の宮様のもとに伺うわ。」

「しかし、藤壺の女御様は最近お元気がなさらないご様子。

そのため、大皇の宮様がこちらに伺うから気を使わないようにしてくれと

お言葉を頂いております。」

「そう、だったらいいわ。

大皇の宮様が見えても大丈夫なようにここを整えてくれる?」

「はい、大皇の宮様がおこし下さる前に準備いたします。」

 

は~~あたしはあの嫌味作戦で元気じゃない噂をあえて今も

そのままの状態でいるようにしていたの。

敵に元気なことを知られないようにしないといけないしね。

元気なところを見たら、

せっかくの証拠を見つけることができないとそう思ったから。

あたしが参っているとそう思わせたほうが梅壺の女御様も油断するしね。

だからあたしはじっと我慢して大人しく元気がないふりをしていたのよ。

でもまさか大皇の宮様まであたしのことを気にかけてくださるなんて・・・

大皇の宮様は吉野の君の件であたしと出会ってから

よく参内なさった折、一緒にお話をしたり、物語を見たり

貝合わせをしたり、本当の娘のように可愛がってくださるのよ。

鷹男の母宮なのだと思わされるほど頭の回転が速く、

テキパキとされていて、とても元気がいいのよ。

あたしみたいな姫とは話が合うようで手紙のやり取りをするほど仲がいいのよ。

ただ、一介の女御であるあたしと大皇の宮様が仲が良すぎるというのは

政治柄公になってもいけないので秘密裏にお手紙を交わしているのだけどね。

ふふっ、大皇の宮様とお会いするのは久しぶりだわ。

梅壺の女御様が入内なさってから一度しかお会いしてないけれど

お元気なのかしら。

 

 

 

藤壺の女御、元気にしていましたか?あなたの元気がないという噂が

立てられているようですけど・・・」

「大皇の宮様、わざわざこのようなところまで来ていただき

誠に感謝いたします。

大皇の宮様こそお元気でいらっしゃるのでしょうか?」

藤壺の女御、どうしたのです。やっぱり声に張りがないご様子。

お体でも悪くなさったのですか?」

「いえ、そのようなことは。」

しばらく日常の挨拶を続けていたら大皇の宮様が察してくださり

一部の女房たちをこの場から離したの。

 

パチン。

扇の音で小萩と大皇の宮様付きの絵式部以外部屋を出て行った。

 

「それでは瑠璃姫お元気でいましたか?」

「はい!大皇の宮様、あたしは元気です!」

今度はにこやかな笑顔で大皇の宮様にご挨拶したの。

「あらっ瑠璃姫、その笑顔を見て安心しましたわ。

噂ではあの瑠璃姫が元気がなくて

主上がとても心配なさっているとお聞きしましたのに。

それに梅壺の女御との確執が酷くなってきているとお聞きしましたよ。」

「ええ!その通りなんですわ!」

「まあ!」

「ふふっ、大皇の宮様、本当は少し前まではあたしも元気が出なくて

この藤壺でさえ出る元気がなかったんですわ。

梅壺の女御様からの応酬でこのあたしでも気が滅入ってしまいましたの。

でもお主上に元気をもらって、この瑠璃、元気になることができました。

大皇の宮様にはご心配をおかけしましたわ。申し訳ございません。」

「あら、いいのですよ。瑠璃姫の元気なお姿が見れただけで満足ですわ。

でも瑠璃姫は先ほどの語らいでは何か考えているご様子。

まさか何かを企んでらっしゃるのですか?」

「大皇の宮様、あたしは今この後宮に見える女御様の女房すべて

敵に回している状態なんです。ですからあたしが元気だと

何か妨害を仕掛けられます。

でも反旗を翻す元気がないなら、向こうも油断してミスを犯すかもしれない。

だからあたしはまだ弱っているふりをしているのです。」

「ほほほ瑠璃姫、面白いことを。

後宮でのいじめや妬みは、今日昨日とで始まったものではありません。

私もまだお主上を身ごもったときや東宮として立った時でも

人間の浅ましい欲に皆が翻弄されて大変なことになっていたこともありましたわ。

でも瑠璃姫、こういうことは一人で解決をなさるのは

あなたのいいところでもありますが

主上が傍についていることをちゃんと分かってくださいね。」

「ありがとうございます。

あたし最近までそのことに気づくことができなかったんです。

でもあたし一人じゃない。

だから大皇の宮様のお言葉は身にしみてわかるつもりです。」

「そう、あなたのことだから分かってくださると思いました。

でも無理をしないでくださいね。この話はここまでにしましょう。

瑠璃姫、今日はとても素敵な物語を持ってきたのよ。

一緒に眺めましょう。」

「ふふっ、ありがとうございます。喜んで!」

あたしは大皇の宮様のお気持ちが嬉しくて仕方がなかったの。

後宮では鷹男、小萩以外は心を許すことができなかったから。

あたしには味方がたくさんいる。自分一人じゃないもの。

だからあたしは勇気がもらえたの。絶対に自分は幸せになってみせる。

梅壺の女御様のしっぽを掴んで見せるわ!

 

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