妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

信じたいのに8

f:id:fheibon:20190125055605j:plain

https://www.beiz.jp/

 

鷹男との距離は近づくことなく月日は経っていった。

そんな折に、なんと大皇の宮様と藤の宮様が御所に参内なさったの。

私が女御になってからはじめてお会いすることになる。

あの事件の後から親密になり、時々文を交わす仲になっていた。

けれど、やっぱり鷹男の女御になってからは滅多に文を送ることも出来ず

大皇の宮様や藤の宮様がどんな生活をお過ごしになるのかは

後宮内では殆ど届かないから心配していたの。

 

 

 

 

すぐにでもお二人に直接お会いしたかったけれど

お二人と交流が深いということは周囲には殆ど隠しているから

その機会には中々恵まれることはなかった。

それでも、昔の瑠璃姫を知っているお二方に出会えるのは嬉しくして仕方がないわ。

後宮に参内されたお二人を歓迎するために

女御側からさまざまな催しも開かれ

私も参加しないとならないし

自分主催で催しを開かないとならないしで

慌しく日々が過ぎていく。

そのおかげで鷹男のことをじっくりと考える間もないほど忙しいから

気分転換にもなったと思う。

 

 

 

 

そうして、近くでお二人を見ることも叶わず

やっと催しにも一区切りが経った頃だった。

バタバタバタバタ~~~~~~~~

最近では藤壺ではバタバタすることもなく常に冷静に女房達が動くというのに

この日は違っていたの。

 

 

「女御様~~~~~~~~~!?」

大慌てで小萩が御簾を上げて中に入ってきたの。

「何を慌てているのです。落ち着きなさい!」

私は叱責したけれど、小萩が久しぶりに慌てているから何事があったのか

分らずに驚いてしまった。

そうして、小萩が言葉を紡ごうとする直前、誰かが御簾を上げて中に入ってきたの。

 

 

「あらあら~~~~~、一体何なの?この几帳の多さは!

絵式部、邪魔です、おどけなさいな。」

この溌剌としたお声は

「大皇の宮様!!!!!!!」

 

「瑠璃様、お久しぶりですわ。」

その後ろから藤の宮様がいらっしゃったの。

小萩の慌てぶりを見ると先触れもなくいきなり起しになられた見たい。

いつもの私だったら驚かなかったのかもしれない。

でも、ここ最近私も、それにどの方も後宮で突飛もない行動をされる方が

いらっしゃらないから久しぶりに驚き声を上げてしまった。

お二人がいきなり入って来たのは凄く驚いたけれど

すぐに正気を持ち、私は女房達にすぐに支度をさせたの。

そして、久しぶりに間近でお見かけして凄く嬉しくて仕方がなかった。

これほど気持ちが高ぶったのはいつ以来だったかしら。

お二人は以前とお変わりなく、大皇の宮様はいつまでもお元気だし

藤の宮様は相変わらず見つめられるとこっちが恥ずかしくなってしまうほど

お美しいお方だし、お二人の前に立つと

私も全然変わっていないような気持ちに戻れるのよ。

 

 

 


そうして、いつものように女ばかりが集まると話が盛り上がり

話が尽きなくて楽しくて仕方がなかった。

お二人のおかげで私は元気が出てきたと思うわ。

ホント感謝しても感謝しきれない・・・・・

 

 

 

「ほんに瑠璃姫は立派にお主上の女御を勤めていると

院御所内でも噂で持ちきりですよ。」

「瑠璃様もお主上の愛に包まれてご立派になられたのでしょうね~」

 

 

その内、鷹男の話題へとすすんでいく。

これは避けては通れない話題だと思う。

でも、私は鷹男との距離ができてしまって上手く話せる自信がないわ。

一生懸命に表情を作って仲睦まじいことをお二人に話そうとする私。

お二人に鷹男とのことを知られたくない。

昔の私を知っている方だからこそより一層知られたくないのよ。

でも大丈夫。

私は後宮に来て仮面をつけるのが上手くなっていたから、お二人を騙して

鷹男と仲がいいと告げることは難しくないわ。

 


そう・・・・・・いつもの通り・・・・いつもの通りニッコリと

鷹男との仲がいいことをアピールしなくては。

周囲にも私達の仲がいいと思われているしお二人に気取られることはないわ。

「そうなんです、鷹男とは・・・・鷹男とは・・・・・・・」

「瑠璃姫?」「瑠璃様?」


駄目よ駄目よ駄目よ!!!!!!!!

お二人に心配をかけさせては・・・・・・・・・・・・

言葉の続きを必死に言おうとするのだけれど

次の言葉が出てこない。

何故・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

そうしてしばらく経ってから

「瑠璃姫、あなたは我慢しなくてもよいのですよ。」

大皇の宮様から驚くべき言葉が紡がれたのよ。


ガマンシナクテモヨイノデスヨ

やだな~私は我慢なんてしてないのに・・・・・・


「瑠璃様は以前とお変わりになられたように見えますし

我慢し過ぎているのでは?」

藤の宮様まで!

あたしは以前の瑠璃と変わらないわ!

藤壺の女御になったから、多少昔のようにおてんばらしさはなくなったけれど

それでもあたしは変わってないし我慢なんてしてない!

大好きな鷹男のそばにいる為に一生懸命に頑張っているだけなんだから!

 


大皇の宮様は何も言わずにあたしの頭をそっと撫でてくれる。

そうして、あたしを抱きしめてくれたの。

さっきまで涙なんて出てこなかった。

出す必要なんてない。

そう一生懸命に思っていたのに抱きしめられたその胸は温かくて

あたしは馬鹿みたいにそのまま号泣してしまったの。

女御と言う立場でこのような号泣なんて恥知らずな行為。

それも大皇の宮様の胸の中で大泣きするなんて。

けれどあたしは大きな声で泣けば泣くほど気持ちが真っ暗だったのに

少しずつ光が見えてくるような、久しぶりに気分が落ち着いている

不思議な感覚に見舞われたの。

 

 


どれだけ長いこと泣き続けていたんだろう。

あたしは泣いて泣いて泣いて、みっともない姿をお二人に晒してしまった。

けれどお二人の優しさが身にしみ

少しずつ自分の胸の内をお二人に話し、全て吐き出すことにしたのよ。

そのおかげで大分あたしは自分らしさを取り戻すことが出来たのよ・・・・・

 

 

 

あたしにとっての女御らしさとは鷹男にとってなくてはならない存在であること。

鷹男は帝という大役を背負い貴族だけじゃなく平民たちの生活を守る

大きな責任を負う立場。

そんな重責ある立場を少しでも支えることができるのが女御だと

あたしは思っているの。

当然後継者を産むのも女御の役割だけれど、それよりも

鷹男があたしの傍にいても安らぎと癒しを与えることができる

そんな存在になりたかった。

でも、あたしが後宮に入る時は沢山の貴族や女房達からの批判の嵐。

物の怪の様な怪しげな姫を女御にするのは相応しくないという声が

大きく無理にあたしを女御に据えたことで、鷹男の立場が

危ういとあたしは考えてしまっていたの。

だったら、模範になれる女御を目指せばいい。

大嫌いな作法やしきたりなどを頭に叩き込んで古参女房達を

味方につけて少しでも鷹男に相応しいと思われるような女御を目指した。

字もあまりきれいとも言えないけれどきれいな字になれるよう

新しい女房を雇い習った。楽器も数年真面目に弾いたこともないのに

鷹男に恥をかけさせてはならないと思い一生懸命に習い事もした。

その甲斐があって、今では周囲に何も言われない女御へと成長できたと

思えるようになっていった。

今までサボっていた分習い事は嫌でも鷹男の為だと思えば辛くもなかったし

苦手意識が強かったけれど上達すればするほど嬉しさが募り

あっという間に人に見せられるほどの上達ぶりに皆が驚いてくれた。

褒められる喜びを知ったあたしは、鷹男のことよりも

立派な女御になることに意識が回りすぎて、鷹男のことは

おざなりだったと思う。

あんなに鷹男はあたしのことを心配してくれていたのに。

あたしはどこで間違ってしまっていたのだろうか・・・

 

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村