妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

太陽と月1

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なんであたしはここにいるのかしら?

こうなってしまうなんて予想もつかないことだったのに

段々ここが居心地が良いと感じるようになってきたの。

あたしは内大臣家の総領姫の瑠璃。

婚約者の高彬がいたというのに、今は藤壺の女御といわれる

皆が羨ましがる地位に登りつめてしまったの。

当然あたしはそんな身分嬉しくもない。

ただあれよあれよと強引に女御になってしまった。

 

 

 

1ヶ月前、大海の入道事件が起こったの。

偶然雑色の鷹男という男に協力してこの事件を暴いたんだけど

その雑色だった鷹男がなんと東宮様だったの。

そうしていつのまにかあたしを気に入ってくれた鷹男は

病がちな帝に譲位され今上帝へと即位し、同時にあたしを女御として迎えたの。

高彬がいるというのにかなり強引に鷹男は

父さまに宣旨を下し、断る事は出来ないと父さまになきつかれた。

あたしは嫌だったけど女御として後宮に入ることになってしまった。

当然高彬なんて何も知らされず「瑠璃姫入内」

高彬と連絡もとる事なんてできないくらい

慌ただしく準備されてしまい、高彬に何もいえず別れることになったの。

高彬と早く結婚がしたいがために協力した事件が

まさか別れの原因になるなんて思いもしなかった。

でもあまりにも強引な鷹男にあたしは会ってすぐに文句をいってやったわ。

なのに鷹男は笑顔で

「瑠璃姫好きです。大好きですよ。」

そういわれて思わずぽ~~~としてしまって

ついつい気を許すことになってしまったの。

だって鷹男って容姿も優れているじゃない。

あたし好みのドンピシャで。

決断力もあるし帝に即位してからさらにかっこよくなったように感じるの。

高彬の事は好きだったけど、でも強引な鷹男に腹がたっただけで

高彬のことを思う気持ちはそんなになかったことにあたしは驚いていたの。

高彬と早く結婚したいと思っていたというのに

こんなに薄情なあたし自身にびっくりだわ。

でもあたしは少しずつ鷹男のことを気にしだし

今では多分好きなんだと思うようになっていたの。

ただやっぱりあたし以外にはすでに二人の女御さまがいるわけで、

だからこそまだ自分の気持ちにブレ-キがついているのだと思うわ。

そんな思いを持ちつつ、今の自分の立場を少しずつ受け入れていったのよ。


 

 

 

鷹男とあたしの仲は順調だと思う。

毎日藤壺に顔を出してくれるし毎夜とはいわないけど夜を共に過ごしている。

これはとても幸せなことなのだとずっと思えていたの。

鷹男が来れない夜は寂しいけど必ず連絡してくれるし、とてもまめなところもある鷹男。

かなり強引にあたしを入内させてからはあたしの御機嫌を伺う事も忘れないし

段々気持ちが鷹男へと傾いていく。

なんといっても鷹男はあたしのことをよく知ってくれている。

貴族の姫君であるような教養に全く興味がないあたしに

鷹男はいろいろな貴族の現在の位置関係や人間模様を教えてくれる。

詳しい政務の事はけして教えてはくれないけれど京の暮らし、

京以外の民達の暮らしぶりを話してくれた。

詳しいことを書いてある書物を貸してくれたり

後宮生活が退屈にならないようにあたしに配慮してくれる優しさがあり

とても嬉しかったの。

あたしが女房達と談話をしているとき鷹男は時々連絡もなしに藤壺に訪れるの。

そんな時大慌てで小萩たちが鷹男の席を作ってくれるのだけど

鷹男とあたしはそのさまを二人でこっそり笑ったりして楽しんだりしてたのよ。

今日も小萩や他の女房達をからかったあたしたちは

久しぶりに昼間を一緒に過ごすことが出来たの。

「瑠璃姫、今日も小萩殿達が慌てて見えて楽しかったですね。」

「もう鷹男ったら。うふふ~そうね、

でもあたしの大事な女房達をからかうのはよくないわ。」

「そうですが瑠璃姫も私の冗談にいつも乗って下さるので

私だけが悪いわけではありませんよ」

「ふふそうね。」

「でもやりすぎはよくないですから今度美しい衣でも届けさせましょう」

「本当!鷹男ありがとう!皆喜ぶと思うわ。」

「もちろん私の大事な瑠璃姫のためですからね。」

鷹男はあたしを喜ばせるのがとても上手。

あたしはしだいに鷹男を愛しはじめていったの。

こんなにあたしを大事にしてくれる鷹男を

今度は自分なりに助け、一緒に苦労を共にし喜びも分かち合いたい

とそう思っていたの。






















藤壺の女御さま、本日主上はこちらにお渡りにはなりません。

お体を休まれるように主上から申しつかっております。

最近こちらに伺ってばかりでお体をいたわることも出来ず

申し訳ないとそうおっしゃられていましたわ。十分お休みくださいませ。」

そう命婦からいわれ、あたしはその言葉を完全に信じきっていたの。

 

 

 

 

う~~~~ん今日は鷹男のいう通り早めに休もう。

そう思っていたのに何故だか寝つけない。

鷹男と一緒に過ごすことになれてしまったあたしは

一人寝はもう出来ないのかと思い

一人で顔を赤らめながら藤壺を誰にも内緒で出ていったの。

いつの間にかあたしは一人で鷹男のことを思いながら

歩いていったため、いつもなら近づく事がない

丞香殿へと足が向いていたことに気がつかなかったの。

真夜中、皆が寝静まった後宮は静かだった。

そう思っていたのに誰かの声がかすかに聞こえてきたの。

ついこんな時間にまだ起きている人もいるんだと

近づいていってそれが誰なのか気がついてしまった。

それは自分が今まで想っていた鷹男の声だった。

それと同時にもう一つの声も聞こえてきた。

か細い、でもなやましい女性の声だった。

鷹男が自分以外の女性と一緒にいるところをじかに聞くのはやっぱり嫌。

多分丞香殿の女御さまと今日は夜を共に過ごしているのだと

すぐに気がつきここを離れようと思ったその時、

あたしは思わず立ち止まり表情を変えた。

まさか・・・・・・

あたしは今聞こえた言葉は気のせいだとそう思った。

でもまた聞きたくない言葉が聞こえてきたの。

「公子姫好きです、大好きですよ」

そう聞こえてきたの。

だってその言葉はあたしに囁いてくれるそのものだった。

それも鷹男は丞香殿の女御さまの御名を囁いているのだもの。

あたしは衝撃だった。

鷹男は丞香殿の女御さまとあたしの扱いは殆ど同じだということに

あたしに囁くのと同じ言葉で、

同じように優しく丞香殿の女御さまに言っているの。

そんな・・・・・・・

あたしは勘違いをしていたのだろうか?

あたしは驕りすぎていたの?

鷹男はあたしの他に女御さまが二人も見える。

それでも鷹男の特別はあたしなのだとそう思っていた。

あたしだけだけだと、他の女御様は義務なんだと、

そう思い込んでいたのに・・・

そんな・・・・・

涙が出てくる。

もう鷹男と丞香殿の女御さまの声は聞きたくない。

あたしはすぐに藤壺に戻り褥に潜り込む。

先ほどの声は絶対に信じたくはない。

聞きたくない。

なんであの場にいってしまったの。

ずっとぐるぐると先ほどのことが頭から離れられない。

鷹男の気持ちが恐い。

でもあたしは先ほどのことは信じることが出来ず

結局その晩を寝ずに過ごすことになってしまったのよ。


 

 

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