妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

信じたいのに5

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後宮ので生活が落ち着き始め、私が周囲に受け入れられるようになった頃
私と鷹男の距離は少しずつ離れていってしまっていた。
そう感じているのは私だけ。
以前と比べて鷹男が藤壺を訪れる回数は少なくなり
毎日夜をともに過していたのにその回数も激減していたの。
私が鷹男を独り占めしていたのに
ついに、鷹男は私以外の女御様とともに過す日が多くなっていった。
 
 
 
分っていたこと。
鷹男には私以外に妻が二人もいたし、私はまだ新参者の女御。
最初は独り占めできるかもしれないけれど
それは初めだけ。
でもやっぱり鷹男が他の女御様をお召しになるのを聞いて
平静でいられないわ。
鷹男の視線を一身に受け入れるのはあたしだけだったらいいのに、
愛を囁く一方で、他の女御様とも同じ会話をされているのかと思うと
嫉妬心が湧いてきてしまう。
嫌な女。
あたしの他にも妻がいるのは分かっているのに
分かっていても、愛しているからこそ許せない気持ちが
どこからか湧いてきてしまう。
世の中の女性はこの気持ちをどう昇華しているのだろう。
我慢しきれず誰にも知られないように涙を隠すことしかできない。
これほど苦しい想いを・・・・・
 
 
 
 
後宮に来て半年が経っていた。
後宮は表面上は平和に見えていた。
けれど、あたしは自分の気持ちがドンドン落ちていることに気がついていた。
そう・・・・鷹男が鷹男じゃない・・・・・・
鷹男は今でもとても優しく私に接していてくれる。
でも・・・・・
鷹男は私の藤壺を訪れてくれるけれど
それは他の女御様にも平等であるということ。
夜のお召しも、頻回ではないけれど
他の女御様と平等な扱いになっていたの。
そして一番辛いと思うのは
鷹男が私と視線を合わせようとしない・・・
あたしは何かをしてしまったのだろうか?
聞きたいのに、言えない。
いつからあたしは憶病になってしまったんだろうか?
鷹男が好きだから・・・好きだからこそ嫌われたくない。
もう、お前なんて好きじゃないと言われたら・・・・
あたしは狂ってしまうだろう。
鷹男はそんな人じゃないと信じたい。
信じたいのに疑心暗鬼になってしまう。
 
 
 
以前は私をいたわる様に、そして私の変化を見逃さないといわんばかりに
熱く私に視線を注いでくれていたのに
今はその情熱も消え
私を他の女御様と平等に扱ってくれていた。
 
 
 
 
あたしはそれがとても嫌だった。
これが当たり前なの?
特別扱いをしてくれていることに胡坐をかいていた結果なの?
人の心は移ろいゆくもの。
それは鷹男に当てはまらないと思っていたあたしの驕りだったのかな?
 
 
 
 
あたしは小萩だけを残し
小萩に聞いてみることにしたの。
 
 
 
「小萩、最近の主上は変わったような気がするのだけれど
気がついたところはある?」
「いいえ女御様。主上は特にいつもとお変わりはないように存じます。」
「でも・・・・主上は私から離れていってしまったように感じるわ。
 以前よりも藤壺に起こしになる回数が減っているし・・・・」
「そんなことありませんわ。
以前のようにお越しになる回数は減ったかもしれませんが
それでも女御様の元にいらっしゃるではありませんか?
昨日も女御様を夜のお召しになられましたし。」
「そうだけど、他の女御様とも同じ扱いだし・・・・」
「そうでございますか?女御様への寵愛が一番大きいと思うのですが」
「そんなことないわ!」
「女御様・・・・・・」
 
だって・・・だってそうでしょう・・・・・
鷹男はあたしを見てくれてない。
鷹男はあたしを見ようとしないもの。
これが普通なの?
主上は女御を平等に扱わないといけないのは確かに分るわ。
女御達の後見人の目があるのですもの。
でも・・・・それでも鷹男はあたしを愛してくれる。
そう信じていたのに・・・・
 
 
 
 
 
 
馬鹿ね・・・・・・
そんなこと最初から分っていたのに
鷹男はお主上であり、あたし一人が独り占めできる存在じゃないじゃない。
でもね・・・・心の奥底で鷹男はあたしをずっと特別な存在として
一生あたしへの愛は変わらないんじゃないか。
そんな小さな期待を持っていたの。
鷹男には鷹男の事情があって
あたしを特別扱いできないかもしれないけれど
あたし達の間の絆はそう簡単に離れることはないとそう思っていた。
でも実際は違っていた。
 
 
 
鷹男はいつのまにかあたしを藤壺の女御としてしか見てくれていない。
もうあたしを瑠璃個人としてみてくれることはないの。
 
 
 
 
鷹男も他の男達と一緒なのかな?
心の奥の奥にしまっていた気持ちが浮上してくる。
やっぱりそうかって。
あたしを手に入れたら鷹男はあたしから気持ちが冷めて
どうでもよくなってしまうんじゃないかって
なかなか手に入れられない存在だからこそ気持ちが高ぶって
どうしても欲しかっただけじゃないか。
殿方というものはそう言った存在だと巻物や義理の母から
そう教えてもらっていた。
それも恋の駆け引きなのだと女房達も話をしているのを何度も
聞いたことだってある。
けれど鷹男に限ってそんなわけないじゃない!
そう思っていても鷹男との気持ちが随分離れてしまったことで
凄く傷ついていたのよ・・・・

 

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