妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

好きなのに~渦巻く嫉妬の嵐10


招かれざる客を預かってから半月が経っていた。

鷹男の寵がある女性だということから麗景殿ではかなり神経質になっていた。

楓という女性が乗り込んできたのですもの。

女房達は警戒してピリピリしていたわ。

けれど彼女は大きな動きを見せることなくずっと静かにしていたの。

出しゃばらずかえってあたしを立ててくれるし女房達の仕事も手伝ってくれる。

あたし達は後宮生活が長い訳じゃない。

だから後宮の行事や応対、人間関係。

分からないことだらけ。

それをゆっくりあたし達に教えてくれるのよ。

段々楓さんはこの麗景殿に素直に迎え入れられるようになっていたのよ。

そのおかげで後宮で生きるための術を修得することが出来た。

でも・・・・・それでも・・・・・・・やっぱりあたしの心はドンドン醜くなっていくのよ。

 

 

 

楓さんが麗景殿の客になってから鷹男は毎日のように麗景殿に渡るようになっていたの。

凄く嬉しかった。

毎日麗景殿に来てあたしと夜を過ごしてくれる。

まるであたしだけが鷹男の后であるようにそんな幻想を抱いてしまっていたの。

それが幻だと気付かされたのはそんなにたたないある日のことだった。

その日も鷹男はあたしの元に来てくれていたの。

 

 


「瑠璃姫、後宮での暮らしは慣れましたか?」

「そうね~全然慣れないわけじゃないけど後宮での生活はあたしには肌であわない感じよ。」

「そうですか~」

「鷹男、そんなに残念な顔をしないで頂戴!あたしは確かに後宮での生活は一生慣れるわけじゃないと

思う。それでもあたしはあんたの傍に居ようと決心したんだもの。その為には慣れない後宮生活

頑張ろうと思うわ。」

「瑠璃姫・・・・・ありがとうございます。あなたなら後宮生活を自分流に直してより良い後宮

してくれる、そう願っていますよ。」

「自分流?」

いつもと変わらない会話。優しい鷹男。毎日あたし以外は召さない鷹男。

あたしは安心しきっていたのよ。

あんな暗雲が立ちこめていたのに。

普段の会話をしている最中に鷹男が吐き出した言葉にあたしは反応していたの。

自分流?より良い後宮生活?鷹男は一体何が言いたいの?

「鷹男・・・・後宮をより良い生活にする?それも自分流に?

あんたが何を言おうとしているのか分からないわ。」

「今は分からなくてもいいです。しかし今度からはそれを意識しながら周りを見ていただけませんか?

あなたには私のパートナーになっていただきたいのですから。」

真剣な言葉。鷹男があたしに何をいいたいのかさっぱり分からない、

それでもあたしはその言葉を受け止めようとそう思っていたの。

それからあたしと鷹男は世間話に花が咲き楽しく過ごしそのまま夜も過ごすことが出来る。

そう思っていたのにその日は違っていたの。

夜も遅くなり急に鷹男が腰を上げたの。

「あれ?鷹男どうしたの?今日は泊まっていくんじゃないの?」

「今日は瑠璃姫の元で泊まることはしません」

キッパリと否定されてしまう。

そうして鷹男は飛んでもないことをいい出したの。

パチン!

扇の音で小萩が呼び出されたの。

「お呼びでございますか?東宮様」

「小萩今日は楓の元で過ごすことにした。悪いがこれから楓の部屋まで案内してくれないか」

「「なっ!?」」

あたしも小萩も言葉が紡げないほど驚いてしまう。

そんな!

どうして!

なんて酷い人なの?

鷹男は東宮様だからよけいに一人の女に縛られる訳にはいかない。

沢山の女性と関係して跡継ぎを作り出さなければならない。

それが義務なんだから!

それは頭では分かっていることよ!

そんなのは分かっているわ。

でも!でも何で目の前で伽の命令を聞かないといけないの!

あんまりよ!

あたしはか~~~~~っとなっていたの。

でも反論することができない。

そんなこと当たり前のことなんだもの。

一夫多妻。それが常識なんだもの。

あたしのいい分がいけないんだもの。

「鷹男!!!!」

あたしは思わず言ってしまいそうになった。

鷹男!あたし以外と夜を過ごすのは止めてって!!!

嫉妬に苦しむ愚かな女の姿よね。あははは~

そんなこと分かっていて鷹男と結ばれたのにそれが目の前で見ると我慢できそうにない。

「瑠璃姫?」

鷹男が不審そうにあたしを見つめる。

「何でもないわ。引きとめて御免なさい」

あたしはまだ何も言えない。

鷹男にそれを言っても仕方がないと思う。

今の世の中それが当たり前なんだから。

一瞬頭の中で鷹男の言葉が通り過ぎていった。

後宮を自分流に?

?????

その言葉を思いだし何かが見えた気がした。

でもやっぱりまだあたしには理解できない言葉だった。

鷹男がいそいそと楓の部屋に行く姿をあたしはただ黙って見ていることしか出来なかったのよ。

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