妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて5


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あんなに吉野に帰りたいと思っていたのに、自分が鷹男に恋したと自覚した途端もう吉野に帰ろうという気持ちはおさまっていったの。
変わりについ鷹男のことを思い浮かべてしまうのよ。
あたしは今まで恋をしたことがない。
吉野から出ることは許されていなかったから男性への免疫は極端になかったといえるわ。
でもね~あたしにとって会ったことがなくても生まれながらの婚約者だった鷹男には深い思いれがあったの。
多分鷹男は覚えていないかもしれないけれど、あたしがまだ幼い頃鷹男から何度も文をもらっていた。
鷹男が幼い頃に書いたと思われる拙い字で書かれた文をあたしは大切に大切に保管していたの。
まだその頃は、小さすぎて字もろくに読める状態じゃなかったから読めるようになったときとても嬉しかった記憶があるわ。
でもあたしが字が読めるようになった頃には、鷹男からの本当の文をもらう機会がなくなっていたの。
文は全て代筆だったから。
どうして急に自分の字で文を贈ることがなくなったのかは知らない。
それでもあの拙い字にはあたしへの一生懸命な想いがこめられていたわ。
だからこそ鷹男はあたしにとって特別な存在だった。
凄く会いたくて会いたくて・・・・でも会えなくて。
今さら鷹男との結婚を強要されてもあたしにも意地があった。あたしを思わない人と結ばれたくない。
そんな思いを胸にしていたけど、鷹男の気持ちが分かった瞬間あたしの頑なな心が壊れ、本来の鷹男への恋心が開花した。
後宮での生活はとても不安だったけど鷹男と気持ちが通じたおかげで前向きに進むことが出来るわ。

「瑠璃さま、東宮様がもう少ししたらお見えになるそうですわ。」
「うん、分かったわ」
鷹男は毎日あたしに会いに来てくれる。
鷹男は東宮様だからとても忙しいみたいだけど、時間を作ってあたしに会いに来てくれるのがとても嬉しくてついついにやけてしまうのよ。
「瑠璃さま~~~~~幸せそうですね~」
小萩があたしをからかってくるわ。
「うん、そうね~」

あたしも素直にそのまま受け止める。
「瑠璃さまをとても大切にして頂いていて私も安心しました。東宮様はお忙しいですのに時間を作って会いに来てくれているのですから。まだ正式な女御様ではあられないのに。
それにしてもどうして未だに瑠璃さまは女御様になっていないのでしょうか」
それはあたしも不思議だった。
正式な女御にもなっていないのに部屋を賜るなんて異例のことだったから何か理由があるのだろうか?
そう思っていた時鷹男があたしの元に来てくれたのよ。





















「瑠璃姫ご機嫌はいかがですか?」
「鷹男!特に変ったことはないわ。」
毎日会いにきてくれてありがとう、凄く嬉しいんだからね。そう心の中で唱える。
今まで意地ばかり張っていたから素直に言うことができない。
でも今までは嫌で嫌で仕方がなかったけど鷹男が来るのを今か今かと思っているんだからね。
「今日は珍しい物を持ってきましたよ。」
「なあに~?」
「口を開けてください。」
???
あたしは素直に口を開ける。
その時口の中に何かが入り甘い甘いものが染み出してきたの。
「あま~い~~~~~~」
とても甘くて美味しかった。
「鷹男!これはなんなの!?」
「それは唐から渡ってきた物ですが唐のもっと遠い国のお菓子で金平糖というお菓子だそうですよ」
「へえ~~~そうなんだ。」
あたしはもっと金平糖が欲しくて口を開ける。
そうすると鷹男が口の中に入れてくれる。
それを何度も繰り返していた時急に鷹男が笑い出したの。
「クスクスクス」
「鷹男どうしたの?」
「瑠璃姫は可愛らしいお方だ。私に口付けを誘っているのですが?」
「なっ!そんなことあるわけないじゃない~~~~」
「でも可愛らしい口を開けて私の口付けを待っているかのようにも見えますよ~」
「そんなことあるか!皆が見ている前でそんな破廉恥なことできないわ!」
「ふふふ、さてさてどこに人が見ているのですか?」
「周りに人が沢山控えているじゃない!」
けれど周りを見ても誰もいない。いつの間にかあたしと鷹男の二人きりになっていたの。
「あれ?」
「瑠璃姫が可愛い仕草をしているうちに周りのものには退出していただきました。」
嘘?全然気が付かなかった。金平糖に気をとられていたから~
でも今は誰もいない。あたしと鷹男だけなのね。
思わずあたしは顔を真っ赤にして鷹男を見たの。
あたしと鷹男は甘い甘い口付けを交わす。
今では鷹男との口付けはしょっちゅうで鷹男の温かさが感じられ、あたしはさらに幸せを実感するのよ。
こんなに幸せでいいのかなあ~
幸せすぎて怖い。
そんな一抹な不満を抱いていたのよ・・・・・























後宮での生活も慣れていった。
でもあたしには窮屈な暮らしはとても苦しくて時々気分転換もしたくなってくるの。
そんな時は教養や楽を習うのをさぼったりして皆から姿を消すのよ。
後宮はとても広くてなかなか見つからないからあたしはそんな時に羽を伸ばせるのよ。
後宮の庭先には沢山の木々が植えられているの。人が登っても丈夫な立派な木がね。
だから吉野で登っていたようにいまだに木登りはやめられないのよ。
木登りをする姫君なんて命婦たちにとっては考えられないためか見つからないの。
その間は風を感じつつあたしはいつもお昼寝をするの。
窮屈な生活では感じられない自然の中で今まで過ごしていたあたしにとっては一番の休息場所だった。
小萩たちあたし付の女房たちは後宮内はあまり知らないためおいそれとあたしを探しにいけないため
さらにあたしは見つかる確立は少なくなる。けれどあたしは最後には必ず見つかってしまうの。ある人物にはね。

「瑠璃姫、見つけましたよ。」
「鷹男!」
そう鷹男だけにはどうしても見つかってしまうの。
この広大な庭の中からあたしを探し出すのはかなり困難なはず。
なのにあたしをすぐに見つけてしまうのはどうしてなのかな?
鷹男にだけはあたしが見つかってもいいと思っているからかな?
「瑠璃姫やっと捕まえましたよ」
「えっ!どうして~~~~~」
あたしはひどく驚いてしまった。何故なら鷹男があたしの隣に腰掛けていたから。そう鷹男はなんとあたしと同じく木登りをしてあたしの隣にいるの。いつもだったら木の下で手を広げてあたしを抱きとめてくれる。そうしてあたしは木から降りるのだけれど鷹男が木に登るなんて初めてのことだったから凄く驚いてしまったわ。
「瑠璃姫がどんな風に木から景色を眺めているのか知りたかったからなのです。あなたの気持ちと共感したいと思いましてはじめて木登りをしてみました。それにしても同じ庭なのに上から眺める風景は格別ですね。」
「そうでしょう~~~~綺麗なんだから!」
「普通に眺めるだけでも綺麗だけれど違った風景も楽しくなってしまいますね。」
あたしは段々顔が真っ赤になっていたの。だって鷹男と体が密着しているのですもの。
凄く心臓がばくついているわ。心臓がどきどきしているのを知られるのも凄く恥ずかしい。
「ねえ~瑠璃姫きがついてましたか?」
「何を?」
「瑠璃姫はここから一体何を眺めているのでしょうか?」
「え!ただこの辺の庭先を眺めていただけよ」
「そうですか。」
あたしは鷹男に嘘を言っていたの。
確かにあたしはどこかをずっと眺めているわけじゃなかった。
それでも自然に体がそちらを気にしていたのかもしれない。
自分では意識をしていなかったのに。
ここから見ても見えるわけがなかったのにね。
鷹男に指摘されるまであたしはそれに気がつかないでいたのね・・・・
それが一体どこなのか結局あたしも鷹男も口に出さなかった。
鷹男はそれ以上あたしに言ってこなかった。
そのほうがあたしにとっては都合が良かったから少しほっとしていたのよ・・・・

 

 

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