妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて9


 

 

写真素材 pro.foto

 

 

あ~~~~今日もいい天気。
風が吹いて気持ちがいいわ。実はあたしは、本当に外に出ているの。それもお忍びじゃなくて公式な行事として後宮から外に出ることを許されているのよ。

まだ正式な女御じゃないから、外に出る許可を頂いてきたの。

今日は鷹男や若い公達たちが鷹狩りをするということで、あたしは隅っこのほうで見学を許されていた。初めて鷹狩りを見るわ。皆腕を振るいながら狩りを楽しんでいる。イイナ~~~あたしも出来るんだったらやりたいな。そう思いながら鷹狩りを眺めていたの。
そのときだった。
誰かの悲鳴声がこの場を支配する。
「梨壷の女御様~~~~逃げてください!」
え!?何なの?????
あたしの後ろを指して誰かが悲鳴を上げる。
すぐに後ろを振り返ると鼻息が荒い猪があたしに向かって突進してくるのが見えた。
嘘~~~~~
この場は大パニックになり、皆猪から逃れようと走り回る。
「瑠璃様!」
小萩の声に誘導されたあたしは、慌しく猪から逃れるようにその場から離れる。
けれどなぜか猪はあたしの方へと突進してくるため無我夢中で走るしかできなかった。
「女御様!こちらです。」
誰か女房の声を聞きあたしと小萩はその声の方へと一生懸命に走った。
その声の主がどの方向へあたしを誘導しているのか分からずただ従うことしか出来なかった。
重い衣を持ちながら走るのはとてもしんどくて苦しかった。
そして「きゃあ」ドタン!
「小萩!?」
小萩が誤ってこけた。
「大丈夫なの?小萩!」
「申し訳ありません瑠璃様。」
あたしは小萩を立たせる。
やっとあたしは周りを見回すことが出来たのだけどいつの間にかあたし達は二人だけになっていた。もう猪の姿はないようだった。
「小萩、もう大丈夫よ。猪はいないみたい。」
「そうでございますか。少し安心いたしました。」
でもここは一体どこなんだろう。今までは平原にいたのに今は山の中にいるわ。
近くに人の気配はないし、ずっと走り回っていたから道に迷ってしまったわ。
どうしたらいいの?

あれ?小萩が居ない。さっきまで一緒にいた小萩の姿がなくなっていた。
その時ヒュン!
あたしの横をすっと何かが通り過ぎた。そして後ろの木に矢が突き刺さったの。
えっ!何!?何で矢があたしのすぐ横を通り抜けるの?危ないじゃない!!!
その矢が来た方向をあたしは眺める。
そうしたら見知らぬ男があたしの方へと矢を射るように向けていたの。なんで?誰?
「あたしが梨壷の女御だということを知っての狼藉ですか!」
あたしはその男に食って掛かった。
だがその男は何も言わずにあたしの方へと矢を向ける。
パキッ。
他にも誰かがあたしの近くにいる気配がしたの。
あたしはそちらの方へと頭を向けた。
「鷹男!!!!」
鷹男が来てくれた。あたしを助けに来てくれたのね。
あたしは安心して力を抜いた。これであたしは助かる。でも・・・鷹男の様子がおかしい。
あたしを助けようともせずそこから動こうとしない。
あたしを狙おうとする男がいるのにどうして!
「鷹男!」
もう一度あたしは鷹男と名前を呼んでみた。その時鷹男はにやっと微笑を浮かべた。
「何をしておるのだ。早く瑠璃姫を!」
えっ!?何を言っているの?鷹男は今何と言ったの?
「もういい!この私がじかに瑠璃姫の命を奪おう。」
「鷹男・・・・あんた何を言っているの?」
鷹男はあたしの方へと自分の弓を向けた。
鷹男の顔は真剣で冗談を言っているようには見えなかったの。
「瑠璃姫、あなたにはここで死んでもらいます。あなたは猪に襲われその猪をしとめようとした矢に刺さり事故死する。そうシナリオが出来ています。ですからここで死んでください。」
「なっ!何を言っているの?鷹男、嘘でしょう~なんであんたがあたしの命を狙うの。あんなに優しかった鷹男が急に命を狙うなんて冗談としか思えないわ。」
「冗談ではありません。元々私はあなたの命をずっと狙っていました。あなたに優しかったのは、私を好きにさせて絶望のうちに死んでもらうためです。あなたへの優しさはまやかし。本心ではなかった。」
「そんな!!!そんなこと嘘よ!鷹男!信じない、信じないわよ!」
「信じるか信じないかはあなたの意思にお任せします。けれどこれが現実です。今すぐ死になさい!」
ヒュン。
またあたしの真横を矢が駆け抜けていく。
逃げなくちゃいけないのに体が動かない。
なんで!何でこうなってしまうの!
ヒュン 「痛い!」
鷹男の矢が、今度はあたしの片足を掠める。
その矢の痛みが、これを現実として教えてくれる。でもあたしは今の状況を到底受け入れられない。
鷹男があたしの命を狙うなんてそんなこと嘘よ!
でも矢が掠めたところが熱を帯びて熱くて熱くて仕方がない。
もう第二陣の矢があたしの方にやってくる。
あたしは覚悟を決め目を瞑った。
けれど、どれほど待っても第二陣の矢が現れない。
目を開き鷹男にもう一度聞こうとしたときあたしと鷹男の間に誰かが入っていたの。
何!?どういうことなの?
「兄上!弓を退きなさい!」
「宗唯!何故お前が!」
「兄上時間をかけすぎです。もうこれ以上は兄上が疑われます。退いてください。」
「・・・・・・・・・・」
「兄上、もう瑠璃姫への復讐は止めた方がいい。瑠璃姫の命を狙って苦しむのは兄上なんですよ。」
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!!」
「兄上!もういいでしょう。瑠璃姫。」
あたしは弾正院宮様に助けられた。
あたし達が去るとき、鷹男は何も発しなかった。
でも、なんであたしは命を鷹男に狙われないといけないの。鷹男はあたしを恨んでいるの?
分からない、分からないわ。結局あたしは黙って弾正院宮様に助けられただけで何も話せなかった。
鷹男に命を狙われたことがショックで何も考えられない。あたしは侍医に手当てを受け部屋へと戻った。
幸いなことに足の怪我は深くなくて、思ったよりも軽傷だった。
怪我は深くはなかったけど、あたしの心は深く傷ついていた。愛する人に裏ぎられ命まで狙われていたのだから仕方がないと思う、
あたしは苦しくて苦しくて仕方がなかった。
でも今は何も考えられない。
あたしはそのまま泣きながら夜を明かしたのよ。

 

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