妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語13

亥一刻

また急に鷹男が藤壺にやってきた。

あたしは今自分の気持ちが鷹男と吉野の君の間で揺れていることに気づいていた。

でも、自分はどちらを選べばいいのか、どうしたいのかまだ結論をだせずにいたの。

それに今日はいつもの鷹男と雰囲気が違うように感じる。

「瑠璃姫ご機嫌はいかかですか?」

「いつもと一緒だわよ鷹男。」

「そうですか・・・」

「・・・」

「・・・」

会話が続かない・・・どうしたのかしら?

いつもなら気障な話をぺらぺら話すのに鷹男の様子が違う・・・

「鷹男?今日はどうしたの?なにかあった?」

「・・・なにもありませんよ・・・」

「・・・」

「・・・」

「話がないのにどうして来たのよ」

ついいらいらしてきつい言葉になってしまったの。

「それがあなたの答えですか?」

鷹男が怖い表情であたしに衝撃的な言葉を投げかけたの。

「もうあなたと会うことはできませんね。」

「えっ?」

どういうこと・・・鷹男はいったい何を言ってきたの?

もう会えないの?

あたしは鷹男と会うことはできないの?

あたしが嫌いになった?

なんで?なんでそんなことになるの?

あたしは鷹男に何かしたの?

・・・・・・・・・

長い沈黙が続いた。

どれだけ経ったのかはわからない。

そして鷹男が立ち上がり

「瑠璃姫さようなら、お幸せに」

急に立ち去ろうとしたの。

あたしは何が何だかわからなかったけど怒りに頭がかっとなってしまい

部屋の脇息を鷹男に投げつけて大声で叫んでしまっていたの。

ここがどこでそして時刻も気にせず、鷹男にぶつけてやった。

「いい加減にして!」

ドドン!

「女御様いかがいたしましたか?」

すぐに小萩があたしの所にやってきた。

「ごめんね、小萩、あはは、気にしないで!また怖い夢を見て

つい脇息を思いっきり蹴っ飛ばしてしまったのよ。」

「瑠璃様!こんな夜中に!そうでございますか?」

「うんだからほら、他の女房達にも何もないって言っておいてよ。」

「本当に何もありませんか?・・・瑠璃様」

「うん、なんでもないわ・・・ありがとう小萩。」

小萩は部屋までは入らずそのままあたしの言う通り退出してくれたの。

ほんとうならこんな物音と女御の声が聞こえた時点で

中に入ってくるのが当たり前なのにあたしだから

小萩は何も言わずにいなくなってくれたんだわ。

ありがとう、小萩。

 

「ちょっと鷹男、一体どういうことなの?本当のことを言ってほしいわ。」

「瑠璃姫申し訳ありません。」

鷹男は脇息が背中にあたって痛いはずなのに

少しはなれただけで何かを考えてる様子だったの。

「瑠璃姫、あなたには私が必要ではないとそう思えて、

だからあなたとはもう会えない。

あなたの前から消えようと思います。」

「えっ?意味が分からないわ。どうしてあたしが鷹男を必要ないと思うの?」

「それは」

「鷹男言って!どうして急にそう思ったの?」

「それは、それはあなたが私以外の殿方を思っているから、だから。」

「えっ?」

「ここに訪れる前に本当は藤壺に来たのです。

しかし、瑠璃姫は吉野の君のことで悩んでいる様子だった、だから」

「それは」

確かに事実だった。

吉野の君と悲しい別れをした夢を見て、吉野の君を思ったのは事実。

でもそれと鷹男があたしと会わないことには繋がらないじゃない。

そのまま鷹男は何も言わずにあたしの前から姿を消してしまったの。

 

 

 

 

 

あたしは鷹男がいなくなったことで呆然としてしまったの。

あれからあたしは鷹男と会うことができなくなった。

そんなの当り前よね。

鷹男が誰なのかあたしは全く知らなかったんだから。

誰の雑色なのか、地位はどうだったのか?

実際雑色のくせに言葉使い、雰囲気、立ち振る舞いはそこんじょそこらの

雑色とは違う。

だから鷹男が何者なのか尋ねたこともあったわ。

でも、上手にいつもはぐらかされて鷹男が何者でどこの出身なのかも

分からなかった。

秋篠権の中将様にお聞きしても知らないの一点張りだし、

鷹男がいなくなり探そうと思っても全くの梨の礫で呆然とするしかなかったの。

でも、だんだん腹が立ってきた!

かってにあたしの気持ちを断言してあたしの前からいなくなるってどうなのよ!

あ~~~むかつくわ!

確かに吉野の君のことが気になるのは間違ってない。

あたしの初恋の君なのよ!

居なくなってもう会うことは叶わないと思っていた人。

そんな人と再会できたのだから心が揺れるのは仕方がないじゃない。

「瑠璃姫」

あ~~むかつくわ!

鷹男が勘違いしたことに腹を立てて怒りのままに階から石を投げていたあたしは

声をかけられていることに気づきもせずそのことばかりに気を取られていた。

「瑠璃姫。」

「何よ!」

誰よ!あたしは今機嫌悪いんだから話しかけないで!

「・・・?」

「すみません」

「・・・まさか吉野の君?」

「はい、瑠璃姫」

「やだ、ごめんなさい。吉野の君が悪いわけじゃないの。

ただ考え事をしていて・・・」

「ふふっ、いいのですよ。それが私のことなのだったら嬉しいのですが。」

「よ、吉野の君・・・ごめんなさい。実は違う人のことなの。」

「残念です。そうですか?それでは兄宮のことなのですね。」

「やだ、吉野の君、全然違うわ。あたしとお主上の関係は名ばかりの夫婦。

主上はあたしのことなどなんとも思っていないわ。」

「そうでしょうか?」

「そうに決まっているわ。ところでもうお主上は吉野の君が

弟宮だということを知ったのよね。」

「はい、大皇の宮から話があったと伺っています。」

「吉野の君はお主上と会ってお話したの?」

「いえ、まだあっていません。兄宮のほうから招いてくださらなければ

ご対面もできませんし。」

「確かにそうよね。」

「瑠璃姫、今日こちらに来たのは前回の話の件の返事をいただきたくて

まいりました。」

「なななっ、吉野の君、早くない?」

「もう幾日か経ちました。瑠璃姫の気持ちをお聞かせくださいませんか?」

「ええ~~~~と!」

あ~~~んどうしよう。

吉野の君のことを全く考えていなかったわけじゃないけど

鷹男との別れのことが気になって吉野の君のことを考えるのが

薄れてしまっていた。

どうせ鷹男とはどうあっても一緒になることは叶わない。

そしたら好きでもないお主上の下で女御なんてしていても

仕方がないかな。

自分のことを愛してくれていて、なおかつ自分が昔愛した人と

一緒に暮らせばいいじゃない。

でも、なぜか鷹男の顔が浮かんでは消える。

鷹男が悪いのよ。

あんな別れ方をするから!

あたしが黙って下を見続ける姿に吉野の君は何を感じたのか

いつのまにやら吉野の君に抱きすくめられてしまったの。

「瑠璃姫、やっと父上に自分を認めていただけました。

だから京を離れて私と一緒に暮らしてくださいませんか?

私はあなただけを愛し続けます。一生あなたは私のものです」

優しい吉野の君の想いがあたしの心を満たしてくれる。

あたしは幸せな気分になった、いえ、なると信じていたの。

でも・・・

「瑠璃姫いかないでください・・・

私こそあなただけを、あなただけを愛しているのです。」

あたしの後ろで急に鷹男の声がした。

声のほうを見たら鷹男の悲痛な真剣な眼差しがあたしを貫く。

「鷹男!」

「兄宮!」

???????!!!!!!!

兄宮?吉野の君は兄宮と言わなかった?鷹男のこと?

えっ、だって鷹男は誰かの雑色でしょう?

聞き間違いだよね。

「唯恵、いや私の弟宮か。

鷹男は吉野の君の言った言葉を否定しなかった。

まさか・・・まさか・・・鷹男が今上帝だったの?

うそっ・・・

今のあたしは鷹男が今上帝だという真実を受け入れることができなかったの。

 

 

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