妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて~鷹男視点2~

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画像は下記サイト様から。
https://www.beiz.jp/

 

 

私の部屋にただ一人佇む人がいる。

居るはずがない人が・・・・・

「母上・・・・・どうして・・・」

東宮・・・・・・・・・」

淑景北舎に幽閉されているはずの母上が、何故ここに居るのだ。

私が入ってきたのを知って母上は嬉しそうな表情をしたのだ。

東宮・・・・ありがとう・・・・ありがとう・・・」

「何をおっしゃっているのですか?」

私は母上に感謝の言葉を言われることを一切していない。

母上の目的は瑠璃姫への復讐。

それをいまだに私は達成していないのだから

感謝を述べられてもどうしようもない。

なのに母上は、私にひたすら感謝の言葉を述べる。

東宮、あなたのおかげで私はやっと解放されます。

ずっと怨んできた瑠璃姫を手にかけてきたのですね」

何を馬鹿な!私はいまだ瑠璃姫に手をかけれないことを

苦にしていたのに、何故母上がそんなことを。

「ほら!あなたの手は瑠璃姫の血で染まってますよ」

「なっ!?」

私の手には瑠璃姫の首に手があり、

私は瑠璃姫を絞め殺そうとしているところだった。

「嘘だ~~~~~~~~~~!!!!!!!!」

そう言った途端、私の手から瑠璃姫は消え、

いつの間にやら血も消えていった。

ホッとした途端、今度は私が首を絞められる番だった。

東宮!!!!嘘だったのですか?未だに瑠璃姫はのうのうと生きている。

あなたは母上の言いつけを守ってくれたのではないのですか?

早く瑠璃姫を不幸に落としなさい!

出来ないなら私があなたを道連れに!」

「わあ~~~~~~~~~~~~!!!!!」

ばさっ!!!!!

はあ~はあ~はあ~夢か!

瑠璃姫が後宮に入ってから毎日この夢に苛まれる。

同じ夢ではないけれど、母上が私の元に来て

瑠璃姫を不幸にしろと催促してくる夢ばかり。

これは現実じゃないと分かっているのだが

どうしてもそれを無視することが出来ないのだ。

幼いころに経験したトラウマは、永遠に消えることはないのだろう。

本当ならもっと早く準備は出来ていた。

瑠璃姫が京に着いたらすぐにでも実行に移して良かったのだ。

だが、瑠璃姫は思った姫君とは違っていた。

親の思い通りになるどこにでもいる姫ではなく

探究心が旺盛なおてんばだった。

人の言ったことにすぐに反応して私に反論する姫。

東宮である私に反論するものなど今までいなかったのに

この姫は言いたい放題で素直に話す。

これでは実行に移しても、瑠璃姫はそんなに苦しまないのではないか?

そう思い実行は一部変更したのだ。

瑠璃姫の気持ちを私に向ける。

そうすれば情の厚い姫のことだ。

彼女を苦しめることが出来る。

だから瑠璃姫が喜ぶことをいろいろしたり

贈り物を贈り、瑠璃姫の気持ちが私のほうに向くように策を講じたのだ。

男に免疫がない瑠璃姫を、自分のほうに気持ちを持ってこさせるのは

そんなに難しいものではなかった。

最初は私に警戒心を抱いていたが、徐々に気持ちは私のほうへと

預けるようになっていたのだ。

後宮では自分の本音を隠すことに長けているものなら腐るほど居る。

本音を隠さないものは、人に蹴落とされて後宮から出て行かなければならない。

それほど後宮はドロドロしているのだ。

騙されたほうが悪い。それが常識なのだ。

だからこそ、瑠璃姫のような姫君はここでは生活することが出来ないはずなのだ。

 私を信じきった表情。

吉野で大切に大切に育てられた姫君。

私と会ってそれほど時間が経っていないのに

どうして私を信じることが出来るのだろう?

私の本心ではない甘い言葉を鵜呑みにして、表情を赤くする姫君。

私はあなたの命を奪おうとするもの。

私を簡単に信じるなんて、何を考えているんだあなたは!!!

そう心で叫び続ける。

自分を好きにさせるように動いていたのに・・・・・

そうなるために動いていたのに、それが叶うと複雑な気分になってしまうのだ。

実行にうつして母上の願いをかなえればいい。

そう思うのと反対に実行を先延ばしする自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

その内、瑠璃姫が完全に私に落ちた。

これで私たちの願いが叶うだろう。

好きになった相手に殺される。

瑠璃姫は絶望し、私の目的も達成される。

これで母上も喜ばれるはずだ。

なのに・・・・・・

体が動かない。体が動いたと思ったらとんでもない行動に移るのだ。

この前の三条邸での件もそうだ。

本当はあのまま瑠璃姫を誘拐して、命を奪い後宮に戻るつもりだったのだ。

だが彼女がずっと気にしていた三条邸へと連れて行ってしまったのだ。

彼女の喜ぶ顔をみて私は満足してしまった。

何を考えているのだ。

彼女のゆがむ顔を見なくてはいけないのに

どうして笑顔を見たくなってしまうのだ。

これでは時間だけが過ぎ去り、目的は永遠に達成できないではないか。

だが・・・・この前の三条邸での帰り道

瑠璃姫の言葉は私の胸に突き刺さった。

彼女も結局内大臣の道具のために生まれてきた人間ではないかと。

彼女の悲痛な叫び。

自分は生まれてきてよかったのかと自問自動する姿に、私は思わず違う!

私だけは違うとそう彼女に言って聞かせてしまったのだ。

私は瑠璃姫が生まれてきたとき嬉しかったのだと。

私の生まれながらの婚約者ができて凄く嬉しかった

と彼女にどうしても伝えたかったのだ。

私は涙する瑠璃姫を見て、私と瑠璃姫は一緒なんじゃないかとそう思えた。

私も母上に縛られて目的を達成しようとし、身動きが取れないで居る。

そして瑠璃姫も、ずっと吉野から出ることが出来ないのに

私との結婚のために後宮に押し込められ自由をまた失う。

私も瑠璃姫も親の影響が強いのは同じなのだ。

私は思ってもいなかった。

瑠璃姫のこんな一面があったことに。

彼女も彼女なりに傷ついていたのだ。

いつも元気に振舞って、儚げな姿など一度も見せなかったのに

涙を流しながら自分のことを思いつめる。

その姿に私はグッときて彼女を抱きしめる。

けれど心の中の葛藤はとても大きかった。

そう・・・・私は瑠璃姫を滅ぼすもの。

それなのにこんな正反対な感情を持つことは許されないのだ。

私はこれ以上何も出来なかった。

そうこれ以上彼女に感情移入してはいけないのだ。

私は私のためにも。。。。。。

 

 

 

 

 

 

 

 


数日後彼女はあの時とは打って変わって元気な姿を見せていた。

いつものように私の元に瑠璃姫付の女房から

抜け出されて困っているという文をもらった。

丁度政務も終わり、一段楽したところだったため

瑠璃姫を探しに行こうと部屋から離れた。

女房達はなかなか瑠璃姫を見つけれないようだったが

それほど難しいものではなかった。

瑠璃姫は単純で、庭を出たとしても美しいと思う方へと

導かれるように散歩をしだす。

その道すがら楽しんで疲れたところの大きな木の上でお昼寝をする。

これがいつもの瑠璃姫の動きだった。

彼女の気持ちを汲み取りながら歩いていけば

自然に瑠璃姫の元へとたどり着く。

そう思いながら後宮へと足を運ぼうとしたとき美しい音色が聞こえてきた。

これは・・・・・・・・宗唯か。

私の一つ下の弟である宗唯の笛の音だった。

宗唯はどの楽器でもすばらしく弾きこなすことが出来るのだが

その中でも当代一だと評判なのがこの横笛だった。

相変わらず見事な音色だ。

私は瑠璃姫を探す前に、まず宗唯に会いに行こうと思い近づいていった。

そして!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

宗唯の前には瑠璃姫がびっくりした表情で対面しているのが見えた。

ざ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私は無意識に二人の間に割って入った。

すぐに瑠璃姫の頭の上に私の狩衣を被せた。

何故なのか私は怒りに支配されていた。

何故瑠璃姫と宗唯が二人きりで、

それも瑠璃姫は顔を隠さずに!!!!

考えてみればいつものように瑠璃姫は散歩をして

宗唯の笛の音に惹かれて姿を現し、扇で顔を隠せない所を

私が発見した直後だったのだろう。

ただそれだけ。

普段ならすぐそう思うのに、なぜか今は

瑠璃姫を宗唯に見られたことがショックで

瑠璃姫をこれ以上他の者に見せたくない!閉じ込めておきたい!

そう暗い感情がどんどん私の胸に入ってくるのだ。

許せない・・・・・・・・瑠璃姫は私の・・・・・・・・・

黒い黒い感情に私は支配されていた。

二人が自己紹介をしているだけでもいらいらしてくる。

普段通りに二人に見せてはいるが

心の中ではどす黒い感情が膨らんでいくのだ。

瑠璃姫を見るな!見るな見るな!

私はこの気持ちが何なのか気づけなかった。

後でこの気持ちに気がつくのだが、もう遅かった。

私は怒りに支配され、そしてずっと温めてきた計画を実行することにしたのだ。

もういいのだ。

瑠璃姫を、私は今度こそ壊す。

瑠璃姫・・・・・覚悟していてくださいね・・・・・・・・・・・

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