妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

秘恋4


写真素材 pro.foto

 

 

あたしの身体は変化していた。
最初は風邪っぽいなって軽く思っていただけなのに食事が中々取れない。
まさかと思ったけれど吐き気はない。
だから何か病気かと思い、典薬頭に罹ったときだった。
「おめでとうございます、北の方さま、やや子がお腹の中にいらっしゃいますよ。」

そう典薬頭が告げると女房達が声を上げる。

「北の方さまおめでとうございます!大臣や高彬様にも連絡をしなければ。」

周囲が騒ぎ出したの。
誰もが喜んでくれる。
けれどあたしの心は悲鳴を上げていた。
あぁぁーーー
あたしの態度に気がついた小萩が話しかけてくる。
「瑠璃さま、大丈夫ですか?顔色が悪いようです。体調が優れないようならお休み下さい。」
「ありがとう小萩、そうするわ」
皆があたしの部屋から出て行ってくれた。
あたしはそっとお腹を撫ぜる。

本当にあたしのお腹の中にやや子がいるの?

信じられない、半信半疑だった。

だって妊娠したら悪阻が辛くて命に危険がある人もいる。
それだけ出産は命がけなんですもの。

けれど、頭に思い描くのは鷹男だった。
まさかあの時の子?
そんな訳ないわ、一度きりだし。
鷹男との一夜の後は高彬とも夜を共にしている。
確率的には高彬の子で間違いない。
それなのにあたしは恐ろしいことを考えていた。
もし、鷹男とのやや子だったら嬉しい!
なっ?
それは駄目!
不貞の子なんて産まれたら前東宮様と一緒じゃない。
それはいけないことよ。

なんてこと・・・
駄目だ、考えがループしてしまう。どうしたらいいのか。

でも言えることはお腹のやや子は絶対に産んで見せる。

あたしのやや子には間違いないのだから。
だったら守るしかないの。
ごめんなさい鷹男。
あなたとはお別れしないとならないわ。
もう文を貰えないし、贈らない。
だから諦めて頂戴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしはあれから男の子を出産した。

名前は彬。

高彬の文字を一文字貰ったの。

本当は、お主上に名前をつけて貰いたいと

高彬が言い出したけれど冗談じゃない。

顔はあたしにそっくりだけれど、笑顔が鷹男に似ている。

そんな訳ないと思いたい。

でも、関係がない訳じゃないから出来るなら

鷹男に彬のことは知られたくない。

いつか殿上人になっても、

彬は高彬の子ですもの。

もし違ったとしてもあたしが愛した人の子供。

絶対に守ってみせる。そう決意したの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは彬を産んでから一年後、愛理という名の女の子を産んだ。

それから二年後、安親を産んで三人の母親になったの。

彬はあたしそっくりな顔のやんちゃな男の子だけれど、

考えてから行動する子だから、無鉄砲なあたしの子供時代とは違った。

それよりも愛理姫は顔も態度もそっくりで

おてんばだから、危なっかしくて見ていられない。

あたしってこんな感じだったかしら?

そう思うのに、父さまや高彬は懐かしいかのように

理姫を見ているのよ。

そして二番目の男の子である安親は

高彬の子供の頃のようで大人しいけれど

理姫を心配しながらついていっているのよ。

まるで性格だけを見ていると

鷹男と高彬とあたしがいるようで複雑な気持ちだった。

でもやっぱりお腹を痛めて産んだ子供は、何よりも可愛くて仕方がないのよ。

誰もがあたしたちを見て幸せな家族だと言ってくれるだろう。

けれど、鷹男との一夜の出会いから12年が経ってからのこと、思いもよらないことが訪れることになる・・・・・

 

 

 

 

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