妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

絡まる恋のドタバタ物語5


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守弥に会いにいったあたしは、瑠璃姫のまま会いにいくことも出来ず

女房装束の姿になって小萩として右大臣邸にやってきたの。

高彬には内緒にしたかったし、すんなり守弥に会えるとは

思わなかったけど、小萩が右大臣邸に知り合いがいて

そのひとを通じて守弥と会えるようにしてくれたの。

守弥は右大臣邸の影の実力者らしくて、

どんなひとなのか実は少し興味があったの。

そうして一室に通され、守弥が来るまで少し待たされたけど

少したったら一人の男が部屋に入ってきたの。

 

「お前が三条邸の女房か?私に何の用があると言うのだ」

結構高飛車な男ね。まあ自分の身分を明かしても良いけど

少しこのまま様子を見ようかな?

「忙しい中時間を作っていただきありがとうございます。

用事と言うのは昔にあった出来事を確認させていただきたい。

そう思ったよしで御座います」

「昔話だと、そんなくだらない話に何故私が乗らなくてはならないのか?

悪いが私は自分の仕事に戻らせて頂く」

何この男。自分のいいたいことだけいってさっさと姿を消そうというの?

なんだかむかつく男よね。

「こちらの右大臣家の高彬さまの行く末について

大事な話をもって参ったのですが」

たいした話じゃないのにあたしはついつい大げさに言ってしまったの。

そうしたらこの男がもの凄い勢いであたしの話に食いついてきたのよ。

「なんと、若君の話だと。おい女、一体どんな話だと言うんだ。

なんでもいいから話なさい」

態度が全然違うじゃない。

この守弥という男は高彬のことになると見境がつかないのね。

変わった男。あたしはそう思いながら守弥に聞きたい事を言って見たの。

「大分昔のお話ですが、高彬さまが元服前にお邸の庭にある池に落ちた時

お熱を出されたことがあったのですがその日、

内大臣家の姫さまがお薬を夜届けられたはずなのですが

その姫さまはお帰りになったはずなのに

その晩高彬さまの手をずっと握られていたとお聞きしましたが

それは誠なのでしょうか?」

「そんな昔話のどこが若君の行く末だと言うのか」

「それがどうも高彬さまの内大臣家の姫さまに

好意を持たれた一番の要因がその出来事の様子。

ですが内の姫さまはその晩邸にすぐ戻ったというのに

高彬さまは勘違いなされ、姫さまがついてくれたから

結婚したいとそうおっしゃられているようなのです。」

「なんだと!それは誠か。では若君はあの日の夜

瑠璃姫がずっとついていたからそれに惹かれて

結婚を決意しようとしているのか?

だったらもしかしたら若君と内大臣家の姫との婚姻は

阻止できるかもしれないな」

「あのう~それは一体どういう事なのでしょうか?」

「あの晩ずっとついていたのは内大臣家のぼんくら、

いや大夫の君の乳母の子だったのだ。

その娘は自分の名前は絶対に出すなといっていた。当然だ。

もしその行為で若君がその乳母の子である

身分もろくにない娘に心を奪われたら大変なことになる。

だったらとんでもない噂があろうが腐っても

大貴族の姫である瑠璃姫の名前を出したほうがいい、そう思ったのだ」

なんていうやつなの。こいつは高彬の事しか頭にない男なのね。

ちょっとやりすぎなんじゃないの?

でもこれで決まったわね。高彬が熱が出ているのに

ずっと手を握っていたのはお夏だったのよ。

だったら初恋はお夏という事よね。

あたしはこのことを高彬に言おうと思う。

そして自分の気持ちも高彬に話そう。

あたしが鷹男を本気で好きなことを伝えたら

高彬もあたしのことを諦めてくれると思う。

あとはお夏が高彬のことをもっと前向きに考えて欲しい。

あたしは鷹男のことは諦めたから

せめて高彬とお夏だけは幸せになって欲しいそう思ったのよ。

 

 

 

高彬とお夏を応援しようと思っても肝心の高彬が全然捕まらない。

そんなことを言っていたら約束の日の前日になってしまったの。

 

約束の日。

それはあたしの18歳になる誕生日の日のこと。

 

あたしと高彬の婚約が完全に決まりすぐに結婚をする事。

あたしと高彬は本当はまだ婚約を完全に決めたわけじゃないの。

周りにはそういってあったけどね。

何故こんな事が起こってしまったのか。

それはまだあたしが16歳のころ。

父さまはあたしが一生独身でいるという発言に不安を覚え

女たらしの男とあたしを既成事実の上結婚させようと企んだ事から始まったの。

あたしは自分の身が危ない中偶々部屋で休んでいた

高彬に助けられることになったの。

その時、高彬ととり引きをした。

あたしが18歳の誕生日までに好きな人が現れ

その人と結婚の約束をしたら、高彬とは婚約をやめる事を。

もうあのままでは誰か相手がいないと貞操の危機だったのですもの。

だから高彬からとり引きを持ちかけられたとき、魅力的だったのよ。

高彬みたいにあたしと身分がつりあっていてその上独身でしょう。

出世も確実と言われる高彬だもの、父さまは大喜び。

高彬は高彬であたしとどうしても結婚がしたい。

自分を好きにさせて見せるといってくるしでね。

高彬に結婚を申し込まれたとき本当は拒否したの。

どうしても弟としか思えなかったから。

だから高彬を異性として見るなんて出来ないし

結婚するなら絶対に好きな人じゃなきゃ嫌だと思ったから・・・

でも結局父さまを黙らせるには高彬の取引に応じるしか

あのときは選択肢がなかった。

あの時はまだ1年以上あれば高彬を異性として

思えるかもしれないとも思ったんだけど、結局変わらなかったの。

まあこれが取引というか、まあ約束事なわけなの。

それなのにもう期日が迫っているのに高彬は捕まらない。

もう仕方がないわね。

あたしは高彬にいう前に、お夏にあたしと高彬のことを話し

実は高彬の初恋はあたしじゃなくてお夏だと言うことを話すことにしたの。

でも少し時間をかけすぎてしまったがために

まさか高彬が動くとは思いもよらなかったのよ。

 高彬がどんな行動をしているのかも分からず

あたしはお夏にいえばこの件は簡単に終わるかも知れないと

そう思っていたの。

肝心の高彬が捕まらないならお夏が高彬に告白すれば

高彬もあたしのことを諦めて

本当の初恋の人と一緒になるかも知れないじゃない?

高彬に相手ができてしまったら

相手がいなくてもあたしは高彬と結婚しなくても済むと思うのよ。

そう思いながらあたしはお夏に会いに行ったの。






「瑠璃姫さま、いかがされましたか?私のようなものに会いたいだなんて」

「あのね、どうしても伝えたい事があるの。だからお夏に会いにきたのよ。」

「そうでございますか?一体何ようなのでしょうか」

「お夏はあたしと高彬が婚約者だと思っているわよね。でもね本当は違うの。」

「何をおっしゃられているのですか?

内の大臣さまは高彬さまと瑠璃姫さまのこと大喜びされているのですよ。

それが違うだなんて誰も信じませんわ」

「そうなんだけど、これは高彬とあたしとの秘密のとり引きがあるの。」

「とり引き?」

「そう。あたしがあまりにも独身を貫くと言い出したものだから

心配した父さまが女たらしの男と既成事実を作らせて

婚姻にもっていこうととんでもないことを考え出したのよ!

その時に高彬が助けてくれたの。」

「既成事実!まあ~それは・・・しかしそれは内の大臣さまが

瑠璃姫さまのことを思って」

「何がよ!あたしは危く女たらしの気持ちが悪いあの男と

無理やり契りを交わされかけたのよ!!!絶対に許せないわよ」

「しかしその場を高彬さまに助けられ

その縁でお二人は婚約者になられたのでしょう?」

「違うわ。いえ確かに流れはそうだけど

あたしは自分の18歳の誕生の日までに好きな人に

結婚を申し込まれなければ高彬とすぐに結婚をする、

そうとり引きをしたのよ。」

「でしたらもうお二人は御結婚なされるのでしょう?」

「お夏、何を聞いていたの。まだ誕生日は明日。

明日までにあたしの好きな人に結婚を申し込まれたら

あたしは高彬と結婚しなくても済むのよ。」

「何故高彬さまとの婚姻を嫌がられるのです。

高彬さまはあんなに瑠璃姫さまを愛されて見えるじゃありませんか?」

「お夏、あたしは高彬のことを弟としか思えないの。」

「そう思われてもよろしいではありませんか?

お二人とも身分は申し分はないのですから。

それに高彬さまからあんなに愛されているのですから

そのうち高彬さまと御結婚なされてよかったと思われると思いますわ。」

「お夏、あんたはなんでそうまでして身分違いにこだわろうとするの?

ずっと気になっていたんだけど

あたしは身分が違おうがそれでも好きな人がいたら

身分なんて考えず身を任せてしまうと思う。」

「ふふ、それは瑠璃姫さまが身分が高い大貴族の姫君だから

そのような甘いことをおっしゃられるのです。

瑠璃姫さまの御身分だったら今上にも嫁がれることが出来るお方。

身分違いがどうだとあなたに言われたくはありませんわ。」

「お夏・・・確かにあたしは今上の女御になってもおかしくない家柄よ。

でもそれでもあたしは身分が低くても好きになったら

その人の胸に飛び込む事が出来るわ。」

「今まで、身の回りのことはお付の女房にして貰っていたおかたが

急に一人で自分の身の回りのことが出来ますか?」

「は?何を言っているの?そんなのできないわよ。

でもやり方を知らないだけで知ることが出来ればあたしはやるわよ。

体を動かすのが大好きですもの。

好きな人の傍で一生暮らせるなら身分なんて関係ないわ!」

あたしは自信満々にお夏に言ったの。

むしろ身分が高すぎるからこそ鷹男の所にすんなりいけないんだけれどね。

そのあたしの姿をまぶしい者を見るかのように

お夏はあたしをしばらく見ていたの。

「ふふふ、そうでしたわね。

瑠璃姫さまなら身分の垣根など

とりはらわっておしまいになさりますわね。

姉も強い女性だったらあのようなことになどならなかったというのに」

「姉?・・・・前言っていた身分違いの恋っていってなかったけ?」

「昔姉はそのころは身分が低かった殿方と

恋に落ちて幸せな生活をしていたんです。

姉はある宮家に仕えた女房でその殿方もあまり身分が高くなかったんです。

でもその殿方を見初めた大貴族の姫君がその方と

強引に結婚をなさってしまったのです。

その殿方には姫君と身分がつりあうように官位まで与えて。

それでも姉はその殿方が好きで傍にいたのですが

大貴族の妨害を恐れた宮家が姉を追い出してしまい、

姉は働き先まで無くなってしまいました。

だったら京を離れれば良いのにその殿方を愛しているからと

ずっと京にいすわり、

いつ姉の元に通うか分からない男を待ちながら亡くなりました。

だから身分が違う二人は絶対に幸せになることなど出来ないのです。」

「それは違うわ!身分が違っても愛し合っていれば

一緒にいれば何があろうとも幸せだと感じることが出来るはずよ。

周りが不幸せだと思っても、その姉君さまは

それでもその殿方の傍にいたからこそよかったと思われていたんじゃない?」

「・・・・そうですね、瑠璃姫さまのおっしゃる通りです。

姉は私にその殿方をけして怨まないように

そう言ってこの世を去りました。

でもそれでも大好きだった姉が、あんな寂しい最後を迎えるだなんて

信じられなかったんです。

姉の寂しそうな最後を見て私は思いました。

身分違いの恋なんて私はしない。

身分が違えば絶対に幸せになれないと思うから・・・」

「確かに身分が違うと色々厄介ごとがあるかもしれない。

でも好きでもない相手と一緒にいて自分は幸せになれない。

自分が幸せになれないのに相手が幸せになるわけないじゃない?

そう思わない?」

「それは高彬さまのことを言われているのですか?」

「そうね、一番あたしが悪かったのよね。

高彬の優しさに甘えてしまい嘘の婚約者として

周りを騙していたんだから。でもあたしは高彬が好きよ。

その好きは愛ではない。ただの親愛。家族愛みたいなものなの。

だから高彬には幸せになってもらいたいと思う。

でもあたしでは幸せに出来ないの。

だからね、お夏、高彬を幸せにしてあげて。

あたしが言うことじゃないと思う。

でもあしは好きな人と結ばれることがないからこそ

あんた達には幸せになって欲しいのよ。だからお夏お願いよ!」

「ふふふ。瑠璃姫さまには参りましたわ。そうですわね、

身分なんて考えず自分の幸せのために動くのも

悪くないかもしれませんわね。

私は高彬さまが幸せになってくださるなら

自分以外の者が相手でもいいとそう思っていました。

でも瑠璃姫さまでは高彬さまは幸せになれない。

そうおっしゃられるのですからそうなのですね。分かりましたわ。

私早速高彬さまに告白をするべき御文を至急右大臣家に届けさせますわ。」

やっとお夏がそう言ってくれたの。

後は高彬がお夏を受け入れてくれたらこの件はひとまず終わることが出来るわね。

あたしはそう思っていたの。

手紙が届いて高彬の返事が来るまであたしはしばらくお夏の傍にいたのよ。

やっぱりお夏は頭が切れる人だわ。いろいろな話をして盛り上がっていたのよ。

この後に何がおころかなんて考えもしずにね。

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