妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

人魚姫の涙1


写真素材 cg.foto

 

 

あたしは幼い頃の思い出を大切にしていた。

東宮様が私を見つけそして一生を共に過ごす事ができる。

そんな夢を見て過ごしてきた。

あたしを迎えに来てくれないのは東宮様があたしの成長を待つために今はまだ

迎えに来てはくれないのだと、自分の都合のいいように考えていたの。

そうして日に日に成長し、あたしも殿方を迎えてもいい年になっていった。

父さまからいい縁談があると持ちかけられても

あたしは東宮様が迎えにきてくれることを信じ

ずっと断り続けていたの。

まだ適齢期に入ったばかりで父さまも強引に話を持ってくることもなかった。

あたしが断っている理由を知るものは誰一人としていない。

あの思い出はあたしと東宮様の二人きりの秘密なの。

小萩にさえ教えていない。

まさかあたしの想い人が東宮様だと誰が知ることになるのだろうか?

いえ、もしあたしが東宮様に嫁ぐことを意思表示したら

父さまは驚くだろうけど手回しはしてくれるはず。

でもあたしから東宮様の元に行きたいことは話せない。

だってあたしが東宮様に恋をしている事を誰も知らなくて、

いえ仮に知っていたとしてもそれは

あたしに野心があるからそう思っていると勘違いされるだろうから。

東宮様の女御さまになりいづれは自分の我が子を帝に据えて

自分が女性の中で一番の権力を持とうと考えている人間としか思われないから。

女御になるというのは女性なら一番の名誉になる事。

それが今の時代の常識なのだから。

あたしという存在を知っているものなら

そうは捕えられないだろうけど知らない人からすれば

あたしは野心家としか見えないのだとあたしはそう思う。

あたしは別に女御さまになりたいわけじゃない。

あたしの好きな人がたまたま東宮様なだけで

東宮様だから恋したわけじゃないのですもの。

あの幼き頃に感じたドキドキした気持ち。

あの出会いで東宮様に恋したあたし。

早く迎えにきて・・・・・

そう毎日のように願っているのに一向に連絡がない。

東宮様・・・・・早く・・・早く・・・・・あたしは待っているから・・・・・・・・

なのにあたしは裏切られた!

こんな裏ぎりがあの幼き頃のあたしが知ることになるなんて考えた事もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしはいつものように過ごしていた。

心の中ではあの出会いは運命だと信じ日常生活を送っていたの。

でもその信じた運命がすぐに壊れることになろうとは思わずに・・・・・・

 


「瑠璃さまお聞きになりました?

東宮様がなんと右大臣家の二の姫さまを東宮妃としてお迎えに

なられたようですわ!」

「えっ!?」

なんで?なんでなの?

あたしはさっき聞いた事が信じられなくてまた聞いてしまった。

「それは嘘でしょう!東宮様じゃなくて違うお方じゃ」

「いいえ、これは誠の事でございますわ。

今この話題で京は盛り上がりを見せていましたわ。」

そんな・・・・・・そんな馬鹿な・・・・・

東宮様はあたしを探して見付けてくれるって・・・・

迎えに来てくれっるって約束したもの。

なのになんであたしじゃないの?

東宮妃になるのはあたしのはずじゃないの?

あたしは絶望の底に落とされてしまった。

男は浮気者

沢山の妻をもつ最低な男たち。

東宮様がそんな愚かな男たちと同じ訳がない。

そう思いこんでいたのにそれはただの幻想だったの?

それとも右大臣家の姫とあたしの両方ともを妻に迎えようとしていたの?

あたしを迎えに来てくれると言うのはあたしを好いているからじゃないの?

どれだけ東宮様に尋ねても答えてくれない。

どれだけ尋ねても欲しい返事はくれる事はない。

それは幻想だから・・・・・

そして現実はあたしじゃない人が東宮様の傍に一生過ごすことができる。

あたしは振られたのよ・・・・・・・

あたしをもう忘れてしまったのよ。

もう・・・・・・・

悲しくて悲しくてあたしは小萩の前から姿を消した。

誰もいない部屋に入り思いきり泣いた。

泣いて泣いて東宮様の存在をあたしの前から消そうと心に決めた。

でも泣いても泣いても東宮様の姿が消えない。

それどころか疑問だけが残る。

どうしてあたしを忘れたのと・・・あたしのことなんてどうでもいいのと

東宮様に今すぐにでも問いただしたくて仕方がない。

そうしていつの間にやらあたしは泣きすぎてそのまま眠りについてしまった。

 

 

 

いつの間にかあたしは自分の部屋に戻っていた。

小萩があたしを見つけた時にはもう眠りについてしまった見たい。

でもあたしのただ事ではない態度に小萩は不思議に思っただろう。

会ったこともない東宮様のことを聞き

動揺を隠せない主の姿を見てどう思っただろうか?

あたしのことなら知らないことがないくらい

長い時を過ごしてきたあたしのこの変化にどう思っただろう?

でも小萩と対面したけど何も言わなかった。

そしてあたしからも何も言えなかった。

心の中では傷つき血が流れただろう。

今でも東宮様のことを思うと苦しくて苦しくて仕方がない。

でもどうしようもないのだから・・・・・・・

 

 

それから数日がたった。

いつもと変わらない日々を送っているつもりがそうではなかったのだろう。

ついに小萩は重い口を開いた。

「瑠璃さま・・・私はずっと黙っていようと思いました。

しかしもう黙ってはいられません。

一体何があったのでしょうか?

瑠璃さまはお気づきになってはいないようですが、鏡で顔を見てください。

瑠璃さまの表情はありません。他のものは気がついていないと思います。

でも瑠璃さまの感情が死んでしまった様に感じます。」

感情が死・・・・・・

そうねそうかもしれない。あたしの感情は死んでしまったのでしょうね。

好きな相手に裏切られて

あたしの心は死んだも同然ですもの。

あたしはそのまま小萩の言葉を黙って聞くしか出来なかった。

「瑠璃さまに何があったのかは存じません。

しかし瑠璃さま・・・

あなたさまならその困難にも打勝つことができるのではないですか?

最近の瑠璃さまは瑠璃さまらしくありませんわ。

いつもなら、元気になんにでも必死で打ち込めるお方ではありませんか?

すぐに諦めるのは瑠璃さまらしくありません!」

すぐに諦めるか・・・・・

その言葉にあたしは自分らしさを見逃していたことに気がついた。

そうだわ。あたしにしては諦めが早すぎた。

東宮様がどういった理由であたしを選んでくれなかったのかも知らずに

ただ悲しんでいるだけ。

真実から目をそらして、ただ暮らすだなんてどうかしている。

あたしは目が醒めた。

「小萩ありがとう!ただ嘆いているだけではいけないわね。

自分で真実を見つけてくる。

どうなるかは分からないけどやって見る」

あたしは決意をした。

この先何があろうともこの行動を後悔しないだろう。

あたしはただ黙っているだけの姫じゃないのだから、自分で動いてみせる。

東宮様のお気持ちを確認して見る。

そんな新たな気持ちを胸に後宮に臨むことになったの

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