藤壺後宮物語 サンプル
皆さまこんにちわ、黎姫です。
もうすぐイベント日が近くなってきたので宣伝させてくださいね。
違うジャンルでサークル参加するのでびっくりされると思いますが
2020年2月16日
TRCオンリーライブ2020Feb16チョコフェス
ハートミートサウスポー10
東京流通センター(TRC)A-Dホール
スペース G07
サークル名は妄想の館
ハートミートサウスポーというイベントは
ダイヤのエース御幸×沢村オンリーです。
もし興味がある方はぜひ遊びに来てください!
~オフ本のあらすじ~
瑠璃姫は16歳になっても結婚相手が決まらずに父親の
見合い話を全て蹴っているところから始まります。
ところが、なんと彼女は今上帝の勧めにより
東宮妃になるように命令されてしまいます。
今上帝の命令は絶対です。泣く泣く東宮妃になる瑠璃姫。
そんな瑠璃姫と東宮である鷹男はどう出会っていくのでしょうか。
そんな漫画とは違うイフストーリーです。
第一章
あるところに、瑠璃姫という名の姫がおりました。
摂関家の、流れをくむ総領姫。格式高い、家柄に育った姫でございます。しかし、一般的な、姫君とは、大きくかけ離れた、感性をお持ちでした。姫君というなれば、邸の奥深くに隠され、人前には、家族や、夫となる男性以外、姿を見せなず、普段であるなら、扇で顔を隠し、慎ましくあれと、育てられるもの。
ですが、この姫君は、御簾越しを嫌い、他人がいなければ、御簾を上げて、大貴族に相応しい立派なお庭を見るのがお好き。それだけでなく、庭に降りて木に登ったり、池の鯉をつったりと、男君のような振る舞いをしておりました。
瑠璃姫には、一人の弟君がおりましたが、その弟君は、雛遊びや、歌合せ、横笛を弾いたり、大人しく暮らしておりました。
瑠璃姫は普通の姫君ではなく、自分らしくありたい。
それが瑠璃姫の大きな夢でした。
ですが、この世の中、貴族社会では、女性は、家の出世の道具として扱われ、跡継ぎを産むのが、幸せだと言われております。瑠璃姫は、いつまでも、何も起きない生活が送れたらと、ずっと思っていたのでございます。
退屈だわ、父さまは、いつまで長々と同じ話をしてるのかしら、もうほっといてほしいのだけど
「聞いておるのか瑠璃!」
欠伸が出るわね、早く終わらないかしら、
「瑠璃!!!」
「何よ、うっさいわね」
しまった。
「瑠璃!どうしてお前はそうなのだ、毎日山のように、きていた求婚の文も、全くお前が取りあわないから、近頃では、すっかり減ってしまったではないか!大納言家の姫なのに16にもなって、婿の一人も決まってないとは、情けないと思わぬのか。このままでは、我が大納言家の将来も、おしまいじゃ」
「五月蠅い、五月蝿い、うるさーい!あたしは、吉野の君を思いながら、一生独身を通すのよ!」
父さまは、しばらく小言を言って、私の局から呆れた顔をしながら、出て行った。
「瑠璃様、今日もお殿さまを、怒らせてしまってよろしいのですか?」
「いいのよ、いつも、いつも、同じことの繰り返し、いい加減、父さまも諦めるでしょ。」
まあ、あたしも、父さまの気持ちが、分からないわけではなわ。摂関家の流れも汲む、名門の姫であるあたしが、もう16を過ぎても、一人も通ってくる殿方が、いないなんて、この時代では珍しいくらいだしね。
「いくら今の時代、13,4で結婚するのが常識とはいえ、あたしに、他の姫君のような、婿をとれなんて、横暴なのよ。そうでしょ小萩」
「しかし瑠璃さま、それではお殿さまが、心配なさるのも、無理ないのではないでしょうか?」
「それはそれよ。あたしは、普通のどこかの姫とは、訳が違うの。父さまみたいに、ほいほい浮気する男と結婚して、あたしが幸せになれると思う。そんなの冗談じゃないわ。あたしは一生独身を貫き通すの!」
「瑠璃様。」
あたしから何度も聞いたであろう言葉に、苦笑いをする小萩。
「クスクス」
「相変わらずだね、姉さん」
「こんにちわ、瑠璃さん」
「やだっ、融に、高彬、あんた達聞いてたの?」
「当たり前じゃないか、姉さんの声は、凄い大きいから、向こうの対屋まで聞こえていたよ。」
「あはははは、いつものことだから、気にしないでよね。」
「気にならないけど、これ以上、父上の頭を、白くさせないでよ」
「分かってるわよ、そんなこと」
「そう、ならいいけど、じゃあ高彬、あっちで音合わせしよ」
「なによ、音合わせって。」
「今度、管弦の宴に、高彬が、琵琶を弾くから、僕と音あわせをしようと思って」
「そう、幼馴染同士仲がいいのね。」
二人はそのまま融の局に向かっていった
十二単を着て、管弦の宴に望んだ瑠璃は、いつもとは違って、大人しく御簾越しの中に納まり、宴を眺めるところから始まる。
「瑠璃姫はご幼少の頃、吉野で過ごされたとか、実は私も昔、吉野に参ったことが、あるのです。ですから、偶然、大納言さまからそのお話を聞き、懐かしく思ったのです。この場で申す話ではないのですが、父に縁のある女性が、若君とともにくらしておりまして、父について一度だけ・・・・
瑠璃姫と同じ時期に、吉野にいたことを思いますと、なにやら縁があるように、思いまして」
「父さま、その話は本となの?」
「うむ、確か中務卿宮の身分が低い愛人が、行く末を悲願して、吉野へ移ったという話があって、若君もおられたとか」
ふるふるわなわな
ドドドド―ン
「なっ!、どうしたのじゃ瑠璃、気になるのではないか?」
目をぱちぱちしている父さまと権少将に向かって
御簾越しから、脇息を投げつけて、こういってやったわ。
「おとといきやがれ」
慌てふためいた、父さまが見えた。
「瑠璃、何をするんじゃ、それにその物言いは」
「大納言さま、話が違うではありませんか、この話は、なかったことにしていただきます。」
どすどすどすどす
「るる瑠璃、お前というものは、どれだけわしに苦労かけていると」
「大臣様」
あれから大騒ぎになったのは、無理もない話ね。でもね、この天下の瑠璃に向かって、あんなちんけな嘘話、聞いてられないわよ。
「それにしても瑠璃さま、どうしてこの前の宴の時、お殿さまと、中務権少将さまのお話が、作り話だと見破られましたの?瑠璃さまは、あんなに吉野の君の事を、気にかけておられましたのに、もう気になさらないのですか?」
「ブハッ、 小萩、何馬鹿なことをいうのよ。もしあたしが、何も知らなかったら、危うく騙されるとこだったのよ。」
「しかし、どのようにして、作り話だと分かったのでございますか?」
そうなのよ、完全にあたしの性格を、逆手に取った、父さまの陰謀よ。このあたしでさえ、真相を知って倒れそうになったわ。
でもね、天は、あたしに味方になって教えてくださったのだわ。
ホンとは偶然だった。あの弟の融が、馴染みの女房に、この真相を、口にしてたのを盗み聞きしてしまったから。まああたしのように、風変わりな姫だからこそ、知りえたことだけどね。
「るるるるる」
「父さま、るるるるっと、五月蝿いわよ、一体なにがあったの?落ち着いてよね。」
「これが落ち着いてなど、おれるわけがないではないか?」
「わかったわよ。早く用件を言ってくれる?」
「親に向かってなんと言う口答えなのか!こんなことでは、我が大納言家の将来も、危ういではないか、あー困った困った。」
「お殿様、落ち着いてくださいまし。一体なにがあったのでしょうか?」
「そうだ瑠璃、お前が東宮様に、入内することが決定したのじゃ。」
「?」
「えっ入内?って誰のこと?まさか、あたしのことじゃないでしょうね」
「お前以外、誰だと思ったのじゃ」
「ととと父さま、嘘でしょう、そんなわけないじゃない。間違いよ。」
「よく聞くのですぞ。まだ少し前、先の左大臣の陰謀が、表立てになった事件を、知っているはず」
確かに最近、宮廷を驚かす、ある大事件が起こった。
それは先の左大臣だった、大海入道が起した、とんでもない事件。その事件とは、なんと東宮さまを廃した上、自分の孫である正良親王を、東宮に据え、いづれ、正良親王が帝になった暁には、自分が外祖父として権力を、一手に握る考えだったの。
それを解決されたのが誰なのかは、謎ではあるけれど、その事件が発覚したおかげで、いろいろな者達が、厳罰に処理されることになってしまった。一番の、被害者である、正良親王様は、入道の罪を知り、世を儚み、一人ひそかに出家してしまわれたという。
それだけ、世を賑わす大事件があったことを、知っているけど、それと、あたしの入内と、なにが関係あるというのよ。納得できないわ。
「瑠璃や、落ち着いて聞くのですぞ。これは今上帝が、おきめになったことなのじゃ」
「いくらお主上が決めたからって、どうしてあたしみたいな、奇特な姫を、入内させようという気になるのよ。」
「瑠璃、その通りではあるが、貴族の姫らしくない、おてんばな姫であるとはいえ、この大納言家の姫である。いくら毛色が変わっているとはいえ、身分的には全く問題がない話。」
「そんなの納得がいかないわよ。他に東宮さまに、相応しく、美しい貴族の姫君は、沢山いるでしょう。どうしてあたしが選ばれるのか、納得できないわ。おかしいわよ、父さまの馬鹿!そんな話を、真に受け止めて、いい加減にして欲しいわ。」
「瑠璃、どうして東宮さまの、入内に、お前が選ばれたのか、お前の行動のせいではないか。」
「はあ?なにをいってるの父さま。いくら、奇人、変人と言われてるこのあたしの噂が、なぜ主上の耳に、入るわけ?おかしいじゃないの。」
お主上は内裏におわせられるお方。いくら奇人変人とはいえ、参内もしていない、女性の事を、主上が知る由もない。
「馬鹿者!この前の管弦の宴の時、お前がどんな行動をしたのか、覚えてないわけではあるまいな。」
「あ、あれね、父さまが、吉野の君のことで、あたしを騙そうとした宴の話ね。覚えてるわよ。それがどうしたの?」
「瑠璃が、あんな振る舞いをしたおかげで、わしはどれだけ、身が縮む思いをしたと、思っておるのじゃ」
「父さま話が見えないんだけど、はっきりしてくれない?」
「お前のその凶暴な行動のおかげで、宮廷では、瑠璃が、とんでもない姫だと、噂の的になってしまったのじゃ。」
「それとこれとで、どうして東宮さまへの入内が、決まることになるのよ。」
「お前の行動が、宮廷で広まりすぎたおかげで、お主上の耳に入ってしまったのじゃ」
「なにそれ?それが入内に繋がる理由に、なる方がおかしいいわ」
「だから、先日の入道事件のおかげで、東宮さまは仲のよかった弟君と、離れ離れにならなくなってしまった。しかし、次期帝に、ならなくてはいけない東宮さまも、弟宮と、離れたことで、かなり落ち込まれたご様子。一刻も早く、東宮さまには、お元気になっていただかなくては。それに、近々帝は譲位されるともおっしゃった。」
大海入道一味は、内裏で大きな大事件となって世間をにぎわせていた。そのおかげで、内裏では何人かは粛清や謹慎等の処罰を受け、新たな人事への引継ぎと、内裏の安全を図るための警備への増強などと、平穏とはいいがたい。今は何も起こってはいないが、なにかよくないことを、起こす愚か者が、世にでることもあるでしょう。だからこそ、これを吹っ飛ばせる吉事が必要。
「それがあたしと関係が、あるとは思えないんだけど」
「東宮さまには、現在女御さまが、お二人おみえになる。だが、次期帝になるということは、次期東宮さまを、お決めにならなくてはならない。しかし、現在東宮さまの御子様は、内親王お二人だけ。梨壺の女御さまは、右大臣家の姫君。後見はしっかりして見えるが、長いこと親王さまが、授からない。子孫を作るのが、大事なことであるため、今上帝は、だれか身分のしっかりした姫を、探しておられたそうなのだ。そこにたまたま目に付いたのが、瑠璃だったと言うのじゃ。もう決まったことなので、いい応えは許しませんぞ。これを断ったら、我が大納言家はおしまいじゃ。けしてなにもしてはいけませんよ、絶対です、分かりましたか?」
「でも父さま、あたしは自分一人だけを思ってくれる人と結婚がしたい、それか一生独身で居たいんだもの。」
「馬鹿なことを、言うものではありません。お前がした行動のおかげで、瑠璃が入内しなくてはならないとは、これ以上、心労をかけたくなかったのに。もしこのまま女御になって、御子様誕生になったらどうなるのか、考えただけで、倒れそうじゃわい。瑠璃、頼むから、尼になるとか、逃げ出そうとは、けして思いなさいますな。小萩、瑠璃が、無茶な行動をしないように、見張っているようにな」
父さまはふらふらしながら私のもとを去っていった。
このままじゃあたしが入内!!!!!
冗談じゃないわ、どうしたらいいのかしら、
この時の瑠璃は、ただ呆然と、運命を受け止めるしかなかったのです。