妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語25 間章

私の目の前では様々な意見が飛び交っていた。

うんざりするような話題だが、貴族たちにとっては必至な話題。

そう、後継者問題の話であった。

まだ瑠璃姫が入内して半年しか経っていないのに

もう新たな女御を迎えよと貴族たちが私に迫ってきていた。

何故女御を迎えなくてはならぬのだ。

私には愛する瑠璃姫がいるではないか。

だが、帝である私が一人の女御の名前を出すことは許されない。

ぐっと我慢するしかできずただただ会議がそっと終了するのを待っていた。

何故こんな話になってしまったのだろうか?

未だに親王が生まれないことで貴族たちが議論している中

私は思い更けていた。

どうせ、新たな女御を迎えるには早いし

右大臣や内大臣は口を固く閉じている。

他の勢力はこの二人の派閥には叶わない。

であれば、話はすぐに変わるであろう。

そう思っていたのに風向きが変わったのは

ある殿方の一言だった。

「お主上には東宮様が決まっていない今の御代、

多くの民たちが不安に感じております。

であれば!新たな女御様をお迎えするのは最優先ではありませぬか!

右大臣様!あなたの末の姫君なら女御様に相応しい人物!」

 

「「「なっ」」」

 

会議内のざわつきがシ~ンとなった瞬間だった。

 

何を馬鹿な。

先ほど発言したのは帥の宮。

私の親戚にあたる宮だ。

忠義は信頼に値するが何を考えているのか時々わからない人物だ。

そう、彼の秘密である願いを、私は握っている。

だからこそ私を裏切らない人物だと思っていたのだが

ここにきてまさか裏切られるなんて!

みると右大臣が真っ青になっている。

右大臣は知らない事柄だったのであろう。

「右大臣、帥の宮が言って居るがまさか貴殿も末姫を

私のもとに嫁がせるつもりか!」

思わず声を荒げてしまった。

「誠に申し訳ありません、末姫をお主上に嫁がせるだなんて

まだまだ幼い娘です。そのようなことを考えたことは

一度もありません。」

「であれば、どのような姫であれば女御様に相応しいのでしょうねえ~

源大納言様の一姫様なら丁度年頃もよくふさわしい姫君ですよ。」

いつのまにやらまた新たな女御を決める話になり

源大納言の姫がどれだけ素晴らしいのか周囲も話が盛り上がり

右大臣は姉妹争いなどしたくないせいか話に加わり

貴族間で新しい女御が決定してしまったのだ。

なんてことだ。

瑠璃姫以外に女御は娶らずこのまま瑠璃姫だけを愛そうとしていた

私の思惑が外れてしまった。

私は帥の宮の思惑がよくわかっていなかったが

帝とは個の感情では動くこともできぬ。

何が帝だ!

愛する姫だけを求めたいのにそれさえ許されぬ。

私は帥の宮に早急に思惑を聞かねばならぬ。

 

 

 

私は会議が終わり帥の宮を呼んだ。

「宮!一体どういうことなのだ!

私には愛する姫がいることを知っているではないか!

何故新たな女御を迎えなくてはならない。」

「お主上、私はあなた様に忠義を感じているのであって

藤壺の女御様に忠義を感じておりません。

主上は私の望みが何なのかよくご存じでしょう。

それがどなたであろうと私には関係ありません。

女御様の数が増えれば増えるほど親王様の生まれる確率は増える。

ですから私は今すべきことをしたまでです。

それに源大納言の一姫様が女御になったら面白いでしょうね。」

「何かあるのか?」

「・・・・」

帥の宮は何か含みのある表情を残した。

一体何があるというのか・・・・

私は帥の宮の思惑も分からず翻弄されていた。

 

 

 

 

 

 

 

あれから源大納言の一姫が女御になり梅壺の女御となった。

穏やかに見えた後宮が一気に騒がしくなる。

源大納言は小物であるから右大臣や内大臣には叶わない。

だからこそ、私は油断していたのだ。

後宮女の園だということを。

華やかで美しく着飾る女性たちの宮は女たちの戦場であることを。

 

 

私の愛する瑠璃姫なら上手く後宮を纏め上げてくれることを私は信じていた。

彼女の内面に惹かれた私には分かる。

どれだけ弱っていても彼女なら乗り越えていけるだろうと。

ただ寂しいことに、瑠璃姫は誰かを頼りにされる方ではない。

まして新しい女御も増えて気落ちされているご様子。

どれだけ私が愛を囁いてもドンドン衰弱していく姿に

私はどうすればいいのかわからない。

だが、後宮を仕切るのは女御の務め。

母宮にも釘を刺されている私は表立っては瑠璃姫を支えることは叶わない。

だが、いつまでもあなたを愛し続けます。

 

 

そんな私の願いが叶ったのか涙をぬぐった私に本来の瑠璃姫が

目覚めた。

瑠璃姫のどんな姿でも私はあなたに恋をしている。

弱っている姿も、怒っている姿も、反撃する姿も

そんなあなたを見守っていますよ。

 

ついに瑠璃姫が反撃に移されるがやはり心配であり瑠璃姫には内緒で

藤壺に私の忠義あるものを忍ばせてある。

また床下に潜ったと聞いたときは心穏やかではなかった。

だが、彼女を守るものをひそかに忍ばせておいた。

彼女に気が付かれないように少しでも彼女を支えれるよう

私は陰で動こう。

ですが危ないことだけはやめてくださいね。

あなたを失ってしまったら私の心は死んでしまいますから。

だから瑠璃姫、お気をつけて・・・・

 

 

 

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