妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

信じたいのに7

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瑠璃姫が藤壺の女御になって半年が経っていた。
今では誰からも評判がよい女御と言われるまでになっていた。
私の周囲の女官たちは教養、身のこなし、立ち振る舞いなど
厳しいものたちであったが、その女官たちを黙らせ、
尚且つ気に入られるほど瑠璃姫は変わられてしまったのだ。
女御になる前は変人といわれた姫君なのに
その噂のほうが嘘だったと思われるほどまで
立派な女御だと浸透されるまでになっていたのだ。
 
 
 
 
 
もう・・・瑠璃姫は以前の瑠璃姫ではないのだ。
完全に藤壺の女御になってしまったのだ。
 
 
 
 
 
あれほど以前の瑠璃姫の姿を探そうと必死に彼女を見つめていたが
どれだけ探しても探しても、以前の瑠璃姫を見つけることが叶わず
私は何度も絶望していったのだ。
 
そうして、今では彼女を見つめることさえ諦めてしまっていた。
 
 
 
 
だが・・・・・・彼女は知っているだろうか?
夜をともに過す時だけ瑠璃姫を垣間見ることが出来ることに。
あんなに何度も夜をともにしたというのに未だに恥じらい
色香が増していた。
このときだけ瑠璃姫と名前を呼ぶのだけれど
気持ちが高ぶったからなのか
瑠璃姫はこのときだけは私を鷹男と呼んでくれる。
この夜のひと時だけは私と女御は鷹男と瑠璃姫に戻ることが出来るのだ。
 
 
 
 
彼女の色香が私を何も考えさせられないほど夢中にさせる。
私はこのときばかりは瑠璃姫に溺れてしまうのだ。
このひと時がいつまでもいつまでも永遠に続くのを望んでいるのに
ことが済めば瑠璃姫はいつもの女御の仮面をすぐにつけてしまうのだ。
 
 
 
私を主上とそう呼ぶたびに私はいつも心が一気に下がってしまうのだ。
あんなに瑠璃姫を求めていたのに、私は瑠璃姫を求めていただけなのに
彼女はもう藤壺の女御の仮面をかぶる。
そんな彼女とこれ以上一緒にいたくなくて
いつも私は彼女と朝まですごすことはないのだ。
 
 
 
 
彼女が清涼殿を去るときの視線が私の体を貫くかのように
視線を強く感じる。
瑠璃姫が瑠璃姫のままであれば、私は朝まで彼女を離さなかっただろ。
ずっとずっと彼女が嫌がっても瑠璃姫を私の腕から出すことはなかった。
だがいまは藤壺の女御のそばにいることが辛いのだ。
 
 
 
 
 
 
瑠璃姫は、もう結婚前の瑠璃姫ではないのだろうか?
後宮に入ると女性は変わってしまう。
何度その姿を私は見てきたか。
自分の女御のほかに、私の父の女御を見てきた私は
女性がすぐに変われることを知っていた。
後宮というのは野心や醜さや嫉妬など
いろいろな思惑が広まっているのだ。
 
瑠璃姫が自分の女房達と話していたときの声が離れない。
彼女は本当に自分のややこを東宮にしたいと思っているのだろうか?
そして女性の中で一番の権力を抱きたいと思っているのだろうか?
結婚前の彼女はそんなことなど全く思ってなかっただろうに
やはり・・・・・・後宮は人を変えるのか・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
ふ~今日はいろいろなことを考えてしまい中々眠りにつくことが出来ない。
私は褥から出て部屋から出てみた。
外は満月でとても美しい月が上がっていた。
 
 
 
帝になってからはさすがに御所内を出ることは出来なかったが
外に出ないなら中をいろいろ散歩するのには慣れていたのだ。
誰にも見つかることなくいろいろ散策して清涼殿に戻る自信もあった。
 
 
 
いろいろ後宮内を歩きながら庭先を眺めていた。
場所によっては庭先は趣向が凝らされていたから夜眺めると
それは幻想的で美しかった。
私は少し疲れたため清涼殿に戻ろうと思ったときだった。
 
 
 
こんな時間なのに男と女が抱きしめあっているのを見かけた。
誰かが逢瀬を楽しんでいるのだろう。
私はそれを無視しようと思ったのだが体がこれ以上動けず
その女性に釘付けだった。
 
あれは・・・・・・・・
 
月明かりの中二人は抱きしめあっていて二人の顔を見ることが出来なかった。
 
だが・・・・・あの衣は・・・・・
私が瑠璃姫に似合うと思って贈った桜襲の衣だった。
 
 
 
 
そう・・・・・あの抱き合っている女性は瑠璃姫ではないか・・・・・
私はどれほどその二人を見つめていたのだろうか?
短いのか長いのかそれさえ分らない。
だがやっと二人は離れることが出来
抱きあっていた片割れの姿も見ることが出来た。
 
あれは高彬!
 
高彬と瑠璃姫はいつも逢瀬を交していたのだろうか?
どす黒い気持ちが自分の心を支配する。
すぐにでも二人の間に入って問いただしたい気持ちが支配する。
だが!
二人の間には先ほどあんなに抱きしめあったというのに
その甘い空気が全くない。
二人は離れたことで
すぐにさっと二人の距離は大きくはなれ
先ほど抱きしめあっていた間柄には全く見えない。
 
女御とそして臣下。
 
二人はあっという間に線を引いているのだ。
だが、声は聞こえることはないが
二人の表情を見るとお互いが信じあっているかのように見えるのだ。
 
 
 
瑠璃姫はもしかしてやはり私よりも高彬の方がよかったのか?
高彬と一緒になれば瑠璃姫は瑠璃姫のままでいたのではないか?
変わることなく瑠璃姫らしくあれたのではないか?
私は二人に嫉妬心を抱く。
あっという間に二人は離れていく。
そして私は瑠璃姫に釘付けになっていた。
その凛とした佇まい、裾さばきは立派な女御として堂々としていた。
だがその表情はとても柔らかく以前の瑠璃姫だった。
月明かりに照らされて瑠璃姫の姿はとても幻想的に見えるのだ。
 
彼女からは私の姿はおそらく死角になって見えていないのだろう。
だからなのか、久しぶりに彼女の姿が柔らかく感じるのだ。
女御としての瑠璃姫はいつもぴんと緊張していて隙がない姿であったが
今は落ち着いていて更に美しさを感じるのだ。
 
なんだか久しぶりに彼女をじっくりと見たきがした。
以前の瑠璃姫は何にも縛られるのが嫌いで自由に生きてきた。
だから高貴な姫君らしさもなく粗野で乱暴な印象ではあった。
だが、なんにでもはっきりとしていてまっすぐな人柄に私は惚れていたのだ。
けれど後宮に入ってからの瑠璃姫は立派な女御として成長していた。
 
そうだ!
 
彼女は成長していたのだ。
確かに彼女らしさは失われているかもしれないが
彼女は彼女なりに後宮に馴染もうと努力を重ねていたのだ。
女御になって彼女のはじめのころは、何度も私のことを気にしていた。
自分のような変人という悪い評判しかない姫を無理に女御としたのだから
申し訳ないといつもそういっていた。
だが、私はそんな世間の思惑なんて知らないふりをして彼女を欲して欲したのだ。
だから彼女がそばにいてくれるだけでよかったのに
彼女はドンドン成長していったのだ。
彼女自身が否定していた高貴な女性になることに。
 
私はその努力を認めたくなかったのだ。
彼女が彼女らしさを失うのを恐れ
後宮の野心ある女性に代わることを恐れたのだ。
 
だが、今の堂々としたいでたちでありながらも瑠璃姫らしさを消していない
あの姿を見ると、私は瑠璃姫をずっと信用していないのではないかと
そう思えるようになっていた。
 
彼女は確かに変わった。
 
だが、変わったとしてもその内面は変わっていないのではないか?
私は彼女の心が分からないため臆病になり
ドンドン遠ざけるようになり
彼女を見なくなってしまったのではないかと思った。
 
 
だが・・・それでも多少の不安は奥底にぴったりと張り付いてはなれない。
けれど私は何も行動に移さずにこのまま瑠璃姫と離れることが嫌になったのだ。
 
 
 
私はこのまま瑠璃姫と気持ちが通わないことが嫌でたまらなかった。
だが、こんなに気持ちが離れてしまえばどうすればいいのか分からない。
私はどうしたらよいのだろうか・・・・・
人の気持ちは一旦離れれば近づくのはとても難しい。
 
どうしたら・・・・どうしたらいいのか私はすごく悩んだのであった。

 

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