妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

信じたいのに2

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私が鷹男を受け入れてから慌しく時間が過ぎていった。

鷹男はすぐに父様を御所に呼び出し

私を女御にするように宣旨したの。

あまりにも急だったから父様は大慌てで私に確認してきたわ。

そのさまがあまりにもおかしくて笑っちゃった。

父様に私の決意を話したら心配そうだったけれど

内大臣家の総領姫として盛大な準備をしてくれて

私は周囲に羨ましがられながら藤壺の部屋を頂き

以後藤壺の女御といわれるようになったの。

 

 

 

 

 

 

あまりいい噂をされない私の急な入内に周囲の驚きは凄かった。

何故あんな物の怪付きの姫君を娶ったのか!


悪い噂しかされたことがない姫君の入内に京は少し騒がしかった。

けれど入内した時の私の態度が思ったよりも

深層の姫君のように大人しかったから

周囲は唖然としてしまい

かえって私の評判はうなぎのぼりに上がっていった。

 

 

 


私は鷹男の女御様になるために短い期間で

必死に貴族の姫君らしい人間になるよう努力していた。

汚い字だった私は、長い時間をかけて綺麗な字になるまで

必死に自分の字を直し

筝の琴の爪なんて何年も嵌めた事がなかったのに

少しでも皆が聞けるように頑張って練習をしていた。

それは私を娶ったことで鷹男の評判を下げないための私なりの努力だった。

鷹男を愛さなければ私は一生姫君らしいことなんてしなかったでしょう。

ずっと自分の邸から出ることなく奥で貴族の姫君としての教養や楽を演奏して

少しでも自分の夫のために尽くす。

そんな人間に私がなるなんて夢にも思わなかった。

私は自分らしさを損ないたくなかった。

深層の姫君のような行動は自分自身絶対にあわない、そう思っていたから。

父様に何度姫君らしくなれといわれても、誰かに教養や楽を教えられたとしても

何が楽しいのか分らずいつも逃げ出していた。

そんなことよりも外で遊んだり、外で何が流行しているのか、

どんなことが京で起こっているのか

そんな外のことにばかり興味があって

体を動かすことばかりして楽しんでいた。

そんな私が急に姫君らしいことをし始めたから

周囲の驚きは隠しきれないほどだった。

小萩なんて最初の頃は何度私が病気になってしまった!

そういいながら慌てて褥を用意しようとするから何度止めるのに大変だったか。

私の決意が大きいことにやっと信用してくれた頃には

「瑠璃様がやっと成長なさって小萩感激いたしました!」

そんなことを言いながらいつも涙ぐむようになっていた。

ホント失礼しちゃうわ。

私だって鷹男の為だからこそ必死に相応しい姫になるように努力するんだから。

それが自分自身と違った行動であれ

それでも私は鷹男の為に頑張ろうと凄く思ったんだから。

でもやっぱり慣れないことを急にするもんだから

最初は何度止めようかと思ったか。

こんなことをしても、私らしくないじゃない?

私はこういった姫君らしいことが嫌いなのに無理してやることなんてない。

それはやっぱり上手くいかないからこそ諦めてしまっていた。

でも、鷹男の喜ぶ顔を思い描くと

嫌なことでも頑張ろうとする力が湧いてくるのよ。

鷹男の隣にいても相応しい女御になれるよう私は頑張ろうと思った。

そんな私の気持ちが鷹男に通じるだろう。褒めてくれるだろう。

そう私は思いながら入内前から必死に努力をして、その甲斐があり

私の女御としての地位は満足がいくほど順調のように思われた。

 

 

 

 

 

 

藤壺の女御になり、今までとは180度違った生活へと変貌していた。

沢山の女房たちに傅かれる日々。

私の筆頭女房はもちろん小萩だけれど

小萩に任せて信用がある女房たちが私の周囲を固めてくれる。

私が少し気を抜くとついつい女御らしくないおてんばな私になってしまうから

その姿を周囲に見せないようにフォローしてくれる

頼もしい女房たちが私のすぐ傍を固めてくれていた。

勉強って大嫌いだったけれど上達すると意外に面白くて

あんなに琴を弾くのが嫌いだったのに新しい曲を覚えるのが楽しくて

こんなに充実した毎日を送るなんて後宮に来て驚きだった。

藤壺の女御になって私を歓迎する宴は毎日のように行われ

私は見知らぬ人を覚えるのが大変だった。

私より先に入った高彬の姉君であられる丞香殿の女御様や

桐壺の女御様との挨拶はとても緊張したけれど

とりあえず平和的に終えることが出来た。

女御様方よりも女房達からの強い視線はとても怖かったけれど

上辺だけかもしれないけれど

お二方とも好感が持てる方たちで少し安心した。

桐壺の女御様はやや私に気を遣われて見えるような方だけれど

多分それは自分たちのバックの大きさが小さいからなんだと思う。

御所や後宮はなんていっても貴族の権力が物をいう。

内は内大臣家の総領姫であり藤原一族直系の大臣の家柄。

別に私は権力のことなんてどうでもいいけれど、

周囲の目は私の家柄を見て物を言う。

私が後宮に入ってみたこともない人間たちの

挨拶伺いの多さに面食らった覚えがあるわ。

私の女御としての地位や父様の権力の力に縋りたくて

近づいてくる人間の多いこと多いこと。

こういった権力争いなんてどの時代もいろいろあるけれど

私は極力そういったこととは無縁でいたい。

でも人間というのはその権力に執着をして

いろいろな権力争いが発覚したりするから

ホント嫌な場所だと思う。

そんなことに巻き込まれないように私も気をつけなくてわ。

 

 

 

 

 


藤壺の女御様、お主上がもうすぐ

藤壺にいらっしゃると先触れが参りました。」

「そう。」

私は鷹男を迎える準備に忙しい女房達に

手を引かれながら鷹男を待つことにしたのよ。

 

 

 

 

 

 

藤壺の女御、ご機嫌はいかがですか?」

「お主上がいつもいろいろよくしていただけるので

私はいつも楽しく過させていただいております。」

「それはよかった。あなたがこの後宮にこんなに早く馴染んでくれるとは

思わなかった。」

「私もまさかこんなに馴染むことができるなんて予想もしませんでしたわ。

けれど、何事も自分が知らない自分を見つけることが出来て

主上には感謝をしているのでございます。」

それから私と鷹男はしばらく世間話をし

それから鷹男の計らいで二人きりになることが出来たの。

 


「瑠璃姫・・・・」

鷹男は最近いつも思いつめたような表情をするの。

私は二人きりになるとき以外は

鷹男に対して丁寧語で会話をするようにしていた。

小萩と三人でいるときでも鷹男を敬い女御らしくいられるようにしていたの。

それは今までの私だったらありえない態度だったから

鷹男や小萩も初めは酷く驚いていたと思うの。

でも、私は自分の評判があまりにも酷いのに

私を無理に娶った鷹男の評判をどうしても下げたくなかったから

新しい自分を作り上げることを決意したの。

貴族の姫君らしく、そして美しく品のある女御様らしくする。

でしゃばることもせず男性を立てる

いわゆる以前の私とは正反対な私になるようにと。

だからなのか、鷹男には何度もいつもの瑠璃姫に戻ってもいいんだと

いわれるようになっていた。

別に私は無理をしていないのにね。

私は鷹男を愛しているの。

だから鷹男に相応しい女御になるよう努力をしないといけない。

あまりにもおてんばすぎる私が傍にいるのは

この後宮の女御には相応しくないとそう思えたから。

 


でも、私のこの行動が鷹男にとってどんな想いを抱かせるのか

このときの私は気付くことができなかったの。

 


「瑠璃姫、別に無理しなくてもいいんですよ。

いつもの元気な瑠璃姫に戻ってくださってもいいのに」

「や~ね。私は全然無理なんてしてないわ。

昔の私は確かに姫君らしいことは大嫌いだったけれど

今は別に苦に思わないし。鷹男は気にしすぎよ。」

私は笑顔でこう答える。

そうすると鷹男はこのことは忘れたのか話を変えて

私と楽しく会話をしてくれるの。

私は女御になんてなりたくなかった。

鷹男だから女御になるよう努力をして少しでも傍にいられるようにしたい。

そんな強い思いを描いただけに過ぎなかった。

その思いが伝わっていると思っていたのに

私と鷹男の歯車は少しずつ少しずつ、ずれていってしまったのよ・・・・

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