妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺後宮物語14

 

なんということなのだ・・・

数日前、私の母宮が急に参内されたことから私の葛藤が始まる。

母宮は驚愕的の事実をわたしに言い放った。

それは唯恵が私の弟宮だということ、

そして院は唯恵を自分の子としてお認めになること。

それだけなら私の心はざわつくことがない、しかし、母宮は

さらに私が驚くことを口に出した。

それは私が愛してやまない瑠璃姫を唯恵の手に委ねるということだった。

母宮は私と藤壺の女御の心ないうわさをお聞きになっているようだった。

実際の私は瑠璃姫に自分が帝だということを教えていない。

本当なら瑠璃姫に話してもいいはずなのにだ。

でも私はどうしても帝だということを教えることができなかったのだ。

瑠璃姫は帝である私に女御として他人行儀な言葉を使い、

大人しく殆ど言葉も交わしたことがない。

女御になる前に、瑠璃姫のうわさは御所にいる私でさえ聞こえるくらいの

悪評の聞こえが高い女性だった。

父上の命令でなければ決して女御に迎えなかっただろう。

それほど沢山の人間たちから批判を浴びていたのだ。

その悪評さえ黙らせることができたのは

やはり院である父上の一言が大きかっただろう。

ただでさえ私の子供は親王が生まれず、

右大臣派はやきもきしていたに違いない。

内大臣家といえば血筋はよろしく対抗馬になりえる人材。

だが、内大臣は優しげなお方で御子を授かることに

催促するほどの野心をお持ちにならないだろう。

そうして変わった評判の姫だと思っていたのに

その藤壺の女御との床下での出会い。

あれは強烈な出会いであった。

手をふさいだ右手にかみつくとは、思わず痛みをこらえるのに

どれだけ辛抱をしたか。

これが猿のような姫だといわれていた女御か。

実際噂だけだと思っていたがこれほどのお転婆姫とは予想もつかなかった。

初めて鷹男として出会ったとき

危険さえあるのに私たちに協力をしてくれると言ってくれた。

実は嬉しかったのだ。

権の中将には無理をするなと言われていたが

内密に動くのに手ごまが少ない。

呪詛の件は犯人の痕跡もなく、暗礁に乗りあがっていたから

瑠璃姫の協力はありがたくもあったのだ。

犯人が瑠璃姫を襲う可能性も大きいから目の前にいてくれたほうが助かる。

協力を蹴ったらどう暴走されるかもわからないから

この言葉は都合もよかったのだ。

そんな瑠璃姫に、いつのまにか数々の女性たちとは違う愛おしさが

芽生え始めていた。

後宮の女性たちはみな素晴らしいほどの教養と美貌をお持ちだ。

だがそれは型にはまったといういうなれば人形に近い。

同じ表情でにこやかな笑顔を張り付ける姿。

外では美しいのに内面はどれだけ醜いのか私は知っていた。

だからなのだろう。

瑠璃姫のように嘘偽りのない単純な思考に癒されていたのかもしれない。

そんな瑠璃姫に私の正体を告げたとしても態度が変わることはないだろう。

しかし、私の正体をしると態度が変わる経験も多かった。

だから余計に怖かったのだ。

私のおかげで唯恵は父上に認められなかった。その気持ちを考えれば

瑠璃姫の手を放すべきだとわかっている。

分かっているが初めてほしいと願った姫を違う男に渡せるわけもない。

帝として、いや兄として、弟に瑠璃姫を渡して

二人の幸せを願うべきなのだろう。

瑠璃姫に決めてもらいたい。

せめて瑠璃姫の気持ちだけでも聞いて、それでもし唯恵と暮らすと

おしゃれば私はあきらめることができるはず。

そう言い聞かせて私は藤壺に向かう。

 

 

 

 

私は瑠璃姫たちから姿が見えない位置で立ち留まってしまった。

何故なら瑠璃姫と瑠璃姫付きの女房との話が聞こえたからだ。

その内容は瑠璃姫がいまだに唯恵、いや吉野の君のことを

思い悩んでいること、私の女御になったことだった。

瑠璃姫が女御になったことをあんなに嫌がっていることを私は知らなかった。

身分ある女性は妃になることを夢見る人が多かったから

そんなに帝である私は嫌われていたのか。

そのショックも大きい、思ったよりもダメージを受けた私はその場を離れたのだ。

しばらく悩み続けた私は瑠璃姫と会うのを控えようと思った。

鷹男は私の一部だが帝としても見てほしい。

だが自分の本性は鷹男のほうだ。

瑠璃姫は帝に興味なくても鷹男との間では気持ちが揺れているのではないか?

そう思うのだが、弟である唯恵のことを思うとそう簡単には割り切れない。

私は時間を改めて瑠璃姫にしばらく会えないことを伝えに行った。

私は思ったよりも緊張をしているようだった。

女性の扱いにはたけると自負しているのだが、本気の女性の前では形無しだ。

私は段々沈黙に耐えれなくなっていた。

そしてついにもう会えないことを言ってしまった。

その直後、私は後悔の念でいっぱいだった。

だが取りやめることもできず瑠璃姫の批判に耐えられなくなった私は

藤壺を出て行った。

 

 

 

 

 

 

それからの私は政務につきっきりで後宮にも顔を出さずずっとこもりきりだった。

あまりにも仕事に熱中しすぎで周囲に休むように言われるほどだった。

だが、仕事をしていなければ、瑠璃姫と唯恵のことで悩み続けてしまう。

いい加減私は決意した。

私が鷹男であること。

他に女御はいるが瑠璃姫だけを愛していること。

ただそれだけを伝えるために藤壺に向かった。

 

しかし、その場で見えた二つの影は・・・・・・・・

 

唯恵の体にすっぽり抱かれている瑠璃姫を見てしまったのだ。

自然に言葉が紡がれる。

「瑠璃姫いかないでください・・・

私こそあなただけを、あなただけを愛しているのです。」

「鷹男?」

「兄宮?」

私はびっくりする二人には気が付かないふりをして

瑠璃姫に熱い視線をよこしたのだった。

 

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