妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

交差する思い5

私は前に進むことができず、どうしたものかと思い悩んでいた。

周りは喜びに包まれてはいたが私の心はあまり上を向いていなかった。

確かに世継ぎの次期東宮となる親王が産まれたのだ。

そして唯一愛している瑠璃姫が御産みされた御子だ。

嬉しいのだが、あの瑠璃姫の訴えるような視線が気になって仕方がないのだ。

本来なら瑠璃姫を清涼殿に召せばいいことなのだが

私は未だに姫を召すことができないで居た。

瑠璃姫は念願の親王を産んでくれた。

そして私に正式な挨拶をなさり、そして藤壺に戻った。

もちろんわが子である親王は見せてもらった。

周りの喜びようは凄かった。

なにしろ後見がしっかりとした姫君が御産みした親王であり初の親王であるから。

もうすでに次期東宮の地位に昇り続けるだろう。

しかし肝心の瑠璃姫が後宮に戻ってからどうも様子がおかしいのだ。

以前なら絶対に私の目を見ることもなかったのに

戻ってからは私の目を見据えるような何か

物言い足そうなきがするのだ。

しかし私は瑠璃姫が何を言いたいのか聞くのが怖いのだ。

だから未だに瑠璃姫を召すこともせず、時間だけが過ぎていったのだ。

ところが私が瑠璃姫が後宮に戻られても召さないことにより、

前から噂が立っていたことが明らみになってきたのだ。

私はそんな噂が流れていたこと自体全く気づかなかった。

だから初めて聞いて衝撃を受けてしまったのだ。

それは・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


それは若い公達たちが話していることに偶然私が耳にしたことだった。

「あの噂はやはり本当のことだったみたいだな」

「あ~確かに、しかしこのままお主上に内密にできることではないだろう。」

「だれがあのことをお主上にお話になるのだ。」

「右大臣様あたりがお話なさるのではないか」

「そうだな、それしかないな。しかし右大臣様も、内大臣様も

後宮で力ある大貴族の失態、これでは後宮内が混乱になるな」

「本当に親王様が御生まれになったというのに、まさかそれが不義の子だったなんて」

なんだって、不義の子とは誰のことを言っているのだ。

親王といったら瑠璃姫が御産みした御子しかいないではないか。

私はショックで仕方がなかったが震える声を振り絞って若い公達たちに問いただした。

「不義の子とは一体どういうことなのだ!」

二人の公達たちは私の出現に腰を抜かすほど驚き

私の声で誰であるか分かったようだった。

「これはお主上、どこまで私たちの言葉をお聞きになったのですか?」

「藤壷の女御が私以外の御子を産んだとそう推察したが誠か?」

「それは・・・」

「本当のことを告げよ。」

「はい、藤壺の女御様が里下がりなさった頃からある噂があったのです。

それは藤壷の女御様が入内なさる前から御産みされた御子様を身篭っていたと。」

「それは・・・」

「里さがりなされた時期自体早かった上、

御産みされた時期が入内の時期と計算しても合わない。

そして後宮に戻られたとはいえ、お主上からのお召しが一度もない。

これが噂に拍車をかけたようです」

「ではまさか不義の相手は誰か居るのか」

「それは・・」

「申せ!」

「はっそれは右近の少将です。」

「何故右近の少将の名が挙がるのだ。」

「それは以前から一部の間では入内前から藤壷の女御様と噂が上がっていましたし

その上藤壷の女御様が里下がりなさっているとき

実は右近の少将が三条邸にお忍びで通っていたようなのです。」

「それは誠なのか」

「はい、私が右近の少将殿をお見かけしましたので」

なんということなのだ。

まさか右近の少将高彬が三条邸に里下がり時期に通っていただなんて

そんな高彬が私を裏切るだなんて

いや私が始めに裏切ったのだ、それは仕方がないのではないか。

「三条邸に通ったとはいえ右近の少将は太夫の君と親交が深い。

だから藤壺の女御に会いに行ったわけではないのではないか?」

「いえ、それがその日太夫の君はどこかに出かけたところを偶然見かけたのです。

その日にたまたま、三条邸の近くを通ったとき、右近の少将殿も見たのです。」

「そうか、ではもうこのことは他のものに伝えたのか」

「申し訳ございません。これは御所では大事なことゆえ

右大臣様や他の貴族の方々にもお伝えいたしました。」

「その他のものには言っていないか」

「はい、言っておりません。」

「ではこのことはこれ以上噂を広めないようにいたせ」

「ははっ」

「は」

なんということなのだ。まさか高彬が三条邸に行っただとはどういうことなのだ。

まさか産まれたばかりの親王は私と瑠璃姫の子の筈。

まさか吉野の里から戻ったときに高彬とできていたのか?

そんな・・・・

私は瑠璃姫の里下がりから戻ったときの瑠璃姫の訴える視線を思い出していた。

瑠璃姫、あなたはこのことを伝えるために

私とやっと目を合わせることになさったのですか?

あまりにも酷いことではありませんか。

瑠璃姫あなたの心はもう私のものになることはないのですね。

瑠璃姫・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

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