妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語28 間章

たった一人の弟である融が藤壺にご機嫌伺にやってきていた。

あたしは元から堅苦しい挨拶が嫌いだから

早々に信頼する女房たち以外引き下げ談笑をしていた。

融にはあることを頼もうと思っていたから丁度良かったから・・・

弟だから几帳も外して面と向かって話をしていた。

 

「融、久しぶりね。元気してた?」

「うん、僕は元気だよ。それにしても姉さんは女御様になっても姉さんだよね。

色々なこと起こしてさ、僕は後で話を聞くばかり、びっくりさせないでよ。」

「何よ!あたしは何もしてないわ、いつも悪さをしてくる人に言ってよ。」

安易にあたしと梅壺の女御様とのことを言ってくる融。

もう、やっと落ち着いてきたんだからほっといてよ。

「それよりもあんたにお願いしたいことがあるんだけど」

「なんだい?」

「実はもうすぐ藤宮様が参内なさるんだけれど、そのお迎えの宴に

あんたの笛で盛り上げてくれないかな?」

「ええっ!ふ、ふ、藤宮様!」

「何よ、あんた知っているの?」

「し、し、知らないよ!でででも、僕でいいの?」

「あんたの笛は当代一って言われてるじゃない。

まあ~あたしの贈った笛のおかげだけどね!」

「ふ、ふ、笛!」

「どうかした?」

「ううん、全然何もないよ。」

大げさな声にあたしはびっくりしてしまう。

融はいつもはのんびりしているけど笛だけは当代一といわれるほどの名手なの。

あたしが以前当代きっての笛を作る名手に頼んで誕生日に贈ったのがきっかけで

融は笛の名手といわれるようになった。

楽器を変えただけでだいぶん笛の色合いも変わるようで

融はすごく気に入ってくれて、笛をなくしたくないと言って

いつも肌身離さず持っているの。

「あんたの笛の音、久しぶりにあたしも聞きたいわ。

今吹いてよ。」

「ええっ?」

「どうかした?」

「そそそれが姉さん、実は姉さんがくれた笛なんだけど

傷がついてしまって今は修理に出してるんだ。だから既製品の笛でいいなら

吹くよ。」

「まあ、いいわ。あんたの笛は大好きだから。」

あたしは融の不振な行動に目を瞑り笛の音を堪能した。

 

それから数日後、藤宮様が参内なさった。

融に頼んだ宴はあたしの贈った笛ではないけれど

十分皆が楽しめるほどの音色で大成功だった。

 

宴の後のこと、藤宮様が宴のお礼にと藤壺を訪れていた。

藤宮様の訪問にわが藤壺も華やかになっていく。

なんて美しいのかしら。

元姫宮様。

生まれはすこぶるよくおしとやか。

微笑む姿もお美しくて声も出ないほど。

藤宮様は鷹男の叔母にあたるお方。

鷹男とはすごく仲が良いみたいで、鷹男から藤宮様のことを聞いていたわ。

ぜひ仲良くしたい。

 

「藤宮様、わざわざ藤壺に足を運んでいただき誠にありがとうございます。」

「いいえ、藤壺の女御様、歓迎の宴、素晴らしくて私、感動いたしました。」

「そういってくださってホッとしましたわ。」

藤宮様の表情は温かく優しげで話しやすい方だった。

後宮での生活に困ってはいないか、楽しんでいるかなど

いろいろ気を使っていただき本当に申し訳ないわ。

それからいろいろ話をしていた時のこと、

ある女房が藤宮様の耳にぼそぼそ話をした途端

藤宮様が真っ赤にされて少し困った表情をなさったの。

あれ?どうかなさったのかしら。

パチン、

それから女房達は殆どいなくなり、小萩と先ほど耳打ちした女房以外

居なくなってしまった。

何かあったのかしら?

私は不安でいっぱいだったけれど藤宮様の反応を待ってみた。

それから藤宮様の女房が桐の箱を持って私の前に持ってきたのよ。

「これは?」

藤壺の女御様、御開けになってご確認ください。」

あたしは桐の箱を開けて中身を確認した。

そうして出てきたのは、融の笛だった。

「あら、これは融の!」

「やっぱり、大夫の君の笛でございましたか。」

「何故、この笛が藤宮様のところに。」

 

そうして話を聞いているうちにだんだん恥ずかしくなってきた。

単純な話だった。

なんと融が図々しくも藤宮様の邸を徘徊して毎日ストーカーをしていたらしく

あまりにも毎日近くを訪ねてくるから

最初は藤宮様達も怖い思いをなさってたんですって!

その内、うちの融だとわかって警備のものが声をかけた途端

融はお尻を打ってずっこけてそのまま藤宮様の邸から遠ざかるようになったの。

その時に落としたのがこの笛。

多分融が落とした笛だろうけど本当にそうかわからない。

かといって本人に届けるのにも藤宮様のお立場上困ったことになる。

だから、姉の私に確認して本人に返すのが一番だとお思いになった藤宮様が

自ら動いてくださったのよ。

もう!融の馬鹿!恥ずかしいじゃない。

恐れ多くも先の姫宮様に近づこうだなんてなんて奴なの!

邸をうろつくだけで手紙さえ贈らずフラフラしてたなんて

恥ずかしい。

だからかあ~歓迎の宴のとき藤宮様側のほうが声が上がったの。

おかしいと思ったのよ。

融ごときに女性の声が上がるなんて!

あたしはすぐに融のことを詫びたわ。

特になにもされてないから気にするなって藤宮様に言われたけれど

本当なら検非遺使に報告されても仕方がないことよ。

もうあのぼんくらは!

あとで叱ってやらないと気が済まないわ。

 

 

 

それから、あたしは藤宮様とはすごく仲が良くなり手紙を贈る仲となる。

当然融にはきつい罰を与えてやったけどその話は後日ね。

ふふふっ・・・・

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村