妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語35 短章

私は計画が順調すぎて笑みが隠し切れず扇で顔を隠す。

目の前ではお主上が裏切られたと表情を変えて真っ蒼になっていた。

だが私はけしてお主上を裏切ることはない。

彼は私を帥の宮として忘れられていた境遇から引き揚げてくれた存在であるから。

私は一生お主上に忠誠を誓うつもりだ。

だがお主上の思惑と私の思惑が一致しないこともある。

それは今回のこと。

梅壺の女御の入内である。

主上にはご寵愛なさる藤壺の女御がいる。

噂では大して美しくもなく、猿のような気性で鄙びていて女御としては

ふさわしい方ではない。

だが内大臣家の惣領姫。

内大臣の後見はお主上にとっては必要な方。

だからこそ私の願いに近づくと思ったのだ。

 

そんなある日のこと、左近の中将が私に近づいてきたのだ。

源大納言家の一姫を女御として迎えさせるにはどうすればよいのかと。

私はふと考えた。

主上には次期後継者を一刻も迎えてもらわなくてはならないこと

それは別に藤壺じゃなくてもよいのではないこと。

私は左近中将の裏の顔も知っていた。

一姫と中将の仲も。

一姫が早々に寵愛を受けることは無理でも中将が何かを企むだろう。

私はそれが何かは分からないでも仲間のふりをしてお主上

報告するのもよいと考え左近中将の願いを聞いてやったのだ。

 

 

それから梅壺の女御と藤壺の女御の間で諍いが始まり後宮は騒がしくあった。

だが藤壺への寵愛は変わらず続く。

 

そんな中左近の中将が動いた。

梅壺の女御が懐妊したためだ。

ただ誤算だったのは御子がお主上の御子じゃなかったこと。

私を信頼していた中将が酒を飲んだ折寝ぼけてこぼしたからだ。

愚かなことを!

自分の御子を東宮にし、

次期帝にするために連署を作り味方を増やそうとする魂胆だった。

私はその連署に名前を書くふりをして預かった。

中将は愚か者だ。

陰謀を企むほど大胆なくせに裏が目立ちすぎてすぐにばれてしまう。

私はお主上に報告をしつつ、この陰謀を成功させつつ解決する役も引き受けた。

「にゃあ~」

「雪」

私の傍に可愛い猫が寄り添ってきた。

雪は私が飼いならした猫だ。

猫だろうがお主上と私に歯向かうものには手を出すよう飼いならしている。

「さあ~雪、おいき」

中将を張っている部下から連絡が入った。

藤壺の女御を捕まえて塗籠に閉じ込めている様子。

主上には黙っていたが藤壺の女御には御取りになってもらった。

さあ~陰謀の幕開けも早い。

 

私の計画通りに全ては運んで行った。

そして私の手の中には愛する姫が一人。

陰謀を暴いた手柄で姫を取り戻すことができた。

真実は闇の中。

 

 

 

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