妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語29 第三章

瑠璃姫と梅壺の女御の騒動は帝によって喧嘩両成敗ですぐに後宮

落ち着き始めておりました。

けれど、帝の後継者が決まらぬ今、女御たちの諍いはとどまるところを

知らないほど深刻な話ではあったのです。

 

 

 

はあ~この日が一番嫌い。

今日はあたしの元に鷹男がこないこと

それは何を意味するのか。

鷹男があたし以外の女御様をお召しになること。

だからあたしは一人寝をしないといけないの。

最近は鷹男と一緒に寝ることになれてしまって

夜を過ごすことが怖くなってしまったから。

あたしは幸せ者なのにそれでも今日召される女御様に嫉妬してしまう。

あたしが殆ど鷹男を独り占めしているくせにこんなわがまま馬鹿よね。

鷹男はあたしだけを愛してくれる、そういつも囁いてくれるけど

実際はあたしの他に女御様は三人も見えるの。

ただ丞香殿の女御様は今はお体を壊して見えるからそんなに多く

鷹男が丞香殿に渡ることはない。

そしてあたしの最大のライバルである梅壺の女御様は、

以前にあたしを罠に嵌めたことで鷹男の怒りをかって一時期全く

鷹男からのお声をかけていただくこともできず少しの間は

大人しくなさっていたわ。

でも再三お主上に謝りの文を贈り続け、

その果てに帝が許してくれないと泣き続けた。

その結果、それが貴族の間で噂になり最近梅壺の女御様を召すのを始めたみたいなの。

そりゃあ~あたしだけに通ってほしいのはやまやまだけどできないことも分かる。

でもさすがにあたしも憂鬱になるもの。

まだいいのよ、丞香殿の女御様や桐壺の女御様は気にならない。

でも梅壺の女御様だけはどうしても気になってしまう。

それは梅壺の女御様が嫌いだからという理由ではないの。

丞香殿と桐壺の女御様の殿舎はあたしの部屋の前を通らずに

鷹男がいる清涼殿に渡ることができるの。

ところが梅壺の女御様の殿舎は凝華舎でありこの飛香舎である

藤壺の前を通って清涼殿に行かないといけないのよ。

図々しい方だからわざわざこの藤壺を通っていくとき

必ずあたしに聞こえるように声を上げて渡られるから余計に憂鬱なのよ。

わざわざ他の女御様の局の前を通って清涼殿に行かないといけないところに

殿舎があること。すなわちそれだけ今上帝の執着ども違ってくるんだけどね。

それを考えると梅壺の女御様の扱いはあまりいいわけではないの。

ああ~でも今日は梅壺の女御様が召されたんだよね。

あの勝ち誇った姿、本当にむかついてくるわよ。

でも今日は変な香の匂いがしたんだけどね。

香は人それぞれ違うけどあまりいい匂いではなかったわね。

あれはなんだったのかしら?

なんだか清涼殿の方が騒がしいような気がするわね。

今は昼時、それなのになんだかざわざわしているような気がするのよね。

 

「ねえ、小萩、なんかあったの?」

「いえ、何もお聞きしていませんがなんだか騒がしいですわね。」

それから数刻もたたずにある一行があたしがいる藤壺の前を通って行ったの。

それだけじゃなく痛烈な嫌味とともに

「お主上がなかなかお離しにならないからこんな時間になってしまったわ」

「梅壺の女御様の魅力が通じたんでございますわ。」

「そうですわね。もうそろそろ誰かさんはお飽きになられたのじゃないかしら」

「まあ、そうでございましょう」

そんな声を発しながらわざとあたしに聞こえるように梅壺の女御様の

一行が藤壺を通り抜けていったの。

「まあ~瑠璃様の前であんなことを言うなんてなんて方なのかしら。

それにあの女房達も人聞きの悪いことばかり言って

女御様付きの女房達なのに礼儀がなっていませんわ。」

「そうね~」

「瑠璃様!お怒りになりませんの?」

「馬鹿ね、怒っているにきまってるじゃないの。でもショックなのよ。」

「それは・・・」

前までお主上は梅壺の女御様を召すことは少なかった、

でもさあ~いつもならあたしが起きる前には自分のところに戻られていたじゃないの。

なのに今日は昼過ぎよ。

そんな時間までお主上が梅壺の女御様をお離しにならなかった。

そのことにショックを受けたの。

あたし以外の女御様をお召しになるのは仕方がないけれど

それを目の当たりにするのとではショックの度合いが違ってくるもの。

「瑠璃さま、お主上のご寵愛は瑠璃様がその分存分に受けて見えますわ。

主上は瑠璃様を愛していらっしゃいます。

ですから瑠璃様はお気になさる必要ではございません。」

「ありがとう小萩、なんだか元気が出たわ。」

 

 

 

 

 

 

でもそれから月日が経って吃驚した事実が発覚したの。

それは・・・

梅壺の女御様のご懐妊だった。

初めて聞いたときはびっくりしたわ。でもこれは仕方がない話。

鷹男は帝なんだからその跡継ぎを残さなくてはいけない。

あたしはびっくりはしたけどさほど落ち込んではいなかったの。

でも周囲は結構気にしてくれてね。その優しさが嬉しくて仕方がなかった。

あたしは、あんなに愛されているくせにいまだにご懐妊の兆しがないから

あたしの体のどこか欠陥があるんじゃないかと思われがちなんだけどね。

でもその点は仕方がないじゃない。

欲しくてもできないこともあるんだから。

神様の御仏のままよ。

鷹男はあたしが気にしていると思って

結構藤壺に渡ってくれるしこんなに恵まれている女御自体滅多にいないんだから・・・

 

 

 

それから少し経ってあの梅壺の女御様でさえお体を御壊しになった。

別段問題はないがやっぱり身重だから調子が悪いみたい。

だから鷹男も梅壺の女御様が心配らしく時々お見舞いに行っているようなの。

そんな時はやっぱりさみしいなあ~とあたしらくもなく

しんみりと感慨にけてしまうのよね。

そんなある日、梅壺の女御様が早めの里下がりをお願いなさり

異例ではあったけど自分の実家に帰っていった。

そのあとはとても平和な気分であたしはとてもご機嫌だったわ。

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