妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語36 間章1

あれから左近中将と梅壺の女御様の陰謀が終わり事件は落ち着きを見せた。

でも、あたしたち後宮はのんびりしているけれど

役人たちはその後の処理に追われていたの。

あたしはそれを知ってはいたけど何もできない自分に歯がゆい思いを覚えたの。

鷹男はまだまだ忙しいんだもの。

あたしが何かできることを見つけて鷹男を助けたい。

そんな思いを胸に秘めて早速行動に移したの。

 

 

 

「三条さん、悪いけど今お茶を持ってきてくれないか?」

「はい、ただいまお待ちします。」

「あっ、こっちも」

「はい、行きますのでお待ちください」

 

ぱたぱたぱた

あたしは目まぐるしく役人たちのお手伝いをしているの。

ここは行書殿、蔵人頭、蔵人など秘密な事柄が飛び交う大事な場所。

今上帝の指示に従い秘密裏に動くいわゆる今上帝の秘書のようなところなの。

なのにあたしはここに上手いことはいることができたの。

この校書殿は他に近衛の役人もいりかうところ。

内裏の警備や京の治安も守る者たちが待機する場所でもあるの。

こんな男だらけの場所にあたしみたいな不審な女が入れるなんてありえないんだけど

運がいいことに校書殿に伺おうと思ったらその時に入る新入りの女房と間違えられた。

その新入り女房が実は夏だったの。

以前の陰謀事件で協力してくれた夏にあたしは融に頼んで後宮まで来てもらい

面会を果たしていたの。

夏ははきはきとした物言いでしっかりした姉御肌のような女房だった。

融と夏は乳母姉弟なため凄く仲が良くて頼りない融のもとに

しっかり者の夏が付いているのはすごくありがたいことだった。

そんな夏とまさかこんなとこで出会えるなんて思わなかった。

今は女房が不足していて大貴族の優秀な女房たちが特別に御所に

手伝いに入っているようなの。

内からは夏が選ばれて校書殿に来たのを見て速攻で夏を引き留めて

事情を話し代わってもらったの。

最初は夏も私がここに入ることは大反対だったけど

最終的には諦めてくれて

こうしてあたしは色々な情報を聞きながら

鷹男の為に動けることはできないかと考えているの。

後宮でじっとすることがあたしの性に合ってないのよね。

鷹男を助けると言いながら実は男たちの仕事ってどんなものなのか興味があるわ。

いつも局に閉じこもってばかりでしょう。

大変なことばかりだと思うけど鷹男の役に立ちたいもの。

あ~でもここで長いこと女房をしていることなんてできないから

あたしは少ししたら抜けないといけないしね。

 

毎日とは言わないけど変わらず鷹男は夜だけじゃなく昼間にまで藤壺にやってくるの。

でもね、絶対に抜けられない会議が定期であるのよ。

だからその時間を見つけてあたしは鷹男に隠れて校書殿に通うことにしたの。

小萩には夏のことを頼み女房の桂を借りて遊びに、もとい働くわよ。

滅多に男の人と話す機会なんてないしね。

こういう時しか接する機会もないじゃない?

あたしは基本男は浮気者でお調子者の馬鹿ばかりとしか思っていなかった。

鷹男や高彬なんていう例外はいるけどね。

でも働いている人って皆生き生きしていてかっこよく見えるわね。

自分の思い込みだけで男は駄目なやつばかりと思うのはやめておこうと思う。

はあ~今日も忙しい。

でも梅壺の女御様達の処分がどうなって、今どんな状態なのか

そして左近中将たちの追放場所はどこかなどいろいろな情報が飛び交っているの。

こんなことさすがに鷹男が詳しいことをあたしに言うわけはないし、

聞くわけにはいかなかったから本当にここに来てよかったと思う。

でもそんなあたしは意外にここではモてるみたいなの。

容姿は普通だし教養があるわけもないのにあたしみたいな活発なタイプが

ここではいいみたい。

鷹男がいるとはいえ、褒められたら気分はよくなるじゃない。

うふふっ、鷹男、これは浮気じゃないからね。気にしないでよ。

と心の中で思いながらあたしはいつも通りここで働くことに専念していたのよ。

 

 

そんなある日、偶々近衛府の右近の佐や

他の知らない官職の人たちとお話をしていた時にこんな話題が出たのよ。

 

「最近いい女性はいないかな~」

「噂では京一番の美女で名高い兵部の卿の宮様の二の姫様がいいんじゃないか。」

「そんな身分の高すぎる姫様では無理に決まっているじゃないか。」

「では右大臣様の由良姫様なんてどうだ?」

「またまた身分が高すぎるお方、高嶺の花ばかりじゃないか。」

「お前がより好みすぎるんだよ。もっと身近にいるんじゃないのか?」

「だがやはり上を目指しているのだから自分に有利な女と一緒になりたいな。」

「え!やっぱり上に上がるために結婚するの?」

「三条さん、えっ、いや、そういう場合もあるというだけで」

「そうだよ、こいつはそうだけど俺は全然違うよ。身近な人がいいなあ~」

「やっぱり男は昇進したいものなの?」

「そりゃあ~当り前だよ。

俺たちもこんなところじゃなくてもっと上に上がりたいよ。」

「でも皆は殿上を許されてるじゃないの。

だから今上帝とかと会う機会もあるんでしょう。」

「殿上が許されているとはいえ、そんな滅多にお会いできることなんてないよ。

まして俺たちみたいのは顔を上げることさえ許されてないのだから」

「まあ蔵人になれたらいいんだけどな~俺たちは所詮御所の

警護だけしかできないからなあ~」

「それでも立派なお仕事じゃないの。働く人はみなかっこいいわ!

だから皆頑張ってね!」

にっこりとほほ笑んで皆を励ましてあげたの。

ここの連中はいいひとばかり、優しいし、面白いしね。

でもここは高彬がきてもおかしくないんだけど最近は今上帝に

内密な仕事を受けているらしくここにはほとんど来ることもないの。

だから案外ばれないのよ。

体は動かすのは楽しいしね。

働くのはいいことだわ。

あたしはそんな日々を過ごすようになったの。

鷹男にばれないようにしなくちゃね。

 

 

 

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