妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

嵐のような恋物語2

あたしたちはあれから仲良く3人で吉野の里を駆け回った。

会えば口げんかばかりしていたあたしと鷹男を

いつも吉野の君が上手く中に入って収めてくれるから

あたしたちの関係は上手くいっていたように思う。

どちらかというとすぐに行動に移るあたしを

からかってばかりいる鷹男に怒り狂うあたしを

宥めてくれる吉野の君。

鷹男が一番年上なのに吉野の君が周りを良く見てあたしたちを守ってくれるんだから

鷹男は全然役には立たないのよね。

鷹男は悪餓鬼大将で、吉野の君は優しいお兄さん。そんな対照的な二人だったけど

やっぱり吉野の君はいつもあたしのことを考えてくれるし優しい素敵な人。

変りに鷹男みたいに我儘で我が強くてえらそうな性格だから

あたしは鷹男が嫌いだった。

でもそんなある日、鷹男をほんの、ほんの少しだけ見直したときがあったの。

ある天気が良い日に、あたし達はいつもの通り3人で遊んでいたんだけど

蝶が花畑を嬉しそうに

飛んでいたからあたしはそれを見るのに夢中で、足元を見ていなかったの。

吉野の君は危ないから気をつけるように声を掛けてくれたけど、

あたしはただそれをなんとなしに

聞くだけで全く注意を払わなかった。

鷹男はというと、何があっても俺は知らないとばかりに

つんとしていてあたしはしゃくにさわるばかり

そうしてあたしが蝶を追いかけ続けていたときに

案の定あたしは足元に小川が流れていたことにも

気付かずに落ちてしまったの。

あたしは吃驚したのと、あまりにも冷たい小川の冷たさに

足をばたつかせてパニックになってしまった。

その時、いつの間にやら大きな体に抱きかかえられてあたしは助け出されていたの。

その大きな体とはなんと鷹男だったの。

実際の小川は全然大きくないし、深さもそこまで深くはなかったけど、

あたしはパニックになっていたから、自分で判断して上がることは不可能だった。

そしてあたしは鷹男に大声でおこられてしまったのよ。

「瑠璃!お前は何を考えているんだ!吉野が言っていただろう。

気をつけろと。それなのに何も気にせずに蝶を追いかけるなんて。

もしこれが大きな池だったり、

流れが早い川だったらどうなっていたかも分からないんだぞ!

ちゃんと遊ぶ時は回りをみろ!」

あまりの鷹男の迫力と申し訳がない気持ちの両方に支配された

あたしだったけど結局素直になることが出来なかった。

でも結構意外ではあったのよ。

あたしが何かをしても呆れるばかりの鷹男が

まさかあたしを吉野の君よりも早く助けてくれるとは思わなかったから、

だから吃驚してしまっていたの。

それからあたしたちは濡れた衣を着替えるために

一旦帰ることにして遊ぶのはまたあくる日と決めてから別れたの。

でもあくる日、あたしは吉野の君の元に行ったら、

吉野の君は鷹男があれから体の調子を崩したらしく

今日は鷹男が一緒ではないとそう答えたの。

吉野の君は鷹男を見舞いに行くとそう言っていたけど

あたしはどうしても意地が張ってしまって

お見舞いに行くことが出来なかった。

結局吉野の君は一人で鷹男を見舞いに行き

あたしはただ祖母の元で出かけることもなく

邸にずっといたの。

鷹男の体の調子を壊させた原因はどうみてもあたしが小川にはまったから、

だからそれを助けようとして鷹男は体の調子を崩してしまった。

そんな病気の原因であるあたしがどんな顔をして鷹男に会わせる顔が

あるというのか。

ただでさえ鷹男とあたしは仲が悪いのに、それなのにあたしが見舞いなんて

行けるわけが・・・・

そう思い続けながらも自責の念にかられて落ち着かなくなっていたの。

だんだん自分が悪いのに見舞いさえ行かない自分に耐えられなくなったあたしは

一人で鷹男の御邸に結局向かうことにしたの。

場所はしっていたけど行ったことがないあたしは

警備が激しいお邸ではあったけど名前を伝えたら

すんなり中に入れて貰えたの。

でも鷹男に直接会える勇気もなく

あたしは廊下をただただ立ち止まることしか出来なかった。

やっぱり会えないとそう思い回れ右をしてこの場を立ち去ろうとしたとき

誰かとぶつかってしまったの。

そこには見たことがない女の方が見えたの。

「あら、あなたはどこの童かしらね」

「あの、ごめんなさい、あたしは鷹男に会いに・・・」

「鷹男?・・・あ~東じゃない、鷹男の見舞いにきてくれたのかしらねえ~」

「あ、はいそうです。」

「まあ。ありがとう。こちらに鷹男はいます。さあ、おいでなさい」

「あのう、いいんです。やっぱりお邪魔だと思うからあたしは帰ります」

「まあまあ何を言って見えるのかしら、あなたが多分瑠璃姫なのね」

「え?何で・・・」

「失礼しました。私は鷹男の母でございますわ。瑠璃姫。」

「え!あなたさまが鷹男の母君なの?」

「おほほほ。本当に元気いっぱいの姫君です事」

「すみません」

「あら、なんですの、あやまわれて」

「だって今回鷹男の体が調子が悪いのはあたしを助けてくれたから」

「そんなことはありませんわ。

確かに鷹男は瑠璃姫を助けて小川に落ちたとは申してましたが

女の子が助けを求めているのに何もしないでただボウとしているよりは

助けたほうが絶対によろしいのですわ。」

「でも、そのおかげで鷹男は・・・」

「いいのですよ。あの子はもともとお体が丈夫ではなかったんですの。

よく体調を壊しては床についてましたわ。

でもね、こちらにきてからは体の調子が良いみたいで

全然床につくこともなかったのですよ。

それに、あの子は京では殆ど笑わなくて年相応ではなくませた感じでしたの。

でもこちらにきて瑠璃姫や吉野の君に出会ったおかげで

表情も豊になってとても楽しそうなのですわ。

京では自由がありませんから・・・

でも佐子姫が京に戻ってくれることを願ってこちらにきましたが

体の弱い鷹男も一緒に連れてこれて

あなた方のような年の近い友達が出来てくれて嬉しいのです。

これからも鷹男と一緒に仲良くしてくださいな。」

「そんな、あたしは何も出来ません。でも吉野の君と一緒に鷹男とも仲良くします。

鷹男の母君さま!瑠璃に任せてください!」

「あらあら、瑠璃姫。時々は母であるこの私とも一緒に会ってくださいな」

「もちろん!」

そうして鷹男の母君さまとも仲良くする事が出来たの。


それから少し気持ちが浮上して鷹男に会いに行ったのよ。

「鷹男?大丈夫?」

鷹男は床について眠っているみたいだった。

いつも会えば憎たらしいことばかりを言ってくる鷹男だったけど

初めてじっくり鷹男の顔を見ることができたの。

吉野の君は男なのに美しい顔だけれど

鷹男は吉野の君と兄弟の癖に似ているところはなかった

でも顔の作りは凄く整っていて黙っている鷹男をみると

段々あたしは顔が赤くなってきたの。

どうして顔が赤くなるのかも気にせずに

ばたばたと暴れていたら鷹男が目を覚ましたらしくこちらをみていたの。

その視線にきづいたあたしは大声で叫んでしまった。

「たたたた鷹男!あんたきづいていたの。それだったら早く教えてよ。むかつくわね」

「瑠璃。お前な~病気で倒れている俺に向かって言う言葉か?」

「五月蝿いわね。別にあんたを心配で来たわけじゃないわよ。

ただ、たまたま偶然にこの近くにきたから

寄っただけであんたを見舞いにきたわけじゃ」

「あはは、わかっているさ。意地っ張りな瑠璃が俺を見舞うわけないよな」

「だから見舞いになんて来てない」

「ああ、見舞いじゃなくて偶然だろ」

「そうよ。偶然よ。まあ偶然に来ただけだからね。ついでにお礼も言ってあげるわよ。

昨日はありがと」

このあたしが鷹男になんてお礼をする日があるなんて思わなかったけど

何故か素直にお礼が言えた。

相変わらず意地っ張りなあたしだったけど

鷹男はあたしが見舞いに来たことを喜んでくれて

結構あたしも嬉しく感じていたの

 

 

 

 

 

吉野の君だけじゃなく鷹男を含んだあたし達3人は楽しい時間を過ごすことが出来た。

でも、あたし達のこの関係が続くわけがなかったの。

長い事時間をかけて説得をしていた鷹男の母君のおかげで佐子姫が京に戻ることになり

結局鷹男も吉野の君も自分達の父上の元に戻ることに決まってしまった。

吉野の君が本当の父上の元に戻ることはとても良いことだと思う。

でもせっかくこの素晴らしい景色である吉野の里で

これ以上一緒に過ごすことができないことに

寂しさを募らせることしか出来なかった。

そして、ついに二人とも吉野の里を離れなければならないとき

吉野の君はいづれあたしを

迎えに来てくれるとそう囁いた。

あたしはその言葉を胸に吉野の君を待とうとそう思ったの。

でも・・・・・・

鷹男は最後はあたしと会ってくれなかった。

あたしも鷹男が会いたくないんだったら別に良いとそう思っていたから

だからいいの・・・・・・・

そうしてあたしの幼馴染達は吉野の里から姿を消した。

あたしは本当なら京に戻れば良かったんだけどあたしの母君がそれからすぐに

お隠れになり、祖母があたしを離してくれなかった。

そうして祖母も病気でお隠れになったからあたしは京に戻ることになったの。

でも邸に戻ってからなんと母君が亡くなってからそんなに経たない内から

父上は新しい母上と一緒に三条邸に住むことになっていて

あまりに男の気持ちの軽さに驚きを隠せなかった。

吉野の君は絶対にあたしだけを大切にしてくれる

そう思ったから・・・

だからあたしは吉野の君があたしを迎えに来てくれるのを夢見て待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

 


そうして長い年月がたち待ち続けても待ち続けても

吉野の君はあたしを迎えにきてくれなかった。

大きくなってから気付いてあたしは呆然としてしまったの。

それはあたしは結局吉野の君の本名を知ることも出来ず、

まして鷹男と吉野の君の父上の御身分も

聞く事が出来なかった。

ただ高貴な身分だから安易に本名を教えることは出来ない

そう言っていたからあたしは吉野の君を直接自分から見つけることが出来なかったの。

だから吉野の君はあたしが自分でつけた名前なのだから兄である鷹男のことなら

だれか分かるとそう思って父上に聞いたり弟の融や、京に戻ってから仲がよくなった

弟と同い年の高彬に鷹男の名前のついた貴族の息子はいるか聞いて見た。

でも誰もそんな名前の殿方なんていなかった。

どうしていないのか、あたしは分からないけど

まさか鷹男にまで本当の名前を教えてもらえなくて

あたしは疎外感を感じてしまった。

その内、あたしはだんだん二人が嘘をついていたんじゃないかとそう思うようになり

ますます男嫌いになったのは無理もない話だと思うのよ。

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