妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

嵐のような恋物語19

あたしは動くことが出来ずにただ固まっていたの。

でもあたしの体は自然にどう動きたいのか分かるように

この部屋を抜けだそうとしたその時、力強い体に抱きしめられ唇を奪われた。

「う~ん。ちょっと・・・離してよ!」

「ダメだ!瑠璃お前はどこに向かおうとするんだ!」

「そんなの決まっているでしょうが!通法寺よ!吉野の君を助けなくちゃ!

吉野の君に本当のことを、聞いてこの陰謀には加担してないことを証明してみせる!」

「瑠璃!お前はやっぱり・・・・絶対に行かせないからな瑠璃!」

「何でよ!鷹男だって吉野の君がこんなことを企んだとはそう思わないでしょう。

なのになんで!」

「俺だって吉野は大事な奴だ!なのにあいつは一言もいい訳もなにもいわなかった。

ただ、自分が企んだことだから罪はかぶると・・・あいつはそう言ったんだ!

そういったあいつを俺は助けることなんできる訳がないだろう!

俺は東宮なんだ!

いくら実の兄弟で血が繋がっているとは言え

この陰謀に加担したと言っている人間を

罪人として罰しなければならないことなんだ。

そうしないといけない世界なんだぞ瑠璃!」

「そんなの知ったことじゃないわよ!鷹男!あんた吉野の君が嫌いなの?

自分の大事な弟を助けたくないわけ?」

「助けたいに決まっているさ!」

「じゃあだったら助けなさいよ!あんた個人としてさ。

鷹男は東宮だから動けないんだから鷹男個人として動きなさい。

あたしはもちろん協力するわ!鷹男個人に協力者は一人もいないの?

なんだったら高彬にも協力させるわ。

高彬は仕事命な人だけど一番信頼している鷹男のことだもの。

絶対に協力してくれるわ。」

「・・・・・・・そうだな。

吉野がこの陰謀に加担したとしても俺の大事な弟なのは変りはない。

あいつが俺を憎んでいたとしてもそれでもあいつは俺にとっても大切な存在だった。

瑠璃!もし俺が吉野を助けたことで世間にばれて東宮位を剥奪されたとしても

それでもお前は俺の傍にいてくれるか?」

「あんた馬鹿じゃないの?そんなの当たり前よ!あたしを見くびらないで頂戴!」

「あははは。瑠璃は本当に変わらないな~

じゃあ瑠璃、今後についてすぐに行動しなくてはいけない。

いい案がないか話し合おう」

あたしたちはこのままのんびりとしているわけにはいかなかったの。

首謀者は入道である左大臣なんだけど

吉野の君がかかわっているとしたら

東宮位を鷹男から奪おうとしていると思われているから一番重い刑になる。

そんなことにはさせない。

今は蟄居を命じられているけどすぐに刑は確定するはず。

一体どうなるのかなんて目に見えて分かるわ。

だから今の内に通法寺から助け出さないと・・・

あたしたちは夜も休まずに計画を練ることにしたのよ

 

 

この計画には鷹男の本当に信頼する人間に協力をして貰わないと絶対に成功しないものだったの。

本当は鷹男には雑色の姿で動いて貰いたかった。東宮自身が吉野の君を助け出すことが京中に広まって

しまったら全ての者達に激震を与えるくらいに大変なことなんだから。

身分が高い者は全ての人々に平等でなければならない。

それが世の中のことわりなことなんだから。でもあたしたちは私事事で動こうとしているんだもの。

この計画は絶対に失敗は許されないの。

だから計画を知っているものもできるだけ少なくしないといけない。

そのためにはやっぱり東宮としての鷹男はいないといけないのよ。

あたしたちは吉野の君を救出する計画を実行に移したのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通法寺は常備不審な事はないかと沢山の警護の者に守られていた。

蟄居を命じられているとはいえ、

第二親王であるため拘束されているわけでもなく

ただこの寺からは絶対に出る事は適わない状態。

中に入れるものなんて警護の者達以外殆どいない。

でもあたしは鷹男のお付の女房としてこの通法寺に入りこむことに成功したの。

もちろん東宮である鷹男が希望をしているとはいえそう簡単には入れない。

だからこの陰謀の実質の責任者である別当殿を監視役に

鷹男は吉野の君にどうしても本人に聞きたい事があるということで

ほんの少しだけ面会が許されたの。

そこにあたしは鷹男の女房として中に入り込んだというわけ。

そしてもう一人女房の姿にやつした美しい殿方が一人。

うふふっ、女房の姿に化けているのはなんと秋篠左近の権の中将さまなの。

女房が2人入り込むように上手く取り計らったわけ。

秋篠左近の中将さまならこの通法寺に誰にも咎められずに入る事はできるの。

でもどうしてももう一人女房が必要だったのよ。

高彬には今違うことで忙しいだろうしあたしは鷹男が吉野の君と面会した後、

鷹男が別当殿や吉野の君に張り付いている一部の警護の者の気を引いて貰って

あたしは吉野の君を救出しないといけない。

あたしは吉野の君のもとに向かった。

丁度鷹男は面会も終えてタイミングを計ってあたしは吉野の君の

居る部屋に入ったのよ。

「吉野の君!助けに来たわ。早くここから逃げましょう!」

「瑠璃姫!あなたが何故ここに?」

「そんなの決まっているじゃない。吉野の君を助けに来たに決まっているわ!」

「馬鹿なことはいわないでください。

ここには沢山の警護の者がいるんですよ。

瑠璃姫こそここからすぐにお逃げなさい。

あなたがここにいるだけで罪に問われるのですよ。早く兄上の元に戻りなさい」

「嫌よ!それに鷹男と一緒に迎えに来たんだから

吉野の君がいないと来た意味がないじゃない?」

「兄上が私を助けにって・・・

まさかたいした事も聞かなかったのにここに来たわけわまさか」

「そのまさかよ。大切な吉野の君が大事だから一緒に助けに来たのよ。」

「そんな馬鹿なことがあるわけがない。

私は兄上を騙していたのですよ。

私は瑠璃姫を心ごと欲しくてこの計画を実行したはず・・なのに・・・

あんなに東宮としての役割通り行動をなさった兄上が助けに来てくださるだなんて」

「鷹男は吉野の君が大切なのよ。

もし失敗して東宮位を剥奪されてもいいと言う思いがあるの。

だから吉野の君。死んでは駄目よ!あたしたちは生きなくちゃダメなのよ!

さあ~これを羽織って頂戴」

「これは・・・」

「ふふふ、綺麗な女房装束よ。

吉野の君は昔から綺麗な顔をしていたから白拍子になれるわね。

そんな昔の約束もあったわ。さ、行きましょう」

あたしは吉野の君を連れて門を潜り抜けたの。

門番にはあたしがもう一人女房をともなって入って行ったのを知っていたから

簡単に出る事ができたの。

あたしはある場所であたし達を待ている御車に向かって

急いで歩いていった。

後ろの方ではあたし達に構っている余裕はないはず

 


沢山の人達がこの場から離れようと大騒ぎをする声が鳴り響いたの。

それは通法事炎上。

高彬は上手い事吉野の君の背丈に似た躯と女房の亡骸を炎の元に置いているはず。

高彬と秋篠左近の中将さまは通法寺の警護を担当している責任者。

上手に皆を避難させて吉野の君と女房の嘘の心中を演出してくれているわ。

この混乱に応じてあたしたちは京から離れて懐かしの吉野の里に向かった。

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