妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

身を滅ぼそうとも 前

私は後悔はけしてしていない・・・・

やっとあなたを手に入れる事ができたのだから・・・・・

自分の身を滅ぼそうとそれでもあなたを手に入れる事ができた。

私は幸せなのだから・・・・・・・・・・








身を滅ぼそうとも








私は今まで皆の評価から歴代の帝の中でも一番の賢帝だと

呼ばれていたことを聞いていた。

それが私にとっては一番しなければいけないことだとそう思っていたからだ。

自分の幸せよりも帝としての責務を果たすことが

やらなければならないこと、そう幼い頃から

教えられてきたことだった。

さまざまな陰謀の影によって私は帝になった。

どれだけの人を犠牲にしながら私は帝になってしまったのだろう。

だからこそ私は罪の意識を少しは感じていた。

そうして愛した瑠璃姫を私は諦めることが出来た。

そう出来たと思い込んでいたのだ。

瑠璃姫は私を選ばず当時右近の少将高彬の北の方になった。

本当は瑠璃姫を無理やりにでも女御に迎えたかった。

しかしそんなことをしても瑠璃姫を手に入れる事はできない。

あの姫は自分で相手を見つけ一緒に幸せを勝ち取る方だ。

だからこそ無理やり手に入れても意味がないのだ。

私は二人が結婚をした時点で二人を心から祝福することにしたのだ。

もちろんはじめは心穏やかには出来なかった。

しかし私にはさまざまなものが近くにいてくれた。

数年がたっていつの間にやら瑠璃姫は過去に愛した人。

今では大切な友人だとそう接してきたつもりだ。

時には高彬をからかいその姿を楽しむ事もできた。

私の信頼できる高彬だからこそ

瑠璃姫を託しても友人付き合いが出来たのかもしれない。

帥の宮が起した事件から数年がたった。

あれから丞香殿の女御に親王が生まれ

今では東宮が誕生し私の御代もかなり落ち着くことになった。

一方瑠璃姫と高彬の間にも一人だけであるが男の子が誕生した。

まだ元服してはいないが東宮とも年が近いからこそ

10年後には私と高彬のような関係を築くことが出来ただろう。

あの時、あの時瑠璃姫と高彬を一緒に御所に呼ばなければ

こんなことになっていなかったのではないか?

もう瑠璃姫のことを愛する気持ちがないと信じていた頃

今さらいっても仕方がないことだ。

もう引き返すことは出来ないのだから・・・・・・




















私はある日高彬を呼び瑠璃姫と一緒に昔話をしようと提案したのだ。

治世も安定し私も大分落ちついた。

お互い歳を取り子も儲けることができた。

もう何年も瑠璃姫と会うことはなかったから久しぶりに会いたい。

そんな軽い気持ちだった。

当然高彬は反対した。瑠璃姫が御所にきたら何か事件を起すかもしれない。

ただそれだけが理由じゃないとも思ったが

からかいがいがある高彬を十分いじめ私はそれだけで満足するはずだった。

しかし何故かいつもならここで引く高彬が観念して瑠璃姫を連れてくるというのだ。

あの堅物高彬にしては珍しく素直だと思った。

だからといって長い滞在はせず1泊だけしたら邸に戻る事を条件に

瑠璃姫対面が叶うことになったのだ。

久しぶりの再会に私は喜びに打ちひしがれていた。

瑠璃姫が御子を産んでから私は会う事はなかった。

文もお互いの子供のことか近況の事ばかり。

瑠璃姫に出会っても懐かしい気持ちになるだけだ。

そんな気持ちだった。

そして再会の日。

瑠璃姫は夫である右近の今では大将にまで出世した高彬と共に私と対面した。

会ってやはり懐かしい気持ちが大きかった。

瑠璃姫とあうとあの懐かしい事件が甦るかのように

走馬灯のように頭の中を駆け巡っていた。

姿は以前と変わった様子はなかった。

しかしやはり妻としてそして子供を産んだ母親としての美しさは輝かんばかりだった。

いつもと全然変わらない二人。

昔懐かしの思い出話に3人でとても楽しい時間を過ごせた。

相変わらず高彬は少しお堅いが瑠璃姫に振り回されている姿は

変わらず見ていて微笑ましいくらいだった。

ただそれだけだった。

なのに何故だろう?

はじめは楽しかった。

懐かしい思い出話に夢中だった。

だがいつの間にやら疎外感を感じるようになってしまった。

瑠璃姫と高彬の仲むつましい姿にちくっと心に何かが刺さったかのように感じた。

それが何なのか気付くこともなく話をしていたのに

いつの間にやら二人は自分達の話をするようになっていた。

二人の近況は文や高彬から聞いていたから話の内容はついていける。

ついていけるのに何故心が沈んでいくのか?

瑠璃姫が高彬と仲がよいのはいい事ではないか!

二人は結婚して長いのだから。夫婦で仲がいいことはよいことだ。

なのに私は更に疎外感だけが募っていってしまったのだ。

私は笑顔を浮かべながら段々心の中が黒く汚れていくのに気がついていた。

二人の世界にはもう私はいないのだ。

瑠璃姫の目にはもう高彬しか映っていないのだ。

もう瑠璃姫の中には私という存在は消えてしまったのだ。

ゾク!?

私は気がついてしまった。結局まだ瑠璃姫を諦めていなかったことに。

未だに瑠璃姫を愛していることに。

瑠璃姫が欲しい!!!!!

急速に欲望だけが私を支配していった。

瑠璃姫の心は高彬のもの。だったら私は瑠璃姫の体だけが欲しい。

それだけでいいのだ。

ただそれだけで・・・・・・・・・









私はそれから瑠璃姫を手に入れるために動くことにした。

二人には休んでもらい何食わぬ顔で別れをした。

瑠璃姫は嬉しそうな表情で高彬に身を寄せながら自分に用意された部屋へと向かった。

そして私はある者を至急呼びつけた。

私の腹心で高彬と同じく信頼に値する大納言を・・・・・

以前は瑠璃姫がまだ吉野の里に閉じこもって見えた時の

お使いとして協力してくれた者だ。

彼は私の話を聞いてどう思うだろうか?協力してくれるだろうか?

それとも・・・・・・

でも私は自分の欲望のためなら何でもする覚悟を持ったのだ。

何が何でも協力してもらわなければ・・・・・・・





彼は私の話を聞いて驚きを露にしたがすぐに承諾してくれた。

何故こんなにすんなりといいなりになってくれたのはわからない。

しかしそんなことはどうでもよいことだ。

時間はないのだから・・・・・・・・・・






そうして私は瑠璃姫を自分のものにする事ができたのだ。

どんな犠牲を払ってもよかったのだからそんなに難しい方法ではなかった。

その方法は御所にいる瑠璃姫の誘拐。

ただそれだけだ。

そう瑠璃姫が誘拐され周りが大騒ぎをしている中

瑠璃姫は私の手の中にいてもらう至ってシンプルな方法だった。

私の未来などいらない

瑠璃姫さえ手に入れれれば地獄に落ちようと後悔などしないのだから・・・・・

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