妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて11


写真素材 pro.foto

弾正院宮様から聞いたことはとても驚く内容だった。
その話を聞いて、確かにあたしの命を狙う理由はそこにあるのだと思った。でも、親のしたことで、あたしが恨まれるのは違うと思うのよ。被害者からすればそう考える気持ちも分からないわけじゃないわ。

苦しくそして悲しい気持ちはその人じゃないと分からないから。でも弾正院宮様がおっしゃっていたわ。
鷹男は母君である麗景殿女御様にしばられてしまっている。長いこと長いこと。だから弾正院宮様に言われた。鷹男を救ってほしいって。

だからこそあたしは、いろいろ考えその計画を実行に移したの。これは自分の命を懸けた一世一代の賭け。
これが失敗したり、運が悪ければあたしは命をなくすかもしれない。
それでも!やる価値はあると思うから。

























鷹男はいまだに謹慎の形をとっていた。
けれどこれは自主的なことだったから人の出入りは厳しくなかったの。
あたしはあらかじめ鷹男付の命婦に協力を頼み人払いをさせ部屋へと入って行ったの。
あたしの急な出現に鷹男は慌てていた。
「瑠璃姫どうしてあなたが!」
「ずっと会っていなかったんだもの。それに鷹男の女御であるあたしが会いにくるのっておかしい?」
「しかし・・・・」
そりゃあ~命を狙われたのに会いにくるのはおかしいと思うけどね。
「鷹男・・・あたしは弾正院宮様に話を伺ったわ。」
「宗唯に・・・・そうですか・・・」
「ね~やっぱりあたしの命を狙った理由は麗景殿女御様のことがあったから?」
「・・・・そうです。」
「でも!内の母様が原因かもしれないけど、だからってあたしの命まで狙う理由になるって言うの?

あたしは母様の思い出なんてない、それに京に来たことさえなく吉野にずっといた。それでも・・・・あたしが母様の罪を背負わなくちゃならないの!?」
「そうです。あなたが直接罪を犯したわけじゃありません。それでも・・・・・
あなたに罪を贖っていただかなければならないのです!!!それが・・・母の・・・」
鷹男はとても苦しそうだった。声は震えどうしたらよいのか途方もつかないくらいだった。
鷹男はそこから前に進めれなくて困っているんだわ。
だったらあたしが鷹男の気持ちを少しでも軽くしてあげる。
この気持ちに決着をつけてあげるわ!
それが鷹男にとってもいいと思うから!



「鷹男見て。」
「それは?」
「毒薬よ。これを飲めばすぐに死ぬことが出来るわ。」
「なっ!」
「だからあたしがこの場で死んであげる。そうすればあんたも自分の復讐が達成できるでしょう」
そういった瞬間、あたしはそのまま手早くその毒薬を口にした。
「瑠璃姫!!!!!!!!!」
男の叫び声が聞こえてくる。
鷹男があたしに近づいたのは、命を奪うためだといっていた。優しくしたのは鷹男を好きにさせるため。
それはただのまやかしに過ぎないと。
でも・・そういわれて騙されてたのだと分かっても、あたしは素直にそれを受け止めることなんて出来なかった。鷹男のあの優しさが嘘だとはどうしても信じられないから。心細い京での暮らし。
早く吉野に帰りたくて仕方がなかったはずなのに、今では帰りたいと思わなくなったのは鷹男のおかげ。
鷹男の優しさがあたしを幸せにしてくれたの!
あたしは愚かな女じゃない。
それが嘘の優しさか、真実の優しさか、分からない女じゃない。
あれは本物だった!鷹男の優しさは本物だった!
だからあたしはそのことに気がついていない鷹男に気がついてほしかった。
荒療治だけどそうでもしないと鷹男は気がつかずに復讐からずっと取り付かれてしまう。
前に進むことが出来ない。
だからあたしは鷹男のために自分の命を差し出した。鷹男・・・・お願いだから前を向いて頂戴。
何かに縛られすぎては何も見えなくなってしまうんだからね・・・お願いよ・・・・・
あたしは次第に闇へといざなわれる。
真っ黒な真っ黒な暗い闇へと・・・・・
あたしは意識を失っていったのよ・・・・・・・・・
























「瑠璃姫~~~~~~~~」
「瑠璃姫・・・・瑠璃姫・・・・瑠璃姫・・・・・」
何度呼んでも返事がない。彼女を抱きかかえ、ゆすってもゆすっても黙ったままだった。
そんな・・・・・・そんな馬鹿な・・・
私は瑠璃姫が毒薬を飲むといったとき、

信じなかった。だって瑠璃姫が毒薬を入手することなんて不可能だからだ。人の命を奪うそんな代物を、手に入れるなんて困難だ。
瑠璃姫が京に来たのはまだそんなに経ってはいない。
だから彼女の言ったことは嘘だとそう思っていたのに・・・

だが彼女は言った瞬間、口に含みそして倒れた。
私はすぐに駆け寄って彼女を抱きとめる。
けれど本当に彼女は死んだように返事がない。
動かない・・・動かない・・・動かない・・・・
まだ体は温かいのに、寝ているようにも見える。
でも彼女は息をしていない。脈をとっても反応がない。まさしく死んでいるとしか思えないのだ。
それでも私は信じない。信じたくない!
彼女が死んで嬉しいのは自分のはずなのに、それでも・・・・私は嬉しくないんだ!

彼女を失うこの気持ち。この空しい気持ち。
ずっと願っていたことが叶ったんだ!
だったら喜べばいいのに全然その気持ちが起きては来なかった。私はただ彼女の名前を叫び続けることしか出来なかったのだ。


 

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