妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語32

「ねえ鷹男、聞きたいことがあるんだけど少し聞きずらくて・・・」

「瑠璃姫にしては珍しいですね。言葉に言いよどむだなんて」

「仕方がないじゃない、本当なら聞きたくないもの。でも・・・」

「そうですか、ではいったいなんなのですか?」

「あのね、梅壺の女御様がご懐妊される前に一度日が昇ってから

梅壺に戻られた時があったじゃない?

その時の香の匂いなんて覚えてるわけないわよね。ごめんなさい、

変なことを聞いたわ。」

「いいのですよ。あのときのことですか・・・そうですね。

あの日のことは私にとっても不思議なことだったのですよ。

それはね、彼女の体に触れた覚えがないからなのです。」

「え!そんな馬鹿な。だって梅壺の女御様はご懐妊なさって・・・」

「ええ、だからあの日、梅壺の女御を昼に帰したとき

あの時だけ私は彼女に触れたようなのです。」

「・・・」

「あの日、私が目覚めたときは昼時でしてね。隣には梅壺の襦袢が乱れていて

いえ、こんなことをあなたに言うべきではありませんね。」

「それは・・・でもいいから言って!」

「どうもその時にできた子供の様なのですよ。」

「ねえ~鷹男、その日へんな香の匂いをかがなかった?」

「ええ~よく知ってますね。あの時の香は初めて嗅ぐ匂いで

あの時だけなのですよ。そして確か梅壺がつけているその香がきつくて

最初はからだがうずき、そのあと一瞬気を失いそうな変な気分になりましたね。

まあ~あの一夜はあの香のおかげであまり覚えていないのです。

ただ体に疲労感が残っていただけなのですがね。」

「それって、まさか・・・」

「どうなさったのですか?瑠璃姫顔色が悪いではありませんか?

すぐに主治医を呼ばなくては」

「いいの、鷹男病気じゃないの。気にしないで」

あたしはその話を聞いただけで嫌なことを思いつくことしかできなかったの。

まさか梅壺の女御様の体の御子は実は鷹男じゃなくて・・・

いえ、そんなこと梅壺の女御様がするわけがないわよ。

だってこんなこと許されるべきではないから。

そして本当のことだとしても鷹男にこのことを伝えるべきじゃない。

でも香の出どころはつかみたい。

でもあたしの力ではどうしても限界がある、だから・・・

あたしは鷹男に協力を仰ぐか悩んでいた。

どんなことがあろうとも鷹男を守りたい。

でもここではまだ疑いの言葉しか伝えることができない。

「瑠璃姫、また何か気づいたのですか?」

「鷹男・・・」

「いいのですよ、私は最後まであなたの味方ですから。

あなたが考えていることを私がお手伝いすることはできませんか?」

「それは・・・」

「瑠璃姫、私はあなたの夫なのですよ。

妻のすることに協力しない夫などいませんよ。」

「でも!」

「瑠璃姫、また何か私のことでお気づきになったのでしょう。

だったら私が協力しなくてはどうするのですか?」

「・・・」

「瑠璃姫」

「分かったわ、ありがとう鷹男。でも深くは聞かないで、

まだ疑問段階だから詳しいことはあんたにお話しできないけど

でもあたしには鷹男の力が必要なのよ。だからお願いね。」

「分かりましたよ。」

 

 

あの時につけていた香はどこから入手したのか、そしてどんな効果があるのか

それを鷹男に調べてもらっているの。

あんな特殊な香、あたしはこの国にはないと思っているのよ。

多分唐の国からきた秘薬ではないかと・・・

この国のものではないからそう簡単には手に入らないけど

左近の中将ほどの地位であればその香を手に入れることができるのではないかと

踏んでいるのよ。

だからもしそうだったとしたらどうなってしまうのだろうか。

どんどん嫌な予感がしてくる。

嫌な予感が当たらないように願うばかり。

 

 

幾日かして鷹男はあやしげな香について調べてくれたの。

そしてあたしの推察通りだった。

「瑠璃姫、例の香ですがあれは唐の国からの贈り物として御所に

入ってきたもののようです。」

「やっぱり唐から・・・でもそんな高価なものを軽々しく手に入れれないわよね。」

「もちろんそうですよ。しかしこれを管理していたものが不正に

ある貴族に横流ししていたのです。」

「誰なの?」

あたしは逸る気持ちを抑えながら尋ねたの。

「左近の中将です。」

やっぱりあの男、一体香を手に入れて何を企むの。

梅壺の女御様に手渡した理由は?

まさか、中将との間に御子様ができたから鷹男との既成事実を作り上げるためだとか?

だからこそ香の力が必要だったのよ。

「鷹男、その香の効果と持続力は?」

「それが催眠効果のようですが媚薬が入っており量によっては

依存する可能性が高いものだそうです。いわゆる麻薬の一種ですね。」

麻薬ですって!そんな危ないものを鷹男に使って!

でも確かに麻薬だったら小夜や紅葉が左近の中将から

離れられない気持ちも分からなくはないわ。

人の気持ちを操ることだって可能なはず。

小夜や紅葉は左近の中将から離れてもすぐに立ち直ることができたのは

香の量が少なかったのかもしれないわね。

じゃあ鷹男には?

やっぱり既成事実を作って鷹男の御子様だと認めさせるために仕組んだ?

「瑠璃姫どうかされましたか?」

「鷹男なんでもないわ。でもなんでその香だとわかったの。」

「私が直接その香を嗅いできましたから」

「危ないじゃない!でも一回きりのことでしょう?よく覚えてるわね。」

「あの香の匂いは異常だと思ってました。一瞬気をやりましたからね。

だからこそ怪しんでいたのですよ。」

「ふふふっさすが鷹男!あんたは何でも知ってそうだわ。」

「そんなことありませんよ。ですが瑠璃姫あなたは何を危惧なさっているのですか?」

「鷹男・・・・まだ言えないわ。」

「ですが瑠璃姫あなたは何かを知っているようだ。」

「やあね~何も知らないわよ。

ただちょっと気になることがあって」

「瑠璃姫良いのですよ。梅壺のことでしょう。」

「鷹男!」

「まあ推測だけなんですがね。瑠璃姫と答え合わせがしたい。

だから教えてください。」

「鷹男」

「瑠璃姫」

「いいわ、教えるけどこれはまだ全部わかっているわけじゃなく推測も入るわよ。」

「はい、それでもいいです。」

あたしはまだ鷹男に話していなかった小夜と紅葉が発端の嫌がらせから

左近の中将が梅壺の女御様と組んでいるようなこと。

二人がよくお会いなさっていること、香の話、そして融の話までしたの。

融が梅壺の女御様の従妹姫の三の姫様に通っていることはさすがの鷹男も

驚いていたわ。ただ融が惚れたんじゃなく惚れられたうえ

紹介は左近の中将だということを話したら鷹男もこれは怪しいと言っていたわ。

それにしても融は今上帝にさえ女にもてるわけがないと

思われてるのもどうかと思うわね。

そうして二人で色々話をしていた矢先とんでもないことを小萩が伝えてきたのよ。

 

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