妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

恋しくて12終


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真っ暗な暗闇の中をあたしはさまよっていた。
あたしはどうしたんだろう・・・・・
見渡す限り真っ黒な闇。あたしは死んだんだ。
鷹男の目の前で毒薬を飲んで・・・
鷹男はずっとあたしの命を狙っていたといっていた。
それが叶ったんだもの悲しむわけはないだろう。
それでもあたしは願う。鷹男はあたしの死を悲しんでくれているって。鷹男はあたしを憎んでいるだけじゃないって、あの優しさは本物だったから!
だからあたしは自分の命を懸けてこの無謀ともいえる賭けに出たのだから!





「瑠璃姫・・・・瑠璃姫・・・・瑠璃姫・・・・・」
あたしを呼ぶ声が聞こえる。
その声に導かれながら近づいていったの。
ドンドンその声が近づいてくる。
けれど声が聞こえるだけで何も見えない。闇の中をあたしはただ突き抜けていくだけ。けれど怖さは感じられなかった。だって好きな人の声に近づいていくだけなんですもの。大好きな鷹男の元へとあたしは近づいていった。そして鷹男の声が耳元で聞こえてきたの。
「瑠璃姫・・・瑠璃姫・・・瑠璃姫・・・・」
切ない悲壮な叫び。
あたしはその声を聞いてすぐにでも目覚めたかった。
このまま鷹男を抱きしめてあげたかった。でもそれは出来ない。だってあたしは死んでしまったんですもの。体は全く動かない。
目を開けることさえ出来ない。
あたしに出来ることは鷹男の声を聞くだけ。
あたしが目覚めるのはあるきっかけがないと目を覚ますことが出来ない。鷹男があたしを真に愛してくれなければ奇跡は起きないの。
鷹男はあたしを本当に愛してくれるのだろうか?
それが不安だった。








「瑠璃姫・・・瑠璃姫・・・瑠璃姫・・・・」
鷹男はあたしの名前を叫び続ける。ドンドン時間だけが経っていく。その時鷹男以外の声が聞こえてきたの。それが誰なのかあたしは知っていた・・・・・












「兄上・・・・兄上は結局瑠璃姫を死なせてしまったのですね。」
宗唯の出現に私は驚いていた。
「どうしてお前が・・・・」
「瑠璃姫に毒薬を渡したのはこの私だからです。」
どん!
私は宗唯の胸倉をつかみそのまま柱に押し付ける!
「どうしてお前がそんなことを!!!!!どうして瑠璃姫に毒薬を渡したんだ!!!」
「それが兄上と瑠璃姫の願いだったからです。」
宗唯は表情を変えずに私に言った。
そうだ・・・・瑠璃姫の死は、私が願ったことだ。
だが・・・・・それでも・・・瑠璃姫が自分で死を選ぶだなんて思いもよらなかったのだ!
こんな・・・・・こんな私のために・・・・
「兄上瑠璃姫をこちらにお渡しください。」
「何故だ!」
「何故?そのようなこと聡いあなたならお分かりでしょう。瑠璃姫は死んでしまった。
けれどその死はあなたが関わっていることは周りに知られてはいけない。ですから瑠璃姫を私が預かるのです。そのように瑠璃姫から遺言を受けてますから。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
瑠璃姫は本当に死んでしまったのだろうか。
触っても触っても瑠璃姫はまだ温かい。
死んだという実感が湧かないのだ。
宗唯に渡すのが一番よいことなのだ。
このままでいれば私の破滅は必須。
いや私はもう破滅してもよいのだ。
今更・・・・・今更気がついてももう遅い。
でも・・もう少しだけ・・・・・もう少しだけ瑠璃姫の傍にいたい・・・・・
「宗唯・・・もう少しだけもう少しだけ瑠璃姫の傍にいてもかまわないか?」
「・・・・・・少しだけですよ兄上。後半刻たったらお迎えに上がります。
それまで瑠璃姫との別れを惜しんでください。」
「ありがとう・・宗唯。」










鷹男と弾上院宮様の声が聞こえた。
弾正院宮様はあたしが言ったとおりに動いてくれる。
ここまでは計画通りだわ。
でも・・・・・・この後、あたしは鷹男の行動しだいで鷹男との永遠の別れをしないといけない。
鷹男・・・・・お願いよ・・・・あたしの想いに気がついて頂戴・・・・・









「瑠璃姫・・・どうしてあなたが死んでしまうんだ。あなたに罪はないのに・・・・そんなこと分かっていたのにあなたに罪を被せなければどうしようもなかった。そんな不甲斐ない私のために命を落とすだなんて・・・・・
私は馬鹿だ・・・・・あなたを失って初めて自分の想いに気がつくだなんて・・・・
瑠璃姫・・どうすればあなたは生き返るのだろうか?
私が死んでしまえばあなたは生き返るのだろうか?
どうすればいいのだ!」
あたしの目の上に何かが落ちた。
一つ・・・・二つ・・・・三つ・・・・・・・
ポトッ・・・ポトッ・・・ポトッ・・・・・・
鷹男の悲しみがあたしに伝わってくる。
鷹男はあたしを失って後悔をしているんだわ。
「瑠璃姫・・・・私はあなたに対する気持ちを隠してました。いえ、考えないようにしていたのです。でも私はあなたを・・・・ずっと愛していたのです。
あなたをずっと憎しみながら・・そしてその裏側ではあなたをずっと愛していた。それにずっと気がつかなかった私は馬鹿です。瑠璃姫・・・・あなたを愛しています。」
あたしの唇から温かいぬくもりを感じた。
ふわ~~~~~~~~鷹男の愛おしい気持ちが伝わってくる。温かい温かい真実の愛があたしに入ってきたのよ。あたしはとても嬉しかった。
鷹男はあたしを憎んで憎んでいるしかないのかとそう思っていたから。あの優しさは嘘だと本当の気持ちを鷹男の口から聞きたかったの。

あたしへの愛の告白を!
そして・・・・・・あたしの体に変化が起きた。
声だけしか聞こえなかったのに体が動く。
あたしの体に生命が入った!
あたしは目を開けそして力いっぱい鷹男を抱きしめる!
「鷹男・・・・・ただいま!!!!!!」
「瑠璃姫!?どうして・・・あなたは死んだはずでは?」
「鷹男・・・・それよりもあんたに直接聞きたい!先ほどの気持ちは嘘?それとも真実?」
「もちろんあなたを愛していますよ!あなただけを・・・・もうあなた以外愛さないとそう思った。
もうあなたに嘘は言いません!私はあなたを・・・瑠璃姫を愛しているのです!」
「その言葉を聞けただけでもあたしは幸せだわ!!!!」
あたし達は見つめあいそして抱きしめあった。
長いこと長いこと。
弾正院宮様はあたしが生き返ったことでその日は現れなかったの。あたしは賭けに勝ったのだから。
賭けといっても誰かと賭けたわけじゃない。
自分自身と賭けをしたの。
この毒薬は特殊なもので飲めばすぐに意識をなくす強力なもの。けれどそれは本当に死んだわけじゃなく仮死状態にする薬だったの。だから本当に死んだわけじゃない。時間が経てば目が覚める代物だった。
でももし運が悪ければ仮死状態じゃなく本当に死んでしまうもので簡単に扱えるものじゃない。
それでもあたしは賭けて見たかったの。鷹男のあたしに対する気持ちは本物だって!
仮死状態にいるとき鷹男からの気持ちを聞けたら

あたしは京に残り鷹男と暮らす。
もし鷹男の気持ちを聞くことが出来なければ弾正院宮様があたしを迎えに来てくれて鷹男に知られること
なくそのまま吉野に戻る。そう決めていたの。
そして賭けは勝ってあたしは鷹男がいる京に残ることにしたの。根本的な解決は全然出来ていない。
でもそれでも鷹男の気持ちが聞けて嬉しかった。
鷹男がずっと苦しんできたことをあたしも知り、支えになりたい、そう思っていたから。
そう思いあたしは鷹男からすべての話を聞いた。
鷹男がどれだけ苦しんできたのか・・・
でも想像以上に酷な話だった。
それでもあたしは鷹男を救って見せるわ。
鷹男の楔を切り離してあげる。
 

 

 

 

 

 

あたしは、愛する鷹男のために命を懸けた。
そして・・・・・その賭けに勝ち、鷹男はあたしに真実の告白をしてくれたの。どうしてあたしを狙ったのか?その理由はやはり麗景殿女御様のためだった。
あたしの母様と鷹男の父である今上帝が恋仲になったことで麗景殿女御様は心を壊され今では普通に生活が出来なくなってしまったようなの。
そんな母君を見ていられなくて鷹男はあたしを憎むことで女御様の敵を取ろうとした。
でも鷹男は言っていた。ずっとあたしを憎み続けていたのにいざ会って一緒に過ごしたら計画通りに行動できなくなったって!
ドンドンあたしの存在が大きくなったって言ったわ!
そう聞けただけであたしは幸せだと感じるわ。
愛する人があたしの命を狙う。
理由も知らずにただ死んでいっただけではあたしがあまりにも哀れじゃない?そしてあたしの死を多分鷹男は一生後悔していたと思う。
あたしは鷹男に殺されなくてよかったと思う。
鷹男の為にもね。だから最近はまたいつものように仲良く鷹男と過ごすことが多くなってきたの。
毎日毎日鷹男は梨壺に渡りあたしと一緒に過ごしてくれる。けれど完全に終わったわけじゃない。
鷹男は自分のけじめをつけるために過去と向かい合おうと決心したようだった。その時はあたしも協力するつもりよ。

















あれから1週間が経っていた。
鷹男は梨壺に現れ真剣な眼差しで

「私に着いてきてくれませんか?」そう言ったの。
あたしはついにその日が来たんだ。そう思った。
あたしと鷹男は何も話さずに静かに廊下を歩いていった。鷹男の後ろを付いて歩くとき鷹男の後姿を見ただけでかなり緊張をしているのが見て取れた。
これから麗景殿女御様に会いに行くんだろう~
鷹男はここ何年も女御様に会いにいってないとそういっていた。女御様が怖いと。
鷹男は女御様をとても慕っていたらしい。
それなのに女御様の様変わりは鷹男にとって受け入れることが出来ないほどだろう。
あたしは後ろから鷹男の手を握ったの。
鷹男は一人じゃないんだよ、あたしが付いているんだからね。そんな気持ちであたしは鷹男の手を握った。
その時鷹男は歩くのを止め立ち止まった。
そしてあたしのほうを見てニッコリ笑ったの。
あたしは今度は鷹男の隣を歩く。鷹男の隣にあたしはいてそして鷹男を支えてあげるために!
しばらく黙って歩いていたのだけれどある部屋へとあたしたちは入ってったの。中に入って驚いたの。
質素な佇まいで部屋には一人の女性とその女性を守る女房らしい人たちが2人。あのお方が鷹男の母君?
見た目は普通の女性だった。少し細い感じがするけど病的な感じではないわ。けれどあたし達が入ってきたとき女房たちは警戒している感じだった。
少しピリピリした緊張感が漂う。
それを壊したのは鷹男だった。
「お久しぶりです。随分こちらに来ることができず申し訳ありません。」
「・・・・・?」
鷹男が女御様に挨拶をしたのに女御様は不思議そうな表情をされたの。
「申し訳ありませんがあなたは一体どなた?」
「「!?!?!?」」
あたしと鷹男は驚愕だった。
女御様とあたしは面識がないのだから仕方がないとしてどうして鷹男を見ても分からないの?
ここ数年会ってはいないと鷹男は言っていたけど息子を早々忘れるわけがないのに。
「母上・・・・」
「?????私はあなたの母上ではありませんよ。確かに私には息子が一人おります。でもまだ5歳の幼い子供ですよ。」
「なっ!」
鷹男が声を張り上げるのを堪えた。
まさか!女御様は鷹男がまだ小さいとそう思って見えるの?あたし達は女御様に仕える女房たちを見た。
「女御様のおっしゃるとおり宗平様はまだ幼い5歳児の若君であられます。女御様の体調が悪いのでしばらく会えずにおりますが・・・・女御様のおっしゃるとおりです!」
その言葉で女房達は女御様に話をあわせていることが分かった。
あたしは鷹男の方を見る。
凄くショックを受けている表情だった。
その時女御様が言った。
「あら~あなたたちは恋人同士なのですか?それとも結婚なさっているのかしら?二人とも手を繋いで仲がよろしいのね。」
あ!そうだった、あたし達は未だにずっと手を繋いだ状態だった。
こんな状態で女御様に会うだなんて。
でも私は勇気を出してこう話したの。
「はい!私たちは愛し合いもうすぐ結婚しようと思っているのです。」
「ま~そうだったのですか?お目でたいことです。」
「女御様!私はこの方を一生愛し続けます。そして幸せになってみせます。私達はあなたに会いに来たのです。私達を許してくださいますか?」
「・・・・・・・」
一瞬の沈黙がおきた。
そして女御様の視線もうつろになった。
でも元に戻り女御様はにっこり頷いてくださった。
「また二人で何度か女御様に会いにきます。」
鷹男はその場を立去った。















女御様が鷹男を未だに5歳だと思っているだなんてとても衝撃的なことだった。鷹男はどう思っただろうか?ずっと女御様に縛られていた鷹男。
少しでも乗り越えてくれることを祈ろうと思う。
鷹男ならこれをばねに前進することが出来るだろう。
そしてあたしもそれを支えて二人で幸せになる。
女御様のことは鷹男自身で乗り越えていかなければならない。それをあたしは助けていこうと思う。




こうしてやっとあたしは本物の鷹男の女御様になる事が出来た。初めて会った時は絶対に嫌だった。
でもずっと過ごすうちにあたしは鷹男に会い、知ることになった。そして鷹男に裏切られ、そして鷹男を許した。あたし達はこれからも色々なことが起きると思う。それでもあたしは鷹男を愛したことを後悔しないわ。一生鷹男の傍で支え続ける。
愛する人と結婚できるってとても素晴らしいことだわ。この時代気持ちだけでは乗り越えられないこともいっぱいあるから。
鷹男・・・・あたし達は幸せにならないといけない。
女御様のためにもね!
これからも一生鷹男の傍にいさせてね。

一生愛しているから・・・・

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やっと恋しくてシリーズ終わりました~

実はこの話はこれで完成ではありません。

本編に平行してずっと番外編を書き連ねていました。

番外編では鷹男視点で書いております。

鷹男の気持ちがここで全面的に書いております。

こちらは短いですがよろしくおねがいします。

 

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