妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語33

 

なんと、あの融が行方不明!

 

あたしは鷹男がいなかったら倒れていたかもしれない。

でも鷹男に励まされてあたしはすぐに立ち直った。

この情報は融付きの夏から至急連絡が入ったことなんだけど

融が式部の卿の宮様邸に行ったらしいんだけど

いつもと融の様子がおかしかったようよ。

夏は融についてこないように言われ傍にいることができなかったの。

不審に思った夏が式部卿の宮様邸を張っていたら

それからしばらくして気を失った姿で融がどこかに連れ出されたようなの。

だからすぐにあたしに知らせてくれたみたい。

あたしは夏にすぐ梅壺の女御様が見える源大納言の邸に向かうよう指示をした。

胸が苦しい、いやな予感がする。

あたしが三条邸にいたならすぐに動けたのにあたしは後宮にいる。

だから下手に身動きができない。

どうしたらいいの?

あたしは不安で鷹男の胸に抱かれていることしかできなかったの。

 

 

 

あたしはこのままでいることができないと感じ考えたことを整理しようと思ったのよ。

ますは梅壺の女御様は中宮の地位に執着して見える、だから早く親王様を

御産みしたい。けれど帝のお渡りは少なく御子様は授かりずらい。

だから中将と不義の関係を契り御子様を授かった。

でも融にちょっかいをかける理由が分からない。

「ねえ~鷹男、もし梅壺の女御様が親王様を御産みした後、もしもよ、

あたしがその後に親王様を御産みしたらどちらが東宮様になる可能性が高いの?」

「そうですね、普通は早く親王が生まれた順ですがやはり後見の貴族によって

今の段階なら瑠璃姫のお産みした親王東宮の地位に立つことになるでしょうね。」

「じゃあ梅壺の女御様のお産みした御子が

東宮になるにはやっぱり内大臣家が邪魔なのかしら。

だったら融の行動次第ではあちらに有利になる可能性が高い。」

「そうです、大夫の君の行動によりますね。

例えばちょうど里下がりをしている梅壺の女御に向かって襲いでもしたら

内大臣家は失墜するでしょう。」

「鷹男?」

「・・・」

「鷹男怖い顔をしてどうしたの?」

「いえ、やっぱり思っていた通りになりそうですね。どうしたらよいのか」

「それはなんなの?」

「鷹男、今度は鷹男の番だよ。」

「ふう、そうですね瑠璃姫私はあなたにいいましたね。

梅壺の体に触れたことはないと。ただし梅壺が香を使った日以外は・・・

その日に梅壺が身ごもったならそれはそれ。

ですが一人だけ医師が行方不明なのですよ。確か梅壺を診察した後に・・・」

「行方不明?」

「ええ~気分が悪いと梅壺が言うので医師に診せたのですが

そのあと医師はふらっと姿を消してしまったのです。

それから少し経ってから別の医師から梅壺の女御の懐妊の知らせを貰いました。」

「じゃあその時の医師を探して

梅壺の女御様の病気について何か聞いたら分かるかも。」

「いえ、ダメなんです。」

「なんで?」

「もうすでに殺されていました。」

「え!」

「ですから余計に不信感を抱くのです。」

「じゃあ殺された医師は

梅壺の女御様の知られてはいけないことを知ったから消された?」

「多分そうでしょう。」

「そんな!もし野心のために人一人を殺すことを何とも思ってないなら融は!

融は大丈夫なの?無事でいてくれるといいけど」

でももうそこまで悲劇の幕は切って落とされていたの。

 

 

 

融の行方が分からなくなってもう三日が経っていた。

あの子は今梅壺の女御様のところにつかまっているのかしら。

融、無事でいてよ。

 

 

 

そして気がかりなのは夏がかくまっている女房の存在。

夏に梅壺の女御様のご実家である源大納言家の邸に行ってもらったとき

夏はそこから見すぼらしい御車を見つけそこに融がいるかもと思って後を追ったの。

そうしたら京のはずれの桂川のほとりで御車が止まりそこから人がほおりだされ

立ち去ったの。

それを見た夏がお付きのものに助けるよう指示。そして見知らぬ女房を助けたみたい。

夏が助けた女房はいまだに気を失っているみたいで誰なのかはわからない。

一体その女はだれなのかしら?命に別状はないようだけど誰なの?

不安な気持ちでいっぱいなあたしは融の身を案じるとともに

これから起こるであろうことが気になって仕方がなかった。

 

 

 

あたしは気疲れが多くて脇息にもたれてウツウツしていた。

でも鼻の先に以前嗅いだことがあるあやしの匂いが近づいてくることに気づいたの。

そちらを見ると女房が梅壺の女御様の局に向かって歩いているところが見えたの。

あたしはその女房の後をついていった。

でも嫌な予感がしたから小萩にもすぐについてくるよう伝えて

あたしたちは二人でその女房の後をついていったの。

梅壺を越えどんどん後宮の奥に行ってしまう女房に不信感を抱きながらも

あたしはついていくしかできなかった。

そして女房がある部屋の前で立ち止まり中に入ったの。

でもこれは罠かもしれない。

そう思って小萩に隠れてもらい何かあったらそのまま鷹男に知らせるように頼んだ。

何かがあるとあたしの心が警鐘を鳴らす。

何かが起こっては遅いかもしれない。

本当ならこのまま部屋には入らずに待つべきよ。

でも今を逃したら証拠を逃すかもしれない。

ここでつかんでおかないと後悔する気がしていた。

私は覚悟を決めて中に入ったの。

でもそこは物置のようで特に何かが目立つものはなかった。

女房も中にはいない。

ただ気になったのは香の匂いが充満してあたしの思考の回路を遮ってしまっていた。

必死になって匂いの元を辿っていくと四角い箱の中にお香が入っていたの。

でもその匂いがきつくて体の力が抜けてしまった。

やばいと思ったときには誰かにこの部屋を閉められてしまったの。

ここは塗籠、窓もなく出口は一か所だけ。

あたしはそのまま意識をなくしたのよ。

 

 

 

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