妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語20

梅壺の女御様と初めてお会いした時、お姿は他の二人の女御様たちに比べて

お美しくはないけど、あたしよりは綺麗だな~と感じたわ。

勝気な性格で、はっきりとした物言いではあったけど

先にあたしが入内したこともあってきちんとしたご挨拶をなさったの。

 

 

 

「はじめましてお目にかかります、藤壺の女御様。

何分新参者ですので後宮での暮らしかたは分かりません。

ですからいろいろご迷惑を、おかけすることもあると思いますが

何卒よろしくお願いいたします。」

そういい、あたしに向かって丁寧にお辞儀をなさったの。

だからあたしも慌てて挨拶したわ。

「そんなにかしこまらないでください。あたしもまだ後宮に来たばかり

まだ後宮のしきたりも十分に分かっていないのです。

ですから顔をお上げください。」

あたしがそういったら梅壺の女御様は

「お優しいのですね。藤壺の女御様は他の女御様たちと違って

元気な物言いですわ。私もお主上に寵愛されるように

藤壺の女御様の様な性格になろうと思っております。

ご指導をよろしくお願いいたしますわ。」

あたしは低姿勢な梅壺の女御様の態度に吃驚していて

最後のいい方にとげがあることに気が付かなかったの。

だってその次の言葉にあたしの思考が止まってしまったのだから。

藤壺の女御様、もうすぐ私の歓迎の宴が始まることを知って見えますか?」

「ええ~少し経ってから宴が開かれるとお聞きしております。」

「今からすごく緊張をしているのです。ですから申し訳ないのですが

宴で披露する筝の琴の演奏に藤壺の女御様とも一緒に

演奏をしていただきたいのですが承諾していただけませんか?」

「ええっ!筝ですって!」

「はい、後宮ではいろいろな宴が連日のように開かれているご様子。

私の初めての宴の参加、楽しみであり、また不安なのです。

ですから後宮に慣れて見える藤壺の女御様と一緒ならば

私は安心して宴に出られると思うのです。」

「でも、あたしは筝の琴を弾くのは苦手なのよ。

だからあたしのほかの女御様達に頼んだほうがいいのではないの?」

「いいえ、とんでもございません。他の女御様たちは

藤壺の女御様よりも長いことお主上にお仕えなさっている方たち。

そのような方たちとご一緒では余計に緊張して失敗するかもしれません。

ですから藤壺の女御様だったら、

まだ女御様になってから日も浅いし、藤壺の女御様のほうがいいのです。」

「でも楽器は下手だから、梅壺の女御様にご迷惑がかかってはいけませんし。」

「お願いいたしますわ。後宮という知らないところにいるのは心細いです。

藤壺の女御様のような方がおそばに見えるだけで違うのです。

私は筝の琴は苦手ではありませんゆえ、出過ぎた真似ですけど

藤壺の女御様に筝の琴をお教えして、一緒に宴を盛り上げようではありませんか。

どうしても藤壺の女御様のお力が必要なのです。」

そこまでいわれたら仕方がないじゃない?

からしぶしぶお受けしたの。

それから宴が始まる前までは毎日のようにお互いの殿舎に行っては

筝の琴の練習をしたものよ。

梅壺の女御様の筝の腕前は素晴らしくて、そこの女房達も全員腕はよくて

あたしのド下手な筝にも文句も言わずに和やかに練習していたわ。

あたしも頼まれたもの。

下手だけどやらなくちゃいけない。

あたしは一生懸命に練習した。

そのかいあって上達したと思うわ。

あんなに苦手だった筝の琴も人にも聞かせれることができるようになったの。

梅壺の女御様にばかり迷惑をおかけしてはいけないから

小萩や他の女房達にも協力を仰いで復習し、

上手に弾けるようにまでなったの。

だからあたしは梅壺の女御様には本当に感謝していたのよ。

そうして皆の前で相夫恋を弾くことになった時、信じられないことが起こったの。

これから弾くという時に、今まで練習をしていた曲じゃなくて

違う演目を弾くと言い出したのだから。

そして、あたしのほうを見て、

女御様なのだからどんな曲でも弾けるのが当り前ですわ、と言い放ち

いきなり弾き始めたの。

あたしはただただ梅壺の女御様を眺めることしかできなかった。

さすがに言うだけあって演奏は素晴らしいもので

帝から声までいただき、梅壺の女御様は得意げな顔であたしをにらみつけたの。

あたしはその表情を見てやられたって思ったわ。

まさかこの場であたしに恥をかかせようとするとは思いもしなかったから。

女御様なのにあんな簡単な曲も弾けないのか、

容姿も美しくないのに習い事さえできないとは他のとりえは何なのかなど

かなり陰険な言葉が聞こえてきたの。

あたしはかっとなり思わずその場で大声を張り上げようと思ったわ。

でも、これは梅壺の女御様の挑戦だと思ったの。

喧嘩を売られて黙っていることなどできないわ。

変人と言われるあたしに喧嘩を売るとはなめられたものね。

 

すぐにあたしは反撃に移ったの。

 

「宴を台無しにして申し訳ございません。

ですが私もこの宴のために梅壺の女御様をお迎えできるように

拙いながら練習を重ねてきました。

ですから私もこの場を借りて演奏をしたいと思います。

梅壺の女御様!申し訳ございませんが、

女御様のために一生懸命演奏いたしますわ。お願いいたします。」

私は優雅に一礼をし、帝の許しをもらい

あたしは練習をした演奏を今までの中で最高に弾くことができたの。

今上帝からお褒めの言葉を頂いたわ。

恥をかかされたけど、

ここで大声を上げても梅壺の女御様の思い通りになってしまうわ。

案の定梅壺の女御様の表情が一気に鬼の表情になった。

ふふん、あたしに歯向かおうなんて10年早いわよ。

結局歓迎の宴はつつがなく終わった。

 

でもそのあと急に梅壺の女御様が藤壺に現れたの。

そしてあたしに向かって言葉を発した。

藤壺の女御様は案外しぶとくていらっしゃる。

まさかあそこで反撃なんてなさるとは変人だという噂は違っていたのかしらねえ。

でも対して上手くもない演奏をわざわざご披露なさるなんて図々しいお方ですわ。

お怒りになるか、さっさと退出なされば可愛いものを

わざわざ私に歯向かおうとなさるなんて。

ふふふっ、まあ、勝手になさるといいわ。

歯向かったことを後悔させてあげますわ!」

そういって藤壺を後にしたの。

まあ~凄いお方だったわね。表情まで全然違うじゃないの。

きつい目がもっと釣りあがって、初めて見た姿と違い般若の雰囲気だった。

まあ、あっちがその気なら、あたしはあたしで迎え撃つつもりだわ。

でも、今のところは嫌味の応酬と桂が刻まれるだけだから大したことはないと思って

様子を見ているだけなのよね。

毎日嫌味を言いに来るだけだからうっとおしいだけで終わるけど

こちらから何かをしようとは思ってないわ。

でも何かを仕掛けてきたらあたしも黙っちゃいないわよ。

あたしは大人しいだけの女御様じゃないんですからね。

 

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