妄想の館

なんて素敵にジャパネスク二次小説(鷹男×瑠璃姫)

藤壺女御物語30

それから幾日か経ってあたしの耳に吃驚なことが入ったのよ。

なんとあの融が通う貴族の姫君がいるというのよ。

一度も浮名を流したことがない弟の融が、もう姫君に通うだなんて。

あの子はあれでも内大臣家の長男だしあたしはすでに女御として

後宮に納まっているでしょう。

そりゃあ~性格が頼りないとはいえ高彬ほどでもなくても

出世は約束されているようなもの。

だから融が誰かの姫君に通うのは仕方がない話なのよね。

でも一体どんな姫君に通っているのかしら。

姉としては少し心配だわね。

あの子は優しいところがあって結構騙されそうだもの。

でもやっぱり応援するべきよね。

ああ~だれか気になるなあ~

そうだ、小萩に聞いてみよう。

「ねえ、小萩」

「はい、女御様どうかなされましたか?」

「あのさあ~融が通っている姫君って誰なのかな?」

「瑠璃様、融君のことやっぱり気になさっているのですわね。」

「うん、あれでも内大臣家の息子だからね。

それに融みたいなのにひかかった姫君ってきになるじゃない?」

「ふふっ、そうでございますね。融さまは瑠璃様の大事な弟君ですからね。」

「それで相手は知っているの?」

「それが融様が通われていることはお聞きしてますが

どなたなのかは知らないんですわ。でもやっぱり気になりますわね。

でしたら私は内大臣家の融様付きの女房に連絡をつけて

どなたに通われているのかお聞きしますわ。」

「うん、ありがとう、小萩。」

 

 

それからすぐ小萩があたしに融の相手を教えてくれたの。

「瑠璃様、融様が通われている姫君がどなたなのかわかりましたわ。」

「えっ分かったの?誰?」

あんなぼんくらの融の恋人だなんて気になるじゃないの。

一体どなたなんだろう。

「式部卿の宮様の三の姫様でございますわ。」

「へえ~そうなんだ。まあいいじゃないの。身分も申し分ないし大丈夫でしょう」

「そうでございますわね、ただ気になるのがその三の姫様が相当お熱を上げて

融様に恋心を抱いている様子なのでございますわ。」

「嘘!あの融よ!なんであのぼんくらがいいのよ。」

「瑠璃様それは言い過ぎですわ。かりにも実の弟君なのに。」

「だって仕方がないじゃないの。あの融がよ!融がその姫様に惚れて通うならまだしも

あんな融のどこに惚れる要素があるっていうのよ?」

「まあ~瑠璃様、いいではありませんか?せっかく融様に恋人ができたのですから」

「そうね、姉としては喜ばないといけないわね。

でもそこで黙っちゃあたしじゃないわ。融の恋に協力しないと」

「そうでございますわね?えっ?瑠璃様協力とは?」

「せっかく初めての浮名が流れたのよ。

せっかくだからうまくいってほしいじゃないの。

だからこの後宮では何もできないけれどその姫様の情報を調べたりして

上手くいくようにしてあげたいじゃないの。」

「ですがやっぱりおせっかいになるのではありませんか?」

「やだなあ~小萩は心配性なんだから。あたしはただ応援するだけよ。

邪魔するわけじゃないんだから。もっと二人の情報が欲しいな。

だから小萩、融付きの女房から何か情報を仕入れてきなさい。」

「でも瑠璃さま・・・」

「いいじゃないの、最近何もなかったから面白そうじゃない。」

「瑠璃様が絡むとあまりよくないのでは?」

「小萩、聞こえてるわよ。」

「瑠璃様!」

「小萩よろしくね。」

「・・・はい、かしこまりました。」

うふふっ、そうかやっとわが弟にも恋人ができたのね。

これで少し楽しみが増えたわね。妹なんていないから楽しみだわ。

いったいどんな姫君なのかな?

あたしは気分がとてもよくてこんな平和な生活が長く続くことを願っていたの。

そんな淡い願いを持っていたあたしに吃驚したことが耳に入ったの。

それは・・・

「瑠璃様じつは融様が通って見える姫様なのですが・・・」

「あら?詳しいことが分かったの?」

「それが・・・」

「何か問題でもあるの?小萩いいから話してくれる?」

「はい、実はその三の姫さまはあの梅壺の女御様の従妹姫で

名を結姫と呼ばれるお方なのですわ。」

「なんですって!それは本当なの?」

「はい、そうらしいですわ。でも梅壺の女御様とご関係があっても

何分恋愛話には関係ないお話でございましょう。」

ちょっと待ってよ。

内の融が惚れて通っているわけじゃなく向こうから誘われていたはず

なんだか匂うわねえ~梅壺の女御様が里下がりしているから余計に不安になる。

融はいい子だけどやっぱり女の人に誘惑されたらあのバカな融のことだから

ふらっとしてしまうわよね~

本当に二人が愛し合っているなら問題はない。

だけどあの融をだますことなんて簡単だからもしもということがあるわ。

少し様子を探らないといけないわね。

「小萩、その情報を教えてくれたのは誰?」

「はい、それは融様の乳母の子である夏さんですわ。」

「夏?そんな女房融の傍にいたかしら?」

「ずっと傍にいたわけではないのですが、最近融様付きになられたお方で

融様に親身に仕えている方。ですからつい、私と立場が同じだと思い

瑠璃様が入内なさる前に知り合ったのですわ。

夏さんのおかげで時々三条邸の様子も分かるようになったのですし。」

「そう、だったらその夏という女房は信頼できる女房ということかしら?」

「当り前ですわ。瑠璃様、まさか夏さんのことを疑って見えるのですか?」

「ううん、違うわ。それだったらその夏にも

協力してもらわないといけないな~って思って。

だから小萩はその夏と連絡を取ってどうして融が三の姫様に通うようになったのか

聞いてくれないかしら?」

「分かりましたわ。」

 

 

それから数刻が経って夏から返事が来たの。

融と三の姫様の出会いはなんと式部の卿の宮様に誘われてからのこと。

そこで融お得意の笛の音に三の姫様が惹かれたことから二人の距離が

近くなったそうよ。だけどそこじゃないの。

なんとその式部の卿の宮様の宴に融を誘ったのがなんとあの左近の中将だったのよ!

融は左近の中将が苦手だったのにどういうことなの?

あたしはどんどん嫌な予感がしてくるのを感じずにはいられなかったの。

あの左近の中将が融に近づくのはおかしすぎる。

梅壺の女御様の幼馴染で以前あたしに罠をひっかけようとした公達が何を企むの?

ここで何もしないでいるのは我慢できないわね。

夏に協力してもらって融のことを監視してもらうことにしてまずはあの男、

左近の中将がどんな奴か調べないといけないわね。

あたしは日を見てまずは情報を集めることにしたの。

若い公達のことなら女房達に聞くのが一番。

ということであたしは丞香殿の女御様の女房の小夜と連絡をつけて

左近の中将のことを聞いたのよ。

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